どんなに「口下手」でも本気で伝えるためにできる4つの工夫。“ズバリ発想法” で印象が段違いに!

頭の中で考えていることはたくさんあるのに、いざ会議で話そうとすると言葉がでてこない。上司や取引先の人と上手に会話ができない。「あの時ああ言えばよかった」の繰り返し……。

そんな、話すのが不得意なことで悩むビジネスパーソンのために、たとえ口下手でも本気で伝えるためにできる4個の工夫をご紹介します。

ビジネスで“口下手”は絶対に損!

ビジネスにコミュニケーションは付き物。仕事をうまく進めるうえで、会話上手であることはとても有利に働きます。

その好例として、青山学院大学の陸上部を強豪へと導いた原晋監督が挙げられます。原監督は、常に部員たちに理論的にかつ熱く夢を語り、コミュニケーションによって部員たちのモチベーションを高めているのだそう。原監督のようにコミュニケーション力に長けた人は、人の心を動かしたり、先頭に立って仕事を導くことに秀でているのです。

その反面、口下手な人は仕事で損をしがちです。例えば、上司に報告をする際、口下手なあまり説明がたどたどしくなってしまって、上司から「仕事ができない人だ」と思われてしまう。口下手だからとあまり言葉を発しないでいるため、周囲から「何を考えているのか分からない」と敬遠され、人脈を築くことができない……。などのように、何かと損をしてしまうのです。

また、口下手であることを理由に周りの社員と気軽に話せる関係が築けていないと、暗黙知のような明文化されていない知識を知る機会に恵まれず、自分だけが効率の悪い方法で仕事を進めてしまったり、ミスをしてしまったりする可能性も。ビジネスにおいて口下手な人は、それだけでコミュニケーション能力の高い人よりも損をしていることが多いのです。

しかし、そんな口下手なビジネスパーソンでも話し方を工夫すれば、自らが被りがちな損を挽回することが可能です。口下手な人にでもできる、本気で伝えるためにできる工夫を4つお伝えしましょう。

口下手でもできる話し方の工夫1:ペーシングを用いて「聞き上手」になる

口下手な人にありがちなのが、初対面の人と会話が弾まないこと。初めて一緒に仕事をする他部署の人や、新しく担当することになった取引先など、初対面の人との会話がぎこちなくて困ったことがある人は多いでしょう。初対面での会話が弾まないと、相手に心を開いてもらえる確率が下がりますし、自分の伝えたいことも伝わりにくくなってしまいますよね。

話し方コンサルタントの羽田徹氏は、口下手な人が初対面の相手に対してまず行なうべきことは、「相手の自己紹介をじっくりと聞くこと」だと言います。相手の自己紹介で聞いた内容に関してもっと聞きたいことを質問すれば、自分から積極的に発話をしなくても、自然と会話が盛り上がっていくからです。

同氏曰く、その際には「ペーシング」を用いることが最大の武器となるのだそう。ペーシングとは、ジェスチャー、声、言葉などを用いて波長を合わせることを指す心理学用語です。自分のジェスチャーや声を相手の身振りや声のトーンに合わせると、自分と相手との間で波長を合わせることができます。そうすると、相手が心地よく話せるようになるのです。

言葉によるペーシングで最も簡単なのが、相手の言った言葉を繰り返すこと。羽田氏は次のように例を挙げています。

「最近ジョギングを始めたんですよ」 「へぇー、ジョギングを?」 普通なら、「私もジョギングやっているんですよ!」と言いたくなるところですが、話し下手な人は、自分に話の矛先を向けるような振り方は絶対やってはいけません。 しかも、下手すると、相手から話題を奪うことにもなりかねません。 だから、言葉を繰り返すだけです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「話ベタ」と思っている人が持っておくべき、たった1つの武器

また、「へえ、ジョギングを? 健康的で良いですね!」と、リピートに更に感情ワードを付け足せば、「楽しんで聞いてもらえている」という感覚を相手に与えることができるでしょう。

羽田氏によれば、相手が言った言葉を繰り返すことは、上の例のような雑談だけでなく商談でも有効。「あなたの話をよく聞いて理解していますよ」という印象を与えることができるそうですよ。みなさんも、「口下手」ならばぜひ「聞き上手」を目指しましょう。

口下手でもできる話し方の工夫2:「ズバリ発想法」で簡潔に話す

話すのが苦手な人がやってしまいがちなのが、結論と関係のない無駄な内容を長々と話してしまうこと。「結論ファースト」を心がけているつもりがつい長々と話してしまい、言いたいことが伝わらない……。口下手だからこそ、要領を得ないダラダラした話し方をしてしまうものです。

そんなことでお悩みの方には、『10秒でズバッと伝わる話し方』の著者・桐生稔氏が提唱するズバリ発想法がおすすめです。ズバリ発想法とは、「ズバリ何?」と聞かれるとズバリ簡潔に答えたくなる心理を使った話し方のこと。自らに「ズバリ何?」と問いかけると、言いたいことの核心を瞬間的にとらえることができるのだそう。桐生氏は次のように解説しています。

「あなたがやってみたい趣味は『ズバリ』何ですか?」 やってみたい趣味はたくさんあるかもしれません。しかし、「ズバリ?」と聞かれると、「ズバリ、将棋です」とか、「ズバリ、読書です」など、余分なワードをすべてカットして、いちばん言いたいことがズバッと出てくるはずです。

(引用元:東洋経済オンライン|説明のヘタな人に教えたいたった1つのコツ

例えば、「今月の売上目標は達成できそうか?」と上司に尋ねられたとしましましょう。この際に

「今月の売り上げ目標ですか? そうですね、先月よりはかなり良い線いってるんですけど、あと一歩って感じだと思います。今話を進めている大口顧客との商談が成立したら達成できるんですけど、そこを逃すと厳しいかなという感じで……。目標達成率は7割程度といったところですかね……」

