成人するまでに “14万8,000回” も否定的な言葉を聞かされるわたしたち。どうすれば自己肯定感を高められるのか?

中野信子「自己肯定感を高める方法」01

日本人は、自己肯定感や自己効力感がもともと低いといわれています。
「自己肯定感が高ければ、きっと楽しい毎日にちがいない」
「なんでこんなに自分のことを認められないのだろう……」
そう思っている人も少なくないはずです。

元来持った日本人としての性質だけでなく、生きていくなかでネガティブな意見を聞くことも多いわたしたちは、自分自身の努力次第で自己肯定感を高めることができるのでしょうか? 脳科学者の中野信子さんが、誰にでもできるちょっとしたテクニックを教えてくれました。

構成/岩川悟(slipstream) 写真/塚原孝顕

人間は成人するまでに、14万8,000回もの否定的な言葉を聞かされる

中野信子「自己肯定感を高める方法」02

自分に対して否定的な考えを持つことをやめるのは大切なことですが、これはいうは易く行うは難し。なぜなら、ある学者の論文には、人間は成人するまでに14万8,000回もの否定的な言葉を聞かされるという話もあるほどだからです。

つまり、長年にわたって「刷り込まれてきた」否定的な態度や考え方は確固たる信念として認知されている場合があり、ある日を境に突然変えることは難しいのです。

でも、あきらめることはありません。なぜなら人間には、「自分の自己イメージに合致することにしか同意しない」という性質もあるからです。どういうことでしょうか?

たとえば、「君は性格が暗いね」といわれたとしましょう。このとき、自分でふだんからそう思っているなら「やっぱり……」と傷ついてしまいます。でも、それに対してなんのコンプレックスもなければどうでしょう。

「そう? 君より友だちは多いけど」
「明るいだけのあなたよりも仕事はできるよ」

そう思って、まったく意に介することはないはずです。つまり、人は誰かの言葉そのものよりも、その言葉を自分で肯定し、自分へのネガティブな評価を追認してしまうことで傷つくわけです。

逆にいえば、自分のポジティブな面をつねに意識することで、他人の言動に惑わされることなく、人は変わっていけるということになる。最初は難しいかもしれませんが、自分に肯定的な「ふり」を続けるだけでも少しずつ変わっていきます。

他人を変えることはなかなか難しいので、やはり勇気を持って、自分で自分を肯定していくしかないのです。

自分で自分をほめていると、不思議と自己評価が高まっていく

中野信子「自己肯定感を高める方法」03

人間の脳には、「誰かの役に立てた!」「みんなから評価された!」というような「社会的報酬」を強く求める性質があります。こうした報酬を得ると、やる気がますます高まるわけですが、じつはこの欲求は自分で自分をほめていても満たすことができます。

そこでぜひ、これから毎日自分で自分のことをほめてみてください。「約束を守る自分」「いつも明るい自分」「人の話をよく聞ける自分」……。意識して探してみると、自分の好きな部分が意外とたくさん見つかると思います。

そして、最初はちょっと恥ずかしいのですが、ナルシシストにでもなったつもりで、少しずつ自分のことを好きになってみるのです。難しい場合は、「わたしのことをほめている誰か」がいて、その人が自分のことをほめている場面をただ想像するのでも良いと思います。

すると不思議なことに、自分で自分をほめ続けていると、やがて「そのような自分」になっていきます。そして、それにともなって自己評価も高まっていくのです

自分のことを認められるのは、とても大切な資質です。なぜなら、そんな人は他人のことも自然と認められるからです。人は認められたり、ほめられたりするとうれしくなるもの。ほめられた人はあなたのことを好きになり、どんどん良い循環へと入っていけるわけです。

最近では、「社会脳」と呼ばれる、人の行動が社会性を持つように方向付けられていく仕組みが脳に備わっていることもあきらかになってきました。

まわりの人の良いところを認めて、最大限に生かしてあげること。そのためにも、まず自分で自分をほめることからはじめるのが大切なのです。

*** 
中野信子さんが教えてくれたのは、ある意味「脳のしつけ」ともいうべきものでした。

自己肯定感が低い「自分自身のあたりまえ」に慣れきってしまった脳を、どう変えていくべきなのか。ネガティブな言葉をたくさん刷り込まれてきた脳を、どう変えていけばいいのか――。中野さんは、「他者に期待するのではなく、勇気を持って自分を肯定し、自分をほめること」が大切だといいます。

今日からちょっとだけナルシシストな自分になって、それらの習慣をあたりまえのものにしていきたいですね。

※今コラムは、中野信子著『脳科学で自分を変える! 自己肯定感を高める脳の使い方』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです。

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脳科学で自分を変える! 自己肯定感が高まる脳の使い方
中野信子 著/セブン&アイ出版(2019)

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【プロフィール】
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都出身。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として、『大下容子 ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週金曜コメンテーター)、『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)、『ホンマでっか! ?TV 』(フジテレビ系)。著書には、『サイコパス』、『不倫』(ともに文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)、『シャーデンフロイデ他人を引きずり下ろす快感』(幻冬舎)、『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(KADOKAWA)、『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』(セブン&アイ出版)、『キレる! 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』(小学館)などがある。

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