あの福沢諭吉も夜に読んでいた!? 「夜の読書」がもたらすメリットがすごい。

夜の読書のメリット01

朝活ブームの昨今、「早起きして本を読もうと思ったけれど、睡魔に負けた……」という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。なかには、早起きできない自分に対して自己嫌悪を抱く人もいるかもしれませんね。

人間が、早起きを苦にしない「朝型」体質と、夕方以降のほうが元気になる「夜型」体質のどちらになるのかは、遺伝子の影響が大きいことが研究でわかっています。遺伝子に逆らうことは難しいため、早起きが苦手な人は、無理に朝に本を読もうとせず、夜型体質を受け入れて夜に読書をするのがおすすめです。

『学問のすゝめ』でおなじみの福沢諭吉も、夜の読書を習慣にしていました。夕食を食べてひと眠りしたのち、22時過ぎごろから夜明けまで本を読み、朝食を作る音が聞こえたら眠りについたそうです。もちろん、福沢諭吉のように夜を徹して本を読むのは非現実的ですが……夜の読書には、夜ならではのメリットがありますよ。詳しくご説明しましょう。

【夜読書のメリット1】就寝直前は記憶のゴールデンタイム

新しく取り入れた知識は睡眠によって定着することから、夜は特に記憶力が高まる時間帯とされています。

『ずるい暗記術』の著者で弁護士の佐藤大和氏によると、夜の勉強や読書で知識を増やしたいなら、就寝30分前にピークを持ってくるとよいそうです。また、就寝前は余計なことをせず、すぐに寝るようにするのが、睡眠で記憶を定着させるポイントとのこと。

寝る前にスマートフォンをいじる人は多いと思いますが、それだとよけいな情報が入ってきてしまい、せっかく覚えた内容も忘れてしまいます。スマホが放つブルーライトが安眠を妨げるという説もあるので、なるべく避けてください。 ただし、音楽はリラックス効果があるので、聴いてもかまいません。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「暗記は寝る前」は、もはや当たりまえ。その後の行動が記憶の定着を左右する

読書で得た情報を脳にインプットするのに、夜は最適な時間帯といえそうです。

夜の読書のメリット02

【夜読書のメリット2】時間にゆとりがあるから “大著” を読むのに最適

朝は、出勤時間というタイムリミットがあったり、出勤のための準備が必要だったり、なにかとバタバタしがちです。でも夜ならば、時間にゆとりがあるので、自分のことだけに集中できます。時間的な余裕があることも夜の読書のメリットです。

明治大学文学部教授の齋藤孝氏は、夜の読書を推奨したうえで、時間にゆとりがある夜だからこそ長編小説のような大著を読むのもおすすめだといいます。たしかに、スキマ時間に細切れで読むよりも、まとまった時間でじっくり読むほうが、本の世界に浸れそうですよね。

ちなみに齋藤氏は、小説を読むときに登場人物の配役まで決めているのだそう。

私はサスペンス小説を読むのが好きです。海外のミステリーがとくに好きです。読んでいるだけで、頭の中でイメージが膨らみ、映画されたときの理想の配役までできてしまいます。

(引用元:齋藤孝 (2017),『夜型人間のための知的生産術』, ポプラ新書.)

深く小説を読み込む齋藤氏は、「読書は想像力が大事」と説きます。ゆとりがあって自分だけの時間を確保できる夜ならば、想像力をフル回転させることができるのではないでしょうか?

夜の読書のメリット03

【夜読書のメリット3】心身をリラックスさせて睡眠の質を高める

本は必ずしも、「仕事や勉強にすぐ使えるものを……」と実用性だけを重視して選ぶ必要はありません。

順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏いわく、夜は心身をリラックスさせる働きがある「副交感神経」を優位にさせるべきとのこと。夜にリラックスするため、「毎日頑張りすぎだな……」と自覚がある人は、ぜひ本を読んで心身に安らぎを与えてみてはいかがでしょうか

就寝前に「絵本」を読むこともリラックスするには効果的。絵本コーディネーター・こがようこ氏によれば、“絵を眺める” だけでもリラックスできるのだとか。さらに音読まですると、睡眠の質を高める働きも期待できるそうです。

声に出して読むと、意識がより絵本に集中します。絵の世界に没頭することで、イヤなことや悩みが頭の中から追い出されて、心がゆったり落ち着くようになるんです。

(引用元:フミナーズ|絵本の音読・読み聞かせの癒やし効果は大人にも!おすすめ絵本4選 ※太字は筆者が施した)

絵本なら、文字だらけの本が苦手という人でも、楽しく夜の読書ができそうですね。

夜の読書のメリット04

【夜読書のメリット4】アウトプット習慣をつくりやすい

『読書は1冊のノートにまとめなさい』の著者・奥野宣之氏は、読書で得た知識や教養は、アウトプットすることによって初めて自分の財産になるといいます。代表的なアウトプット方法は、読書ノートを作ることです。

読書ノートを書くときに、
「どの文章を抜き出すか」
「それにどうコメントを書くか」
と判断したり考えたりすることは、アウトプットの第一歩と言えます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|読書ノートは読み返せば効果倍増。自分をつくる読み返し方とは?

前出の『ずるい暗記術』の著者・佐藤氏は、夜の5分間でノートをつけ、朝の5分間で読み返すことを推奨しています。理由はふたつ。書くという行為が睡眠中の記憶定着を助けることにつながるから、そして起床後の5分間で読み返すことでより強固な記憶として脳に残るからです。佐藤氏は、夜に書いたノートを朝に読み返す習慣を “記憶の出し入れ術” と呼んでいます。

短時間でつくるノートなので、書き方はシンプルで可。箇条書きでもかまいません。佐藤氏は、勉強法のひとつとして、夜に書いたものを朝に読み返すノート術を推奨していますが、身につけた知識を脳に記憶するという点では、読書にも活用できます。

「記憶出し入れ術」を繰り返すことで、思い出す力が養われ、記憶もさらに定着していきます。また、覚えているものと覚えていないものが明確になるメリットがあります。これこそ時間をかけずに記憶できる最強の方法だと私は自負しています。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|夜5分と朝5分で行う鉄板の「記憶出し入れ術」

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夜の読書には想像以上のメリットがあります。「早起きして本を読めない……」と悩んでいる人は考え方を変えて、夜に読書の習慣をつくってみてはいかがでしょうか。

(参考)
WIRED.jp|「夜型」の人が努力しても、決して「朝型」になれない:研究結果
福沢諭吉 (1969),『日本の名著〈33〉福沢諭吉』, 中央公論新社.
ダイヤモンド・オンライン|「暗記は寝る前」は、もはや当たりまえ。その後の行動が記憶の定着を左右する
齋藤孝 (2017),『夜型人間のための知的生産術』, ポプラ新書.
美的.com|告白が成功するのは…朝or夜?「時間帯ですべきこと」医師が伝授
フミナーズ|絵本の音読・読み聞かせの癒やし効果は大人にも!おすすめ絵本4選
ダイヤモンド・オンライン|読書ノートは読み返せば効果倍増。自分をつくる読み返し方とは?
ダイヤモンド・オンライン|夜5分と朝5分で行う鉄板の「記憶出し入れ術」

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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