「また失敗してしまった...」
そんな思いに囚われたことはありませんか?
仕事のプロジェクトが上手くいかなかったり、難関の資格試験に落ちてしまったり。私たちは誰しも、失敗と向き合う瞬間を避けては通れません。
しかし、ここで重要なのは、失敗そのものではありません。 失敗後の「次の一手」こそが、あなたの未来を大きく左右するのです。
エジソンやスティーブ・ジョブズのような偉大な発明家や起業家たちも、数え切れないほどの失敗を経験してきました。彼らを成功に導いたのは、失敗との向き合い方だったのです。
本記事では、「頭のいい人」が実践している失敗克服の方法をご紹介します。 これらの手法を身につければ、あなたも失敗を恐れることなく、むしろそれを飛躍のチャンスに変えられるようになるでしょう。
仕事や学業でのパフォーマンスを向上させたい方、自己成長の新たなステージに進みたい方、必見の内容です。
【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。
失敗は受け入れて、切り替えて、冷静に分析すべし
賢い人が失敗を飛躍のチャンスに変えられるのは、以下ふたつのうちの、後者の道をたどっているからかもしれません。
- 失敗した!⇒動揺したり、パニックになったり⇒その出来事ばかりを考える⇒どんどん落ち込む
- 失敗した!⇒まずは失敗を受け止める⇒そこで失敗の出来事がいったん終了⇒気持ちを切り替える⇒冷静になる⇒原因を分析⇒教訓を得る・予防策を講じる⇒メモを取っておく⇒今後の行動に役立てる
そう考える理由は、識者らが示す言葉や、「挫折を活用する」ツールの存在を知ったから。
たとえば『失敗学のすすめ』(2000, 講談社)の著者で東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏は、失敗したときの適切な対処方法を次のように説明しています。
気持ちを切り替えて「絶好のチャンス!」と考え、「なぜ失敗したのか」「この失敗からどんなことが学べるのか」を徹底的に分析・整理して、その後の自分の人生の糧にする知識やノウハウをきちんと身につけることが大切なのです。
(引用元:webちくま|失敗に厳しすぎる社会でクリエイティブに生きる)
気持ちの切り替えに関しては『プロフェッショナルサラリーマン』(2011,プレジデント社)の著者である俣野成敏氏の言葉も参考になります。
同氏によれば、気持ちの切り替えに役立つのが、失敗を認めることなのだとか。認めることが、その出来事をいったん終わらせる作業になり、それによって頭を切り替えられるそうです。
また、失敗を引きずることなく教訓に変えるためにも、メモをとっておくといいとのこと。書き出すことでイヤな記憶を頭から切り離し(忘れる)、あとで教訓を見返すためです。
(参考元:リクナビNEXTジャーナル|デキる人は「失敗し落ち込む自分」からどう回復しているのか?)
そして、失敗の原因の分析には、NPO失敗学会副会長の飯野謙次氏が奨励する「失敗まんだら」が役立つはず。見た目は中心から放射状に広がる構造です。前出の畑村氏の著書『続々・実際の設計 失敗に学ぶ』(1996,日刊工業新聞社)にある図がベースになっているとのこと。
これで原因を冷静に分析・分類・特定し、的確に予防策を講じることができるそうです。
飯野氏はビジネスシーンのみならず個人でも取り入れられるとして、自身が実践した失敗まんだらも紹介しています。
こうしたことをふまえ、賢者は失敗を受け止めて気持ちを切り替え、冷静になって原因を分析し、教訓を得たり、予防策を講じたりしながらメモを取るはずだと考えました。
逆を考えると、より説得力が増すのではないでしょうか。
たとえば、自分が失敗を冷静に受け止められなかったとしましょう。それだと気持ちを切り替えることができず、失敗を他人のせいにしたり、自分を責めたりしてしまうのではないでしょうか。
そうなれば、次も同じ失敗を重ねるリスクは大きいはず。すると今度は「自分はダメだ」などと自信を喪失したり、失敗を恐れてチャレンジできなくなったり、周囲からの信用を損なったりしてしまうわけです。
分析もせず、原因も特定しないのであれば、予防策も教訓も得られないので当然のことですよね。そんなことにならないよう、筆者は失敗の原因を分析し、教訓をメモする方法を取り入れてみることにしました。
失敗まんだらと教訓メモをやってみた
具体的な流れはこうです。
- 失敗まんだらで原因を分析する
- 教訓と対策をメモに書き出す
初めての実践なので、今回は畑村氏や飯野氏の大分類を参考にさせてもらいました。以下は筆者が実践したものです。
こうしてやってみると、注意不足のせいだと思っていたものが、じつは学習不足や計画不良、誤判断によるもので、対策を講じられると判明しました。
また、具体的な対策を考えメモに書き出してみると、失敗を回避するため次の機会にどう行動すべきかイメージでき、安心感を得ることができました。
失敗あとに建設的な思考がストップしてしまう方に、ぜひおすすめしたいメソッドです。
実践で気づいた注意点・改善点
最後に、実践で気づいた注意点・改善点をお伝えしておきましょう。内容は以下のとおりです。
- 「注意不足」を原因にすると、意外と具体的な行動策を講じるのが難しい。この大分類を設けるより、ほかの原因に分けられないか考えたほうがいい。
- 「次からは気をつけよう」などと精神論に頼ると行動につなげにくい。どうしたら失敗しないか考え、具体的な仕組みづくりを意識して書くといい。
- 自分が実現できそうなことを書く。
※前出の飯野氏いわく「対処できることだけについてしっかり対処していくという考え方を持ちましょう」とのこと(カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|同上)。
以上をふまえながら実践すれば、あなたを落ち込ませていた失敗は、いずれ成長のバネになるはずです。
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失敗したらダメだという思い込みを捨て、チャンスだと考えましょう。そして今回紹介した方法を、一部でもいいのでぜひお試しくださいね。
webちくま|失敗に厳しすぎる社会でクリエイティブに生きる
リクナビNEXTジャーナル|デキる人は「失敗し落ち込む自分」からどう回復しているのか?
STUDY HACKER|もう同じ過ちを繰り返さない! 原因分析が捗る「失敗まんだら」ってどんなもの?