自分の本質を「言語化」できない――そんな人が、アフターコロナを生きてゆけない理由

澤円さん「アフターコロナを生き抜くためのマインド」01

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ビジネスシーンでは各企業がテレワークを導入するなど働き方にも変化が訪れ始めています。そんな時代に、私たちはどういうマインドをもって歩を進めていけばよいのでしょうか。

『個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方』(プレジデント社)を上梓した澤円(さわ・まどか)さんは、「Being(ありたい自分)」を中心に考えていくことが大切だと語ります。

構成/岩川悟  写真/榎本壯三

キーワードは「Being(ありたい自分)」

僕は、これからの時代は、「Being(ありたい自分)」の強度がポイントになると考えています。

「Being」とは、なにか困難にぶつかったり決断を迫られたりしたときに、究極の基準となるものです。自分のありたい姿を言葉にしておくことで、立ち戻って考えることができるようになります。その言葉がある限り、生きることに迷いがなくなると思っています。それこそ、自分が憧れるものに対する思いの強さや、やりたいことへの情熱。そんな自分のなかから湧き出てくる感情に、もっともっと正直になっていいのです。

そこで、なにかを考えるときは、すべてにおいてこの思考の型をクセにしてほしいと思います。

「私」を主語にする

「私は~」と主語で考える機会を、これから劇的に増やしていってほしいのです。たとえば、会社員として仕事をしていると、同僚や取引先の人に対して、「うちの部では~」「当社の製品は~」と話すときが多いですよね。

もちろん、仕事に限らず日常生活においても、「うちらは~」「うちの地域では~」と話す場合もあることでしょう。

それらをすべて、「私は~」にするのです。

常に、ひとことめに「私はこう思う」と言うクセをつけてください。誰に遠慮する必要もありません。クセになるくらいなので、最初はひたすら意識的に言い続けるくらいがいいでしょう。

澤円さん「アフターコロナを生き抜くためのマインド」02

そうしていると、ときに自分の考えのヌケ・モレや、論理的に筋が通らないと感じる部分がきっと出てくるはず。でも、そんな部分はそこで改善していけばいいし、いくらでもまわりに「教えて」と言えば、生きていくうえで重要な情報を集めることができます。

ですから、「私は~」で考えるときには、知らないことを素直に受け入れ、それを正直に口に出すことも大切です。

「私はこれを知りません」
「私にはこれがわかりません」

このようにして、自分は知らないと公言する勇気をもつのです。日本にはむかしから恥の文化があり、「知らない」「わからない」と言いづらい雰囲気があります。また、ありがちなのが、上司からの「おまえそんなことも知らないの?」というマウンティングです。でも、そんな言葉を平気で口に出せる人で、仕事ができる人に僕は会ったことがありません。

そんなことよりも、みんなが年齢や立場などに関係なく、「それ知らない。なに?」「教えて」と素直に言える雰囲気があれば、お互いにもっと情報や価値の交換がしやすくなると思いませんか?

「私はこう考える」「私はこれを知らない」というふたつの言葉に共通しているのは、いずれも「自分発信」だということ。また、「知らない」と公言するのは、自己開示にもつながります。

自分が知らないことを開示すると、相手に隙を見せることになります。そのため、弱みを見せまいとする人が多いのですが、コミュニケーションは「隙を見せたら負け」のスポーツの試合やゲームではありません。

隙を見せることで、人を惹きつけることができる。

人が垣間見せる隙こそが、案外その人の魅力になったりします。それに、「わからない」と言って隙を見せると、頼られたほうはちょっと嬉しくなって、いろいろと教えてくれるものです。

欠点に惹きつけられるように、いろいろな情報が集まってくる。

むしろ、「知らない」「わからない」と口にする人のほうが、正解のないこれからの時代を生き抜いていく可能性は高くなるでしょう。「私はこう考える」「私はこれを知らない」という言葉を常にセットで使っていると、情報や知識に自動的にアップデートがかかっていくのです。

澤円さん「アフターコロナを生き抜くためのマインド」03

自分の「本質」を自分で定義する

「私」を主語にして考えるクセがつくと、自分の「本質」に近づいていきます。

私はなぜこれが好きなのだろう?
私はなぜそれを知りたいのだろう?

