勉強効率の黄金比「3:7」が示すアウトプットの重要性。“インプットして満足” は圧倒的に時間のムダ

現役東大生・西岡壱誠さん×教育系YouTuber・葉一さん対談「要約こそ最高の勉強法」01

著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)で一躍注目を集め、新刊『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎)も評判の現役東大生・西岡壱誠(にしおか・いっせい)さんと、YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」が人気の教育YouTuber・葉一(はいち)さん

YouTubeチャンネル「ドラゴン桜チャンネル」を通じて知り合った「勉強の達人」同士が語るのは、「アウトプット型勉強」の重要性です。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「学び」は本来的にアクティブなもの

――西岡さんは新刊『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎)のなかで、勉強について「能動的でないとならない」と語っています。

要約こそ最高の勉強法1
西岡さん
昔の僕は、授業に臨むにもやはり受け身でした。ノートを取るのも、先生がそう言うから取る。これは多くの学生にも言えることではないでしょうか。

でも、「授業を受ける」は、英語では「take a class」、「授業を取る」なのです。いま話題のアクティブラーニングも、ある教育学の先生によれば「有史以来、学びというものは本来的にアクティブなもの」だから、ことさらにアクティブラーニングが持ち上げられることはおかしいのだそう。

その話を聞いて、勉強ができなかったときとできるようになったときで自分のなにが変わったかを振り返ってみると、受け身から能動的になったということだったのです。

それこそ、ここは葉一さんにお伺いしたい。やっぱり積極的な子のほうが成績は伸びるでしょう?

要約こそ最高の勉強法2
葉一さん
そうですね。僕のYouTubeチャンネルを見てくれている子たちは、そもそもYouTubeを使ってまで勉強をしようしているから、その時点ですでに能動的なんだよね。なにかを知りたいと調べてわざわざ僕のチャンネルを見ているわけで、やっぱり成績は伸びます。
要約こそ最高の勉強法3
西岡さん
塾とは違いますからね。塾なら、それこそ親から行けと言われて行く子も多い。

――ただ、大学受験にしろ社会人の資格勉強にしろ、誰かに言われたわけではなく自分なりの目標があるのに、能動的な学びの重要性に気づいていない人もいるかもしれません。

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西岡さん
自分がなにかを変えたら、それによって自分自身や自分のまわり、あるいは世の中のことを変えられるという意識が少ない人が多いように思います。でも、僕がそうだったように、ノートの取り方や読書法を変えるだけでも成績が上がることもある。自分なりになにかを変えようと思ったら、いろいろなことが変わるんだということは伝えたいですね。
要約こそ最高の勉強法5
葉一さん
注意してほしいのは、自分では能動的だと思っているけどそうじゃないケースもあるということ。

いまはネットの普及によって勉強法の情報を集めることは本当に簡単です。すると、情報を手に入れただけで勉強ができるようになったと勘違いしている人も多いのです。本当なら、その勉強法を自分自身で試してトライ・アンド・エラーを繰り返して自分のものにしていかないといけない。そうなってはじめて能動的といえるのではないでしょうか。

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理解すべきことの本質を見抜く「要約」の重要性

――新刊のなかで西岡さんは「要約こそ最高の勉強法」とも語っています。

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西岡さん
物事の理解度を一番きちんと測れる問いとはどんなものかと考えると、やはりその物事に対する「要するになに?」という問いだと思うのです。それに的確に答えることができれば、理解すべきことを理解していることになるわけです。

また、要約して残るのは、物事の本質、つまり、木でいえば幹の部分です。枝や葉となる細かい部分は、幹がないと定着しない。だからこそ、要約によってしっかりした幹をつくることが大切なのです。

――要約に慣れていない人がうまく要約するにはどうすればいいでしょうか。

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西岡さん
キーワードを探すことがポイントですね本を読むのであれば、いきなり中身に入るのではなく、まずは、表紙や帯、目次などに目を通してみる。そうすれば、共通点がある言葉が見つかるものです。それこそが著者が言いたい本質に関連するキーワードですから、それを頭に入れた状態で本を読み始めれば、理解度がぐっと高まり、要約しやすくなるはずです。

授業を構成するのも、キーワードを中心に教えるべき内容を要約するという作業なのではないですか?

