いまの生活に満足してる? 仕事もプライベートも重視したい「フルキャリ」女性が  “理想の働き方” を実現する方法

黒いスーツを着た女性

「フルキャリ」という言葉をみなさんは聞いたことがありますか?

「フルキャリ」とは、キャリア重視で仕事に邁進する「バリキャリ」でもなく、生活を優先して働く「ゆるキャリ」でもなく、出産や子育てにも前向きでありながら自身のキャリア形成にも前向きな女性たちを指す言葉です。野村総合研究所の武田佳奈氏が定義し、さまざまなメディアで発信されています。

キャリアかライフか……どちらか一方を優先するのではなく、どちらも可能な限り充実させたい「フルキャリ」女性は近年ますます増えています。前述の武田さんがおこなった調査によれば、働く女性の半数が「自分はフルキャリだ」と回答したそうです。(参照:武田佳奈(2019),『フルキャリマネジメント: 子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得』, 東洋経済新報社.)

もはや「フルキャリ」は働く女性の主流なんですね。みなさんはいかがでしょうか?

【プロフィール】
田中美和(たなか・みわ)
1978年5月7日生まれ、千葉県出身。株式会社Waris共同代表。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事。国家資格キャリアコンサルタント。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、日経BPに入社。編集記者として、働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。取材・調査を通じて、延べ3万人以上の働く女性の声と接する。女性が生き生きと働き続けるためのサポートを行なうべく独立し、2013年、多様な生き方・働き方を実現する人材サービス企業として株式会社Warisを創業し、共同代表に就任。フリーランス女性と企業との仕事のマッチングやリスキリングによる女性の就労支援に取り組む。近年は、女性役員・管理職の紹介事業を通じて意思決定層の多様性推進にも尽力する。

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「ワークライフバランス」も「成長機会」「評価・昇進」も全部大切

私自身は2013年から10年以上にわたり女性に特化した人材サービス企業を経営しており、リモートワークやフリーランスなど働く時間・場所の自由度が高い仕事をこれまで2,000名以上の女性たちにご紹介してきました。利用者は30代・40代の女性たちで、育児・介護などのライフと両立できる自由度の高い仕事を求めてよくご相談いただきます。

こう書くとライフ重視の「ゆるキャリ」女性をイメージされるかもしれませんが、決してそうではありません。仕事は好きだし、仕事を通じた成長も大事にしたい。

実際、私たちが今年実施した調査(下図)で私たちのサービスを利用する女性たちに転職・退職の理由をたずねてみると、「ワークライフバランスの実現」と同じかそれ以上に「成長機会」「評価・昇進」を求める声が多いのです。

まさに「フルキャリ」女性たちのキャリア支援をし続けて10年以上になります。

株式会社Waris「女性管理職に関する調査」

株式会社Waris「女性管理職に関する調査」より

ではこうした「フルキャリ」女性が「理想の働き方」を実現するにはどうしたらいいでしょうか? この記事ではポイントを3つお伝えしていきましょう。

パソコンを操作している様子

ポイント1:理想のライフプランを明確にする

「フルキャリ」として生きるためには、仕事とプライベートの両立を図りながら、キャリア形成も進めていく必要があります。そのためには、まず自分にとっての理想のライフプランを明確にすることが重要です。

  • どのような人生を送りたいのか
  • 結婚や出産についてはどう考えるか
  • 趣味や家族との時間はどれくらい確保したいのか

こうした観点から自分にとっての「理想の人生」を明らかにしていきましょう。

でも、「『理想のライフプラン』なんて聞かれてもわからない……」「どこから考えたらいいかわからない」という人もいますよね。そんなときは「自分が理想的だと思う人生を実現している人」を書き出してみましょう。

何人でもかまいません。できれば複数の名前を出せるといいですね。男性でも女性でもいいですし、年代も問いません。

その人たちに共通している項目は何でしょうか? 「仕事で圧倒的な評価を得ている」「専門家としての地位を確立している」といった仕事面での話かもしれませんし、「家族との時間を大切にしている」「趣味やボランティアにも力を入れている」といった生活面での話かもしれません。

キャリアもライフも可能なかぎり充実させたいのが「フルキャリ」ですから、その観点から理想とするライフプランはどんなものなのか、具体的にイメージをしてみてくださいね。

理想のライフプランは人生の段階によって変化してかまいません。むしろそのほうが自然です。ただ、ライフプランを明確にしておくことで意識が向くので、必要とする情報やネットワークを得られやすくなりますし、日々の選択や行動の判断軸にもなっていきます。

ペンを持つ女性

ポイント2:理想を実現できそうな仕事を選ぶ

2番目に大切なポイントは、ポイント1で明確にした「理想のライフプラン」を実現できそうな仕事を選ぶことです。長時間労働が常態化している職場ではライフの充実は難しいものです。

仕事のやりがいはもちろんのこと、「働き方」の観点から理想の職場になっているでしょうか? その職場で働く上司や先輩はどんな働き方をしていますか? あなたにとっての「理想のライフプラン」に近い人はいるでしょうか?

