毎日が調子いい人は朝に “この3つ” をやっている。「楽しい計画を立てる」ことから1日を始めよう。

起床後1時間 朝の最高の過ごし方01

「日中の仕事、なかなか頭が働かない……」
「仕事の能率が悪い……」
「なんだかイライラするなあ……」

普段からそう感じることが多い人もたくさんいるはず。それはもしかしたら、“朝の過ごし方” に原因があるのかもしれませんよ。

いつも朝はぎりぎりまで寝てしまい、時間になってようやく慌てて準備を始める……そんな毎日を過ごしていませんか。何も考えずに朝を慌ただしく過ごすと、日中の活動やメンタルにも悪影響が及ぼされてしまうのです。

今回は、日中のパフォーマンスを向上させる朝の過ごし方を3つご紹介します。

1.「太陽光」はやっぱり重要

朝起きたとき、電気もつけずカーテンも開けず、部屋が暗い状態のまま過ごしていませんか。じつはそれが、あなたの調子を崩す原因になっているかもしれません。

光は目に入ると、網膜の神経細胞を通り、脳の視床下部に届きます。ここがいわば “体内時計” を調節している部位です。しかし、光が不足すると、当然その信号は視床下部には届きません。結果、体内時計の調節はうまくいかず、日中の活動にも影響が及んでしまうのです。

作業療法士の菅原洋平氏によれば、覚醒するために「1,500~2,500ルクス」程度の太陽の光が必要なのだそう。読書や勉強をするのに最適だとされる500ルクス程度の部屋の光では、まだ不充分とのこと。ましてや、朝に電気もつけずカーテンも開けない状態では絶対に足りないことは言うまでもないでしょう。

また、太陽光を浴びることは認知機能の観点から見てもメリットがあります。太陽光を浴びると皮膚でビタミンDが生成されますが、マンチェスター大学(イギリス)が40~79歳の男性3,000人を対象に実施した調査によれば、ビタミンDの摂取量が多い人のほうが、注意力と情報処理速度を見る神経心理検査で良い成績を出したのだそう。逆に、ビタミンDの摂取量が低いと、情報処理速度も遅くなることがわかりました。

(※ちなみにビタミンDの生成に関しては、ガラス越しの太陽光では不充分とのこと。国立環境研究所地球環境研究センターが発表したところによると、成人が1日に必要なビタミンDの摂取量は5.5μg。この5.5μgのビタミンⅮを日光浴によってのみ摂取するには、紫外線の弱い12月の正午の関東地方の場合、20分程度を必要とします)

朝に太陽光を浴びるのは、体内時計が調節されたり認知機能が向上したりと、科学的な根拠にも基づく良い習慣なのです

朝起きたら真っ先に部屋のカーテンを開け、光が入ってきやすい窓の周辺で朝食を食べたり支度をしたりするように心がけてみましょう。また、夜寝る前にカーテンを少しだけ開けておくと、朝に太陽光が徐々に入ってくるため、目覚めやすくなりますよ。少し時間のある晴れた日には、ベランダに出て日光浴をしてみるのも良さそうですね。

起床後1時間 朝の最高の過ごし方02

2.「コップ1杯の水」の恐るべきパワー

人間の身体は、寝ている間も汗として水分が放出されていきます。大塚製薬佐賀栄養製品研究所データによると、8時間の睡眠によって排出される汗の量は、なんと500mlにものぼるのだとか。

朝起きたらまず水分をとるのは、脱水症状を起こさないためにも必要なこと。しかし、水を飲むという何気ない行動は、じつは脳のパフォーマンスを上げるうえでも効果的なのです。

イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学が発表したところによれば、知的作業に集中する前に500mlの水を飲んだグループと飲まなかったグループを比較し、脳の反応速度を調べました。すると、水を飲んだグループは飲まなかったグループと比べて反応が14%も速くなることが明らかになったのです。

脳の水分量は80%といわれており、身体の中でも特に水分量が多い場所だということがわかっています。少しの水分不足でも影響を受けてしまうのは大いに納得できますよね。では具体的に、どの程度の水分不足が脳の機能に影響を与えてしまうのでしょうか。

