休日前の夜は、1週間のうちで最も気持ちに余裕を持てる時間帯ですよね。仕事の疲れがとれないという方は、休日前に「リラックス術」を実践し、翌週に向けて英気を養いませんか。3つの方法をご紹介します。
1. 分割食べをする
ひとり暮らしの人や毎日激務に追われている人は、「夕食は深夜に一気食い」といった状態になりがちです。しかし、急いで多くの食べ物を食べると、肥満や糖尿病の原因となり、行動意欲や活動量の低下にもつながると、精神科医の奥田弘美氏は語ります。
奥田氏は、帰宅が遅くなりがちなときの食事の方法として「分割食べ」を提案しています。日中働いている人の場合、仕事が終わる19時前後にご飯やパンなどの炭水化物を食べると、血糖値が上がって脳にエネルギーが供給されるとのこと。また帰宅後は、糖質と脂肪が少ない食事を腹五分程度で食べれば、体に負担をかけずにリラックスして就寝できるのだそう。
ちなみに奥田氏は、ホウレン草のおひたし、ワカメの味噌汁、ボイルした鶏むね肉、ノンオイルツナをのせた野菜サラダ、葉物野菜やキノコ、豆腐、魚の寄せ鍋といった料理をすすめています。
調理の手間がかかる分割食べは、平日夜は難しいかもしれません。しかし、時間的に余裕がある休日前ならば、実行しやすそうですよね。一度試してみてはいかがでしょうか。
2. 純文学に触れる
イギリスのサセックス大学によると、あらゆる行為のストレス解消効果を調べたところ、コーヒーを飲むことが54%、散歩をすることが42%だったのに対し、読書は68%にのぼったのだそう。
メンタリストのDaiGo氏は、30分以上読書を行なうことがリラックス効果をもたらすと語ります。読書をしている間は、ほかのことに気を払わずに活字を追うことにのみ集中するのがコツです。ちなみに、スマートフォンやタブレットのブルーライトは、脳を活性化させ興奮状態にしてしまうため、電子書籍よりも紙の本がおすすめですよ。
読む本の内容は、小説などのフィクション、特に純文学が適しているのだそう。登場人物の感情が繊細に描かれている作品を読みながら、登場人物に共感することによって、自然と他者への共感能力が高まっていくのだと言います。そのため、現実世界でも相手が何を考えているのか察することができ、意思疎通がうまくいくといった効果があるのだそう。
株式会社エン・ジャパンが2,000人以上の社会人を対象にアンケートを行なったところ、ストレスの原因として1位にあがったのが「人間関係」。フィクションを読み、ストレス解消すると同時に、共感能力を高めて人間関係を改善できれば一石二鳥ですよね。
3. 自律訓練法を実践する
「自律訓練法」とは、ドイツの精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツ氏が提唱した自己催眠法。自分に暗示をかけ、全身をリラックスさせる副交感神経と興奮や緊張をつかさどる交感神経をコントロールするトレーニングです。
帝京大学教授の中尾睦宏氏の説明によると、まず「気持ちを落ち着ける」ことから開始し、6つのトレーニングを行なって、最後に消去動作と呼ばれる作業をするとのこと。
服装は、余裕のあるものを身につけます。姿勢は、椅子の上に座っても、寝転がってもかまいません。楽な姿勢でゆっくりと深呼吸をして、気持ちを落ち着けます。落ち着いてきたら、軽く目を閉じて「気持ちが落ち着いている」と、心の中で数回唱えましょう。充分に気持ちが落ち着いたら、6つのトレーニングに入ります。
- 利き手に意識を向けて、その重さを感じましょう。利き手が右手の場合、心のなかで「右手が重たい」と唱えます。次に「左手が~」「右足が~」「左足が~」と順番に行なっていきます。
- 利き手に意識を向けて、温かさを感じましょう。1のときと同じように順に手足に意識を向け、それぞれの温かさを感じてください。
- 腕に意識を向け、「心臓が静かに打っている」と心の中でゆっくり繰り返します。
- 呼吸に意識を向けて「自然に楽に呼吸している」と心の中で繰り返し、腹式呼吸をします。
- 胃の周辺に意識を向けて「おなかが温かい」と心の中で繰り返します。
- 額に意識を向けて「額が心地よく涼しい」と心の中で繰り返してください。
時間がないときには、2までだけでも簡易的な効果があるのだそう。
すべてのトレーニングを終えて目を開けたあと、手を前に出して拳を握り、開く動作を何度か繰り返す「消去動作」をし、自己催眠状態から覚めたところで完了です。なお、就寝前に行なう場合は、消去行動は必要ないとのこと。
自律訓練法を取り入れれば、自律神経のバランスが良くなり、リラックスすることができると、中尾氏は語ります。
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最高にコンディションが整った状態で1週間のはじまりを迎えるためにも、休日前には適切なリラックス術をしてみてはいかがでしょうか。
(参考)
NIKKEI STYLE|遅い夕食でも太りたくないなら お勧めは「分割食べ」
日刊ゲンダイDIGITAL|「スマホより6分間読書」 精神科医が薦めるリラックス術
レタスクラブニュース|1日30分の読書でストレス軽減!? メンタリストDaiGoが教えるメンタル強化術
PreBell|その不眠、スマホが原因かも。原因と対策を睡眠の専門家が伝授!
ハマふれんど|社員のストレスの原因を知って生産性をあげよう
NHK健康ch|リラックス法でストレス対策2 自律神経のバランスをとる自律訓練法
健康長寿ネット|自律訓練法の健康効果とは
エン・ジャパン|仕事のストレス、最大の原因は人間関係。社員のメンタルヘルスケアには、社内の人間関係改善が重要。ー『エン派遣』ユーザーアンケート集計結果ー
The New York Times|For Better Social Skills, Scientists Recommend a Little Chekhov
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。