のように長々と答えてしまうのが口下手な人の特徴。なかなか結末が見えなくてまどろっこしい印象を与えますし、仕事ができなさそうだと思われてしまいがちです。

そこで、上司からの質問に答える際は自らに「ズバリ何?」と問いかけてみましょう。この場合における結論は「目標達成率は7割程度」ですよね。話したいことや言い訳したいことが多々出てきたとしても「ズバリ何?」と考えれば、自然と「(ズバリ、)目標達成率は7割程度です」という簡潔な答えが生まれるはずです。

この「ズバリ発想法」は自己紹介やプレゼンにも活用できます。桐生氏曰く、あれこれと色々な話をするよりもズバリと一つの話題に絞った方が印象に残るのだそうですよ。簡潔に話すことが苦手な人は試してみてはいかがでしょうか。

口下手でもできる話し方の工夫3:PREP法で話を組み立てる

いくら口下手な人でも、仕事をしていれば会議やプレゼンなど、どうしても人前で話さなければならない機会はありますよね。

営業や交渉力などの研修講師である大岩俊之氏は、口下手な人でも2つの法則さえおさえれば人前で分かりやすい話ができると言います。1つ目の法則はPREP法です。

PREP法とは、「Point:結論」→「Reason:理由」→「Example:具体例」→「Point:結論」の構成で話を組み立てるというもの。大岩氏によると、これはもともと「文章を分かりやすく書く方法」であるものの、人前で話す際の「話の組み立て方」としても有効なのだそう。

例えば、上司との面談で「自分の今後の課題」についてPREP法を用いて話をするとすれば、次のような流れになります。

Point(結論): 私の今後の課題は、英語力の向上です。 Reason(理由): 先日、海外の取引先とのミーティングに出席した際に話に全くついていけませんでした。また、英文のメールや資料に目を通そうとした際にもかなりの時間を要してしまい、自分の英語での会話力と英文を読むスピード、語彙力に危機感を覚えました。 Example(具体例): 最近では仕事の後に英語のスクールに通い始めました。徐々に英語に慣れてきましたが、まだまだ充分ではありません。 Point(結論): 今後も英語の勉強を続け、英語力の向上を目指します。

PREP法のやり方は、先ほどの「ズバリ発想法」で出した結論を冒頭に述べて、あとは理由や具体例を順番に説明するだけ。口下手な人がやりがちな、不必要なことをあれこれ述べてしまうという失敗を防ぐことができます。たったこれだけで分かりやすく話せるのならば、ぜひ実践しない手はありませんね。

口下手でもできる話し方の工夫4:「ホールパート法」で話を組み立てる

大岩氏が口下手な人に勧める2つ目の法則は、ホールパート法です。

ホールパート法は、初めに話の全体像(Whole)を伝えてから細かい部分(Part)を話すというもの。この方法も、途中で余計なことをいろいろ言って話の主旨がぶれてしまうことを防ぐ良い方法です。話の内容を構成しやすくなるという話し手にとってのメリットのほか、話の内容を理解しやすくなるという聞き手にとってのメリットもあります。

例えば、会社で若手社員と上層部の人たちとの懇談の場が設けられ、若手社員の一人として参加することになったとします。その場で「今自分が熱中していること」について話をすることになったとしたら、ホールパート法を用いて次のように話を組み立ててみましょう。

Whole(全体像): 私が今熱中していることは3つあります。1つめは音楽を聴くこと。2つめはライブに行くこと。3つめは同じ趣味を持つ人と話をすることです。 Part(細かい部分): 1つめの音楽を聴くことですが、私はいつも仕事の後に余裕があるときはCDショップに立ち寄っています。あまり有名ではないバンドや歌手を聴き漁り、好みの音楽を探すことが楽しくてやめられません。 2つめのライブに行くことですが、休日にはよくライブに行っています。ライブ中の高揚した気分や、会場が一体となって盛り上がる感覚は非現実的で病みつきになります。 3つめの同じ趣味を持つ人と話をするというのは、ライブ会場で知り合った年齢も職業も異なる人と話をすることです。職場と自宅の往復では出会うことがないであろう、同じ趣味を持っていることくらいしか共通点のない人たちと会話をするのがとても楽しいのです。

この例のように雑談に近いような内容でも、立場が上の人との改まった場では「友人とのおしゃべり」のようにダラダラと話すわけにはいきません。ですがホールパート法を使うと、分かりやすくかつより詳細に、整理された内容を話すことができます。相手からも一目置かれるに違いありません。

1つの内容を深く掘り下げて伝えたいときは前述したPREP法プレゼンのように複数の内容を伝えたいときはホールパート法、といった具合に、話題に応じてPREP法とホールパート法を使い分けたり組み合わせたりしましょう。そうすれば、話の順番を組み立てやすくなり、口下手な人でも分かりやすく話をすることができますよ。

*** 口下手の人でも、自分の不得意を挽回できるテクニックは沢山あります。自分にとってハードルの低そうなものから、ビジネスや私生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

(参考) ダイヤモンド・オンライン|「話ベタ」と思っている人が持っておくべき、たった1つの武器 東洋経済オンライン|日本人も、"コミュニケーション力"を磨こう 東洋経済オンライン|話がヘタな人に教えたい「たった2つ」の原則 東洋経済オンライン|説明のヘタな人に教えたいたった1つのコツ STUDY HACKER|自分の話は「2割」でOK。口下手ならば “雑談されやすい人” を目指せ!

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