東京大学薬学部教授の池谷裕二氏は、コネチカット大学の博士が発表した論文を紹介し、「水分の損失が、たとえ体重の1%以下であっても、記憶力の低下や認知エラーが起こる」と述べています。

朝起きて、なんとなく頭がぼんやりすると感じるのなら、コップ1杯分でいいので、まずは水を飲んでみましょう。朝なかなか起き上がれないという人は、枕元にペットボトルの水を置いておくという工夫をしてみるのも手ですね。

起床後1時間 朝の最高の過ごし方03

3.「1日の楽しい計画」を立てる

「今日のプレゼン、厳しい指摘を受けたらどうしよう……」
「今日中に仕上げないといけない書類、本当に終わるだろうか……」
「なんとなく今日も上司から無理難題を押しつけられそうだ……」

こんなふうに、朝いつも嫌な不安を覚えがちな人は要注意。こういった不安が1日のパフォーマンスを下げることにつながってしまうという研究結果があるのです。

ペンシルベニア州立大学(アメリカ)で行なわれた研究で判明したのは、「朝に、ストレスのかかる状況を予測するだけで、ワーキングメモリ(短期記憶)を低下させてしまう」という驚くべき内容。

研究では、25~65歳の被験者240名を対象に、2週間にわたり調査を実施しました。被験者には、朝目が覚めたときに1回、夜寝る前に1回、日中に5回の計7回、スマートフォンのアプリを通してアンケートに答えてもらいます。たとえば、朝には「これから、どんなことが起こりそうですか?」と尋ね、日中には実際にストレスを感じた出来事やその度合を答えてもらったのです。加えて、記憶に関するテストも受けてもらいました。

その結果、朝にストレスのかかりそうな予測をした人は、実際にストレスのかかる出来事を体験するしないにかかわらず、ワーキングメモリの機能が低下することが判明したのです。

この研究結果を受けて、メンタリストのDaiGo氏は、「朝に “ポジティブな予想” を立てる」ことをすすめています。

大事なのは今日の1日がどうなるのかという予測が重要なわけです
朝はポジティブな予想をしましょう。ストレスを感じそうな時であっても、それを乗り越えたらどんな良い気分になるかとか、乗り越えることによってメンタルが強くなりそうだというように考えるようにしてください。

(引用元:Mentalist DaiGo Official Blog|たった一回で頭が悪くなる朝の行動が判明

たとえば、前日に仕事でミスしたことを引きずっていたとしたら、朝目覚めても「今日も同じ失敗をしそうだな……」と、つい嫌な考えが浮かんでしまいますよね。でも、それを「昨日あの件で注意されたけど、今日はいつもより慎重にやろう。前よりも正確で質の高い仕事ができるだろう」というふうに、乗り越える自分を想像したり、良い状況になっていることを想像したりして、悪い予測を避けていくのです。

スマートフォンや手帳に、今日のポジティブな計画を記録するのもいいかもしれませんね。「今日は仕事を定時に終わらせて、映画を観に行こう」「お昼のランチは、このあいだ通りかかって気になった、あのお店に行ってみよう」など、ちょっとした楽しい予測を立てることも、1日の始まりを良いものにしてくれるでしょう。

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朝の過ごし方をちょっとだけ工夫して、良い1日を手に入れませんか?

(参考)
すやすや部|朝は目覚めたら窓から1m以内に入る
NIKKEI STYLE|冬の憂鬱、もしや光不足? 朝に太陽光浴び予防を
AFP|ビタミンDを多く摂取する中年男性は頭の回転が速い、英大学研究
国立研究開発法人国立環境研究所|体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
POCARISWAT|“シーン別”汗をかく量は?
Frontiers|Subjective thirst moderates changes in speed of responding associated with water consumption
東洋経済オンライン|人間が過去の記憶を都合悪く解釈しない理由
The Journals of Gerontology series b|Waking Up on the Wrong Side of the Bed: The Effects of Stress Anticipation on Working Memory in Daily Life
Mentalist DaiGo Official Blog|たった一回で頭が悪くなる朝の行動が判明

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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