トップリーダーが一流であり続けるために、土曜午前の “あるルーティン” を大切にする理由

岸田雅裕さん「インテグリティを培うために若いうちから実践すべき行動習慣」01

一般的に「誠実さ」とか「真摯さ」という言葉で訳される「インテグリティ(Integrity)」。これを、「自分に対しても他人に対しても誠実な状態」「自分の内側に対しても外側に対しても一貫性がある状態」と解釈するラッセル・レイノルズ日本代表の岸田雅裕(きしだ・まさひろ)さんは、「インテグリティこそビジネスパーソンにとって最重要なもの」だと語ります(『「頭はいい」のに「成長できない」人に欠けているもの。“揺れる人” には誰もついていかない』参照)。

では、そのインテグリティを身につけるにはどうすればいいのでしょうか。主に、行動習慣に関わることについて教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

意思決定の場面で「相手が誰か」ということを考えない

「インテグリティ(Integrity)」を身につけるために必要なことを、私自身が意識している点をベースにしてお話しましょう。まず何より意識しているのは、意思決定の場面で「相手が誰か」を考えないことです。

相手にとっては不愉快に感じかねない内容の言葉を伝えるべき、AさんとBさんというふたりの相手がいるとします。Aさんは性格が穏やかで、こちらが多少強い物言いをしたとしても受け入れてくれる人。一方のBさんは、我が強くてちょっと面倒くさい人です。

伝えるべきことをAさんに伝えるのは簡単だと思います。でも、Bさんのような面倒くさい人に対してはつい腰が引けてしまって、本来伝えるべきことを伝えられないといったことは人間関係においてありがちなことです。

もちろん、どんな言葉を使ってどう伝えるべきかというコミュニケーションスキルもあります。でも、伝えるべき結論を変えてしまっては意味がありません。相手が誰であれ、人によって態度や結論を変えることは、一貫性がないことを意味します。つまり、インテグリティがないということなのです。だからこそ、「相手が誰か」を考えず、やるべきことをやるのが大切です。

岸田雅裕さん「インテグリティを培うために若いうちから実践すべき行動習慣」02

社内外の人間関係のなかで反面教師やメンターを見つける

そういう意味では、反面教師を見つけることも、インテグリティを培うために有効な手段のひとつになります。みなさんのまわりにも、相手によって言うことがころころ変わるような上司や先輩が、ひとりやふたりはいるのではないですか? 私が若い頃にもそうした経験がありました。

私が最初に就職した会社はとても小さな組織でしたが、やはりそういう上司や役員がいて、「ああはなりたくない」と思ったものです。だけど、そんな上司や役員を否定しているだけで終わらせてはもったいない。せっかく反面教師に適任の人がいるのですから、その先を考えてみましょう。

もし自分が上司だったら、役員だったらどう振る舞うのか——。たとえ若くても、そう考えることはできます。そうして、将来の自分の成長に活かすようなことを考えてほしいのです。

そういう意味なら、社外の人間関係を大事にすることもおすすめしておきます。反面教師に限らず、世のなかにはいろいろなタイプの人がいます。インテグリティは、勉強や内省だけでなく、リアルの人間関係のなかでも培われます。ですから、仕事にばかり打ち込んで人間関係を狭めてしまっては、インテグリティを培うチャンスが大きく減ってしまいます。

若いときには一心不乱に仕事に打ち込むような時期も必要かもしれませんが、できるだけ仕事以外の人間関係にも目を向け、そこから反面教師になる人や逆に見習うべきメンターとも言える人を見つけて、インテグリティを高めてください

岸田雅裕さん「インテグリティを培うために若いうちから実践すべき行動習慣」03

自分なりの振り返りの時間をつくって身体と心を整える

最後にお伝えしたいのは、身体と心を整えておくということ。身体や頭、そして心が疲弊してしまっていては、重要な意思決定の場面で正しい判断を下せません。

身体を整えることについては、しっかりと運動をして、疲れがたまる前に身体を休めればできることでしょう。一方、心の整え方は人それぞれです。私の例を挙げれば、特に土曜日の午前中のルーティンを大事にしています。

土曜日の午前中は、まずは平日に着たスーツをブラッシングし、陰干しをしてプレスをします。それから、靴もブラッシングしてシューキーパーを入れて決まった場所にしまいます。

もちろん、ただスーツと靴をブラッシングしているだけではありませんよ(笑)。その私にとって穏やかな時間のあいだに、1週間の振り返りをしているのです。そのなかで、「あの行動にはインテグリティが欠けていたな……」「ああいう言い方をするんじゃなかったな……」のようなことが思い浮かんだら、必ずメモをします。その反省を伝えるべき相手がいたら、週明けに伝えるというふうにしているのです。

つまり、振り返りの時間を週末のルーティンに組み込み、心をリセットして翌週を迎えるようにしているわけです。私の場合はスーツと靴の手入れと振り返りの時間がセットになっていますが、そのやり方はみなさん次第です。ぜひ、心穏やかに1週間を振り返ることができる習慣を見つけてください。

岸田雅裕さん「インテグリティを培うために若いうちから実践すべき行動習慣」04

【岸田雅裕さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「頭はいい」のに「成長できない」人に欠けているもの。“揺れる人” には誰もついていかない
次世代リーダーに必須の「この要素」を培うため、ビジネスパーソンが絶対学ぶべき3つのこと

【プロフィール】
岸田雅裕(きしだ・まさひろ)
1961年3月30日生まれ、愛媛県出身。ラッセル・レイノルズ日本代表。東京大学経済学部経済学科卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA。パルコ、日本総合研究所、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン、ローランド・ベルガー、ブーズ・アンド・カンパニー、カーニーを経て2021年より現職。2014年カーニー日本代表に就任してからは、企業戦略、事業戦略、リーダーシップ開発、M&Aなどの支援を多数行なうと同時に、カーニーの日本オフィスを利益と成長の両面でグローバルにも有数のオフィスに導いた。2021年からは、ラッセル・レイノルズ日本代表として「日本の経営者の質を高める仕事」に取り組んでいる。著書に『コンサルティングの極意 論理や分析を超える「10の力」』『マーケティングマインドのみがき方』(いずれも東洋経済新報社)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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