直接の上司や先輩でなくても、組織のなかであなたの理想に近い生き方・働き方を実践している人がいるようであれば、その人の仕事の仕方や時間の使い方を観察して取り入れていきましょう。現状の働き方に課題を感じるのであれば、必要に応じて制度変更や業務分担の見直しなどを上司や人事に提案するのも有効です。

ただ、会社や組織を変革するには時間もパワーもかかるもの。かつ、ひとりの社員の力ではできることにも限界があります。

「ここでは自分の理想のライフプランは実現できそうもない」と感じるのであれば思い切って転職にチャレンジするのもいいでしょう。

株式会社リクルートの調査によれば、女性の転職者数は2013 年を1とすると2022 年は4.21と伸びており、特に40代の伸び率が顕著だといいます。同社の分析によれば、女性は転職によって賃金や条件が良くなる傾向がみられるそうです。(参照:PR TIMES|女性の転職が増加 転職時に賃金が上がる傾向 働き方や個人の事情に寄り添う求人も増加

これは私自身も30代・40代女性たちの転職の支援をするなかで感じるところです。少し前までは「35歳転職限界説」が言われていましたが、いまはまったくそんなことはありません。

人口減少による労働力不足で圧倒的な「売り手市場」なうえに、近年の「人的資本経営」「ダイバーシティ経営」「女性活躍推進」といった風潮もあり、企業側もスキルと経験が豊富な女性人材を中途で採用していくことに対して意欲的です。

かつ「フルキャリ」女性にとってはコロナ禍による働き方の変化も追い風になっています。会社によって程度に差はありますが、リモートワークが可能な職場は正社員の求人でも確実に増えています。

いまの職場が「理想に遠い」のであれば無理して勤め続ける必要はまったくありません。ぜひ理想が実現できる職場を自分から積極的に探しにいく姿勢を大切にしてください。

自宅で働いている女性

ポイント3:理想の実現に周囲を巻き込む

「フルキャリ」実現にあたってのポイントとして3番目にお伝えしたいのが「周囲の巻き込み」です。

みなさんは「アンコンシャス・バイアス」という言葉を聞いたことはありますか? 私たち誰もが持っている「無意識の偏見・思い込みのこと」で、しばしばこの「アンコンシャス・バイアス」が私たちのキャリアに影響をおよぼすことがあります。

たとえば「女性は子育てと仕事の両立が難しい」「子育て中の女性は残業や出張が一切できない」といった思い込みを持っている人はいまだに多いですし、そうした思い込みが女性たちから活躍機会を奪うことにつながっていきます。

こうした無意識の偏見は誰にでもあるものなので、企業や社会全体で、アンコンシャス・バイアスに関する理解を深め、制度や風土を変えていくことが必要です。実際、「アンコンシャス・バイアス」に関する研修・トレーニングを取り入れている企業もめずらしくありません。

一方で働く女性ひとりひとりが、自分の声を発信し、アンコンシャス・バイアスをなくしていくための行動を起こすことも大切です。たとえば、育児中の女性は「ゆるキャリ」志向だと思い込みを持たれやすいので、そうではなく、子育てをしながら仕事で成長することにも意欲的であることをしっかり上司や周囲に言葉にしてアピールすることも一歩につながります。

チャンスを与えてもらえればより重要な役割やプロジェクトに挑戦したいという意向をしっかりアピールしておきましょう。実際、家族の協力やさまざまなサービスを駆使することで子育てをしながら仕事で挑戦をし続けることは十分可能です。

「フルキャリ」女性にとって、ライフとキャリアの両立は決して簡単な道ではありません。しかし、時代の変化、サービスやテクノロジーの進化によってライフとキャリア両方の充実を可能な限り追い求めることが受け入れられやすい環境になりつつあります。

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このコラムで紹介したアドバイスも参考にしていただきながら、あなたにとっての「理想のライフプラン」を実現していきましょう。

(参考)

武田佳奈(2019),『フルキャリマネジメント: 子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得』, 東洋経済新報社.
PR TIMES|女性の転職が増加 転職時に賃金が上がる傾向 働き方や個人の事情に寄り添う求人も増加

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