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葉一さん
そのとおり。授業は完全に要約です。授業がうまいかどうかは、もちろん先生のトークスキルとも関連しますが、なにより教えるべき内容を要約する力の違いが大きい。

――要約のスキルを向上するための方法として、葉一さんから意見はありますか。

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葉一さん
塾の講師をしていたときに僕が子どもたちによくやらせていたのは、テレビ番組の要約です。好きな番組を見たら、その内容を要約して家族や友だちに話す。もちろん、これは社会人にも有効な手法だと思います。要約がうまい人なら、最初に結論というか、西岡君がいう幹の部分をボンと話すでしょう。でも、要約が下手な人はオープニングから時系列で話すから、話が無駄に長くなっちゃうんですよね。
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西岡さん
YouTubeのコンテンツにもそういう側面があるかもしれませんね。タイトルが内容の要約になっているものはわかりやすい。

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アウトプットしなければインプットの時間が無駄になる

――要約もそうですが、勉強で成果を出すには「アウトプット」が重要だといわれます。

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西岡さん
じつは、コロンビア大学の研究で、最も学習効果が高まるインプットとアウトプットの黄金比が導かれているのです。その比率は「インプット:アウトプット=3:7。つまり、アウトプットのほうが多くなければならないということ。

また、得た情報が脳に定着するタイミングにもアウトプットは関わります。情報が脳に定着するのは、インプットしたときではありません。得た情報を誰かに説明するなどアウトプットするときなのです。それは、情報が知識になる過程と言っていいでしょう。

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葉一さん
コロンビア大学の研究の話も、西岡君はいろいろなところで話をしていると思う。だから、自分の知識としてしっかり定着するんだよね。学校の授業スタイルなどによって、どうしても日本人はインプットすることが勉強だと思い込んでいます。
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西岡さん
日本人はインプットが好きなんですよね。
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葉一さん
日本人の勤勉さも影響しているのかもね。でも、せっかく情報を得ても、それが定着しなければ、インプットの時間はまったくの無駄になってしまう。黄金比の「7」をきちんと実践することで「3」の時間を価値あるものにしないともったいないですよね。まずは、この記事を読み飛ばすのではなく、要約することから始めてみてはいかがでしょうか(笑)。
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西岡さん
いいですね(笑)。要約してSNSなどで拡散してください!

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【プロフィール】
西岡壱誠(にしおか・いっせい)
1996年3月13日生まれ、北海道出身。現役東大生。歴代東大合格者ゼロの無名校から東大合格を決意。2浪をしながらも、読書法を一変させることで「考える力」を向上させ東大に見事合格。その読書法をまとめた『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)が累計26万部を突破するベストセラーとなり、一躍注目を集めた。現在、東大で40年以上の歴史を持つ書評誌『ひろば』の編集長、人気受験マンガ『ドラゴン桜2』(講談社)の総合プロデューサー、2019年5月にリリースされた勉強系Webマガジン「Study-Z」の編集長を務めるなど、多方面で活躍している。『東大で25年使い続けれられている「自分意見」の方程式 最強のアウトプットの作り方』(KADOKAWA)、『書き込み式「東大作文練習ノートつき」 東大作文」(東洋経済新報社)、『東大集中力 やりたくないことを最速で終わらせる』(大和書房)、『現役東大生の世界一おもしろい教養講座 正しく未来を見通すための「地理的思考」入門』(実務教育出版)など著書多数。

【プロフィール】
葉一(はいち)
1985年3月11日生まれ、福岡県出身。教育系YouTuber。教員を目指して東京学芸大学にて教員免許を取得するものの、卒業後は教材会社にて営業職を務める。そののち、全国展開する学習塾に転職し、埼玉県内の教室で3年間にわたって教壇に立つ。2012年、経済的事情により望む教育を受けられない子どもたちの教育格差の解消を目指し、教育YouTuberとなる。現在、YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」にて、中学校の5教科を中心に、小学校算数、高校数学などの「授業」動画を配信している。著書に『はいちの楽しくなる数学 中学1年』『はいちの楽しくなる数学 中学2年』(ともに文英堂)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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