そう自分に問いかけるごとに、「Being(ありたい自分)」がはっきりしていくからです。当たり前ですが、自分の本質というものは、なにかの本に載っていたり誰かに教えてもらったりするものではありません。そもそも、客観的事実としてどこかにあるものでもない。

そうではなく、あくまで自分で定義し、自分で言語化するものです。

自分で勝手に定義していいし、誰かの許可を得る必要もない。

ほかの人からよく言われる「あなたってこういう人だよね」という意見にも、振り回される必要などありません。そうして枠にはめたがる人が世の中にはたくさんいますが、そんな他人の決めつけに振り回されないことはとても大切です。

たとえまわりからそう言われても、「自分はこうありたい」という思いがあり、そっちのほうが大事なものと感じるなら、自分の本質として勝手に認めてしまえばいいのです。

そこで手始めに、会社の上司や友人など外部から受けている評価基準を、一度すっぱりと忘れてしまいましょう

「自分はどうあるのがいちばん満足できるのか」
「のちに人生を振り返ったとき、どうすれば後悔しないのか」

「私」を主語にして、そんな自分の働き方や生き方をじっくり見つめてほしいと思います。そのうえで、自己満足できる人生を歩むために、「自分になにができるのか」「なにをしたいのか」という部分での考えを深め、細かく分析してみてください。

大事なのは、どんなことも「自分で決めて考える」ことにあります。それこそが、「考えること」という行為であり、自分の人生を生き抜く姿勢です。

澤円さん「アフターコロナを生き抜くためのマインド」04

体が抱く「違和感」に正直になる

「この仕事にはちょっと違和感があるな」
「ちょっとこの人は苦手かも」
「どうしてあの人の話は頭に入ってこないのだろう?」

そんな自分の違和感に対して正直になることも、これからの時代に問われるスキルのひとつです。たとえば、営業の仕事をしていて、その仕事がいまいち好きになれないとしましょう。でも、それは客先でうまく話せないのが嫌なのか、資料づくりが嫌なのか、根回しなどの社内コミュニケーションが嫌なのか……理由はいろいろあるはずです。

そんな、自分がいま抱いている違和感を細かく分析していくと、「この部分が嫌なんだな」と気づくことができます。そして、それら分解した要素はすべて自分の「行動」に関するものです。

自分の「行動」に違和感を抱くのは、「Being(ありたい自分)」と離れているから。

「Being(ありたい自分)」に沿った「行動」であれば、たとえハードワークでも楽しかったり夢中になれたりするものです。でも、すごく違和感があったり嫌だったりするのは、まぎれもなく「Being(ありたい自分)」からかい離しているから。

だから、常に「Being(ありたい自分)」をイメージすること。

自分のイメージと違う行動をしたときに、人間の体は違和感を抱くようにできています。そんな体のアンテナの反応に正直であることが、とても大切。アラートが鳴っているにもかかわらず、無視したり抑え込んだりしていると、結局、自分自身にダメージが蓄積していきます。

長く同じ組織や価値観のなかで働いていると、どこかでアラートが鳴っているのに、それを解決するための行動ができないという人もいます。でも、少しでも自分が違和感を抱いているのなら、その自分の気持ちに忠実であるほうがいい。

結局のところ、違和感を抱きながら行動していると、結果がうまくいってもどことなく気分はよくないものだし、自分のなかに学びもあまり残りません。逆に、自分の気持ちに正直に行動していれば、たとえ結果が思うようにいかなくても自分のなかに次につながる学びの種が残るものです。

体が抱く違和感を大切にしたほうが、きっと幸せな人生を送ることができるはずです。

澤円さん「アフターコロナを生き抜くためのマインド」05

※今コラムは、澤円 著『個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方』(プレジデント社)をアレンジしたものです。

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【プロフィール】
澤 円(さわ・まどか)
株式会社圓窓代表取締役。1969年生まれ、千葉県出身。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報共有系コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年、マイクロソフトテクノロジーセンター・センター長に就任。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみ授与される、ビル・ゲイツの名を冠した賞を受賞した。現在は、年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。ボイスメディア「Voicy」で配信する「澤円の深夜の福音ラジオ」も人気。著書には、『外資系エリートのシンプルな伝え方』(KADOKAWA)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1 プレゼン術』(ダイヤモンド社)、伊藤羊一氏との共著『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)などがある。

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