何歳からでも「言語性知能」は伸ばしていける。やっぱり本が最強ツールだった!

中野信子「言語性知能を伸ばしていく方法」01

目標に向かって進んでいき、その目標を叶える——。そのような成功体験の積み重ねこそが、自らの自己肯定感を高め、幸せな未来をつくってくれます。ただ、目標を達成する勝率の高め方を知ることも、とても大切なことでしょう。

これまで、世の中のたくさんの識者がたくさんの方法を語ってきましたが、脳科学者の中野信子さんは、「言語性知能」と「非言語性知能」を鍛えることこそが、「目標達成における勝率を高めるポイント」になると説きます

構成/岩川悟(slipstream) 写真/塚原孝顕

勝率を高め運を引き寄せるには、「言語性知能」を鍛えていく

中野信子「言語性知能を伸ばしていく方法」02

ここでは、自分の目標に向かって、勝率を高めていくにはいったいどうすればいいのかということをお伝えしたいと思います。わたしがおすすめする方法は、ずばり「知能」を鍛えること。

「知能? それが簡単にできたら苦労しないよ」

そう思われるかもしれません。しかし、これはけっしてIQのような特殊な知能のことではないのです。

まず、知能には大きく「言語性知能」と「非言語性知能」があります。前者は、読書や勉強などで身につけた知識や、積み上げてきた経験を指します。最近は教養ブームでもありますが、教養もまさにこの「言語性知能」にあたります。

たとえ読書をあまりしない人でも、映画や音楽を楽しんだり、仕事を通じて経験を積み重ねたり、人とコミュニケーションしたりしているはず。それをより意識してこつこつと積み重ねていこうと心がけると、「言語性知能」が鍛えられていきます。そして、この知能こそまさに成功体験を次に生かすためのリソースになるものなのです。

一方、「非言語性知能」は、いわゆる「地頭」と呼ばれるような、未知の状況にも柔軟に対応できる知能のこと。このレベルは生まれつきある程度決まっているとされ、伸ばすことは難しいものです。でも、不可能ではありません。たとえば、脳で短期的に記憶を蓄える「ワーキングメモリ」を広げる訓練(日常のちょっとしたことを頭で記憶するなど)を続けることで鍛えることが可能です。

いずれにせよ、読書や学びの経験、交流の機会などを意識的に少しずつ増やしていき、「言語性知能」を鍛えることで、勝率を高めていくことができます

そして、それは誰にでも開かれている方法なのです。

何歳になっても、読書で「言語性知能」は伸ばしていける

中野信子「言語性知能を伸ばしていく方法」03

どんな人でもいまから鍛えることができる「言語性知能」について、もう少し説明します。

「言語性知能」は、簡単にいうと脳の「側頭葉」という部分に溜まっていく記憶のデータベースのようなものです。ここに知識や経験が蓄えられていきます。

そして、この記憶のデータベースをうまく使いこなすのに必要となるのが、前頭前皮質にある「背外側部」という部分。ここでアイデア同士を結びつけたり、損得を計算して取捨選択をしたりします。つまり、過去に学んだ知識や経験を、いま目の前にある課題に応用していくことで、アイデアはいくらでも生み出せるというわけです。

もちろん、知識や経験を蓄えていく力(学習能力・スピード)自体に個人差はあります。それでも、「言語性知能」は何歳からでも伸ばしていくことができるため、より良いアイデアもいつからでも生み出せます。年を取ったからといって、あきらめる必要などありません。

では、どのようにして「言語性知能」を伸ばしていけばいいのか。さまざまな方法がありますが、有効な方法のひとつが「読書」です。文字通り、言語によって情報が凝縮された本は、「言語性知能」を鍛えるうえで最適なツールです。

もちろんウェブ上の情報でもいいのですが、本は複数人のチェックを経ているのが良いところです。

読むものは、小説でもノンフィクションでも好きなものでかまいません。そこに書かれた発想やアイデアを自分が生きている現在に置き換えて、うまく生かしていけばいいのです。

「自分には発想力もアイデアもないな……」と落ち込まずに、まず本を手に取りましょう。

そして、人類が培ってきた偉大なリソースを存分に利用していきましょう。

***
「非言語性知能」を鍛えるのは少し難しそうですが、決して不可能ではなく、訓練次第で鍛えることができるのですね。そして、もうひとつの「言語性知能」は、誰でも努力次第でどんどん伸ばしていくことができるとわかりました。

「読書がいかによいものか」ということは世界中でいわれていますが、こうして脳科学的なアプローチで見ることができれば、自分の知能が鍛えられていくことを実感できるようになるはず。中野信子さんがいうように、「本という偉大なるリソース」をたくさん利用したいものですね。

※今コラムは、中野信子著『脳科学で自分を変える! 自己肯定感を高める脳の使い方』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです。 

【中野信子さん ほかの記事はこちら】
成人するまでに “14万8,000回” も否定的な言葉を聞かされるわたしたち。どうすれば自己肯定感を高められるのか?
嫉妬の感情がキケンな理由 

脳科学で自分を変える! 自己肯定感が高まる脳の使い方
中野信子 著/セブン&アイ出版(2019)

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【プロフィール】
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都出身。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として、『大下容子 ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週金曜コメンテーター)、『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)、『ホンマでっか! ?TV 』(フジテレビ系)。著書には、『サイコパス』、『不倫』(ともに文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)、『シャーデンフロイデ他人を引きずり下ろす快感』(幻冬舎)、『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(KADOKAWA)、『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』(セブン&アイ出版)、『キレる! 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』(小学館)などがある。

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