多くの人がまだ眠っている早朝に早起きして勉強に励む。これができたらどんなに時間を有意義に使えることでしょう。実際、朝勉強を推奨する脳科学者や有識者がたくさんいるということもあり、すでに実践している人も多いのではないでしょうか。
しかし一方で、「眠くて捗らない……」「いまいちやる気が起きない……」など、思ったように勉強が進まなくて悩んでいる方もいるはず。それは、朝の勉強に取り組むうえで大切な準備やコツを知らなかったり誤解したりしているのが原因かもしれませんよ。
今回は、朝勉強がなかなか捗らない原因を3つ指摘します。朝の勉強を捗らせるための重要ポイントを押さえていきましょう!
NG1:「初日からしっかり勉強しよう」と意気込みすぎている
「よし、明日から朝の勉強を始めよう」と決め、その翌日に早起きして取り組んだものの、眠気がつらかったり1週間と続かなかったりした経験はありませんか。それまで何もしていなかった人が、いきなり朝早く起きて勉強するのは、そもそもハードルがあまりにも高いもの。強いストレスにもなります。
小中学生向け学習塾「森大塾」を運営し、Webサイト「All About」で “子供の教育ガイド” も務める森大輔氏は、朝の勉強を無理なく習慣化するポイントを次のように述べています。
(前略)いきなり30分間勉強を始めるのではなく、まずは
1. 早起きすることだけを習慣化(時間は徐々に長く)
2. 教科や内容•難易度を問わず好きな勉強をする(時間は徐々に長く)
3. 徐々に本来取り組むべき勉強を混ぜていく(時間は徐々に長く)のように出来るだけストレスがかからない「スモールステップ」で徐々に目標に近づけていくことが習慣化を達成するポイントです。
(引用元:All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~ ※太字は筆者が施した)
強い睡魔と戦い、慣れない時間での作業に集中できず、内容が全然頭に入らないのに朝の勉強をしても意味がありません。始めたその日から、いきなり画期的によい勉強ができるというわけではないのです。徐々に生活習慣を変えながら、脳や体が朝の勉強に機能するようにしていく、そんなスモールステップが必要なのですね。
たとえば普段7時起きならば、まずは難なく6時起床ができるように起床時間を少しずつ早めていく。そして、いきなり負荷の高い勉強をするのではなく、自分が好きで比較的楽にこなせる内容から始めてみる。そうやって朝のリズムがつかめてきたら、自分がトライしたいと思っている勉強に本格的に取り組べばいいのです。
焦らずに小さく段階を踏むことが、朝の勉強を長期的に続けていくうえで大切ですよ。
NG2:起きてから準備している
朝起きて、勉強するべきものを確認し、机に参考書やノートを広げ、必要なものを配置し、勉強に取りかかる……。あなたの朝の勉強の始め方は、こうなっていませんか。
しかし、この「勉強の準備」という作業を行なっているとき、人は「今日はやらなくていいかな」「いつもより量を少なめにしよう」などと言い訳を考えてしまうもの。このことを指摘しているのは、資格コンサルタントで勉強や資格取得に関する多くの著書がある高島徹治氏です。以下は仕事についての内容ですが、朝の勉強においても大いに通ずる部分があるのではないでしょうか。
机に座ったら、何はともあれ、仕事を始められる。この状態が大切なのです。
人が仕事を先延ばししたり、怠けたりするのは、仕事を始める前に「考える時間」があるからです。この間(といっても瞬間に近いのですが)に、人はいろいろなことを考えます。
(中略)
その点、机の前に座ったときに、すでに仕事のお膳立てができていれば、好むと好まざるとにかかわらず、やらざるをえません。
(引用元:PHPオンライン|たったひとつの朝の習慣で、仕事の効率が大きく変わる ※太字は筆者が施した)
すぐに取りかかれるようにすることで、脳に「作業興奮」をもたらすことが重要だと、高島氏は述べています。作業興奮とは、作業を始めることで起こる脳の興奮状態のこと。これにより脳の働きが活発になるのです。そもそも行動を起こさないことには得られない状態であるため、“すぐに始められる” 環境を用意しておくことが大切なのですね。
しかし、前日に何も準備せず、朝起きてからようやく準備を始めているようでは、実際の勉強に取りかかる前にやる気が後退してしまいます。作業興奮の恩恵を受ける前に終わってしまうのです。
準備は前日のうちに済ませ、朝に机の前に座ったらすぐに勉強を始められるようにしておくことは、朝の勉強を習慣化するうえで必須でしょう。
NG3:何も口に入れない
朝に効率的な勉強を行なうためには、朝に摂取する食べ物や飲み物にも気を使わなければいけません。最近では、朝に何も食べないという人も増えていますが、朝の勉強において、それは一番やってはいけないことなのです。
おすすめのひとつはコーヒー。朝起きてすぐにコーヒーを飲むことで、カフェインが脳内の睡眠物質であるアデノシンを抑制し、眠気が抑えられ集中力が高まるのです。日本財団子どもの貧困対策チームのチームリーダーで、勉強に関する多くの著書がある本山勝寛氏をはじめ、多くの有識者たちが朝のコーヒーを推奨しています。
さらに、コーヒーに加え、朝の脳の働きを活発にすることができるものを提唱しているのが、株式会社朝6時代表取締役社長池田千恵氏です。
私の朝食の定番は100%の玄米ご飯です。玄米は良く噛まないと消化が悪いので、必然的にゆっくり、良く噛んで食べるようになります。ぼーっとした頭が、食べているうちに目覚めてくるのを実感しています。(中略)また、糖分は脳に到達するのが早いと聞き、起き抜けに糖分を取るのも効果的でした。とっておきの「おめざ」として、ケーキなどを用意するのもおすすめです。
(引用元:シゴタノ!|3つのハードルをクリアして、朝からサクサク勉強できるようになる方法 ※太字は筆者が施した)
朝からシフォンケーキを食べることもあるという池田氏。つまり、朝はコーヒーを飲んで、糖分が取れる物を食べてあごを動かす、というのが理想的だといえるでしょう。朝はどうしても食欲がわかない場合はガムを噛むのがよい、とも池田氏は述べています。
朝イチで “脳を起こす” 習慣を取り入れることもまた、朝の勉強には欠かせないのです。
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朝の勉強をもっと有意義なものにするために、今回ご紹介した3つの工夫をぜひ取り入れてみてください。
(参考)
All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~
PHPオンライン|たったひとつの朝の習慣で、仕事の効率が大きく変わる
東洋経済オンライン|頭の働きを鈍らせるやめにくい「悪習慣」3つ
シゴタノ!|3つのハードルをクリアして、朝からサクサク勉強できるようになる方法
【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。