「文章力がない」はセンスの問題ではなかった! 文章力がない人に ”致命的に欠けている” 3つのこと

文章力がない人に足りないもの01

「文章をうまく書けないのは、自分にセンスがないから......」
「文章のセンスは生まれつきのものだから、自分はきっと手遅れに違いない......」
このような悩みを抱えて、文章力を磨くことから逃げていませんか。

「上手な文章を書くにはセンスが必要」という考えは、じつは勘違いかもしれません。読みやすい文章を書く力は決して生まれつきのものではなく、後天的にも身につけられれます。今回は、文章力がない人に欠けている3つの要素を指摘しつつ、改善方法をご紹介しましょう

【要素1】語彙力

文章力がない人に欠けている1つめの要素は「語彙力」。語彙力と聞くと「言葉をたくさん知っていること」と思うかもしれませんが、それだけではありません。

国立国語研究所で日本語教育研究領域の代表を務める言語学者・日本語学者の石黒圭教授は、語彙力を「語彙の量(たくさんの言葉を知っている)」×「語彙の質(言葉を適切に扱える)」で定義できるとし、特に「語彙の質」が重要だと指摘します。

たとえ難しい言葉を知っていても、その言葉の厳密な意味まで理解せずに使っていると、下手な文章だと見なされてしまうでしょう。自分が書いた文章に悪い印象をもたれないためには、知っている言葉の数を増やすだけでなく、使い方のルールを正しく知っておく必要があるのです。

語彙力を高めるには、幅広いジャンルの文章を読むことをおすすめします。ベネッセコーポレーションが2016年に実施した現代人の語彙力に関する調査によれば、読書以外に新聞やネットでニュースをよく読む人のほうが、そうでない人よりも語彙力は高かったそう。

ニュースのように、社会問題や専門的な事柄を扱うメディアでは、より実用的な語彙に触れる機会が多くあります。また書籍でも、特定の分野に偏らず複数の領域に関心をもって読むようにすれば、多様な語彙を身につけられるでしょう。

文章力がない人に足りないもの02

【要素2】ロジカル・シンキング

2つめの要素は「ロジカル・シンキング」。「論理的思考力」とも呼ばれており、話の流れ・順番がスムーズで、書き手の意図が読み手へ伝わりやすい文章をつくるために必要な能力です。

ロジカル・シンキングができておらず、文章が論理的に組み立てられていないと、いくら読んでも書き手の意図していることがわかりません。「内容が整理されていない文章」として、読み手からの評価が下がってしまいます。

文章に論理性を備えるには、接続詞を適切に用いるとよいでしょう。日本ファシリテーション協会のフェローであり日経ビジネススクールの講師も兼任する堀公俊氏も、文章のロジック(=論理性)を追いかけるには接続詞が不可欠だと伝えています。

では、どのような文章であれば論理的に書かれていると言えるのか、あるいは論理的でない文章だとみなされるのか、2つの例から実際に考えてみましょう。

【例1】
〇〇はAという点で優れている。しかし、Bというデメリットがある。ところが、Cという点ではほかに負けない。とはいえ、Dという懸念についても考えなければならない。
【例2】
〇〇はAという点で優れている。さらに、Cという点でもほかに負けない。ところが、Bというデメリットがある。あわせて、Dという懸念についても考えなければならない。

どちらの文章が、スッと頭に入ってきたでしょうか? おそらく、後者でしょう。なぜなら、適切な接続詞によって話題がまとめられているからです。

前者は、頭のなかで思いついた順に文章を続けています。メリットとデメリットが交互にきているため、結局何が言いたいのかわかりづらい印象を与えてしまうのです。一方、例2では、メリットのあとにデメリットと話題がまとめられており、文章の流れが明確に読み取れますよね。読み手が文章の途中でつまずかないよう、接続詞をうまく使って論理的な文章を書いてみてください。

文章力がない人に足りないもの03

【要素3】構成力

最後は「構成力」です。書き手の読んでほしいように、読み手が文章を読んでくれるとは限りません。文章の構成力が足りず、前置きを長々と書いてしまうと、読み手は結論へたどり着く前に飽きてしまいます

そこで、話の結論を最初に持ってくる「PREP法」を取り入れてみましょう。これは、「Point(結論)」→「Reason(理由)」→「Example(具体例)」→「Point(結論)」という構成で文章を書く方法です。わかりやすいとされる文章はこの流れを伴っていることが多く、軸を絞り、書き手のスタンスを決定づける役割を担ってくれます。

結論を文章の最初にもってくるメリットは、読み手の興味をグッと引けること。この文章は何について述べているのか、中心となるテーマを読み手に把握させ、引き込むことができます。あわせて、先ほどお伝えした接続詞をPREP法の各セクションで適切に挟んでみると、より美しい文章が書けるに違いありません。

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文章力がない人に欠けている3つの要素と改善方法を指摘しました。ぜひ実践し、伝わる文章を書けるようになりましょう。

(参考)
新R25|単語を覚えるだけじゃダメ。語彙力を鍛える方法を言語学者に聞いてきた
ベネッセコーポレーション(2016), 「第1回 現代人の語彙に関する調査」.
日経ビジネススクール|あなたの話が一気にわかりやすくなる「魔法の接続詞」
マナラボ|文章に説得力をもたせるPREP法を徹底解説
STUDY HACKER|どんなに「口下手」でも本気で伝えるためにできる4つの工夫。"ズバリ発想法"で印象が段違いに!

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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