良い習慣を身につけたい、悪い習慣を改善したい。そんなときは「オペラント条件づけ」が役に立つ!

オペラント条件づけを習慣形成に活かす01

自分のためになる “良い習慣” を身につけたいけれど、なかなか続かない……
自分のためにならない “悪い習慣” を改善したいけれど、なかなかやめられない……
こう悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

そんな悩みを解決する手段のひとつに、「オペラント条件づけ」と呼ばれる方法があります。オペラント条件づけとは、ひらたく言えば「ある特定の行動をする頻度を増やしたり減らしたりするための訓練方法」のこと。

私たちの習慣形成にも大いに役立つそうですよ。具体的な活用例とともに詳しく紹介していきましょう。

「オペラント条件づけ」とは?

オペラント条件づけとは、アメリカの心理学者バラス・スキナー氏が考案した条件づけの方法のひとつです。

スキナー氏は、スキナー箱と呼ばれる「スイッチを押すことでエサが出てくるハト用の箱」を用意し、空腹なハトを中に入れて様子を観察しました。その結果、「(たまたま)スイッチを押したらエサが出てきた」という経験を何度もすることで、ハトのスイッチを押す頻度が増えることを発見。要は、スイッチを押すとエサが出てくることを学習したことで、ハトが自発的にスイッチを押すようになったのです。

このような「(動物が)ある特定の行動を起こす頻度を変える訓練過程」を「オペラント条件づけ」と名づけ、スキナー氏は以下のように理論化しました。

  1. オペラント反応
    ある特定の行動を “自発的に” 行なう。この自発的な行動を「オペラント反応」と呼ぶ。
  2. 強化・罰
    オペラント反応に対して「報酬」のような刺激を与えて行動の頻度を増やす。刺激を与えることで行動の頻度を増やすことを「強化」と呼ぶ。また、反対に行動の頻度を減らす刺激を「罰」と呼ぶ。

「成功体験」という言葉があります。これは、過去に得られた良い結果を表しますが、たとえば「努力してうまくいった!」という成功体験が多ければ多いほど、私たちは自然と楽しんで自発的に努力するようになりますよね。オペラント条件づけは、そんな成功体験をどんな行動にも与えることができ、私たちに「(自発的に)それをしたい!」と思わせてくれるのです。

では、オペラント条件づけは日常生活でどのように活用できるのか、3つの具体例とともに見ていきましょう。

オペラント条件づけを習慣形成に活かす02

「筋トレを習慣にしたい」ときのオペラント条件づけ

まずは、良い習慣を身につけたいときのオペラント条件づけの実践方法を、「筋トレを習慣にしたい」という場合を例にして見ていきます。 

まずは、「筋トレを習慣にしたい」という目標を、達成されたかが明確に図れる目標として言い換えてみましょう。 オペラント条件づけでは、達成できたときに報酬を出すという手順を踏むため、達成できたかどうかが明確でないといけません。この、最終的に達成したい目標を「達成目標」と呼びます。

達成目標→「毎日、腹筋を100回する」

しかし、 今日からいきなりこれを実践するのは難しそうですよね。そこで、もう少しハードルを下げ、すぐに実践できそうな別の目標を考えてみます。これは「行動目標」と呼ばれ、最後の達成目標にスモールステップで近づいていくために立てるものです(この行動目標は、達成できたらもっとハードルの高いものに変えていきます)。

行動目標→「週に1回、腹筋を20回する」

 次に、行動を強化するために、行動目標を達成した際の「報酬」を決めましょう。ポイントは、すぐに得られる報酬にすること。強化の確度を上げるためには、行動後にすぐ得られる報酬が望ましいそうです。

報酬→「好きな飲み物を飲む」

以上をまとめると、このようになります。

達成目標→「毎日、腹筋を100回する」
行動目標→「週に1回、腹筋を20回する」
報酬→「好きな飲み物を飲む」

オペラント条件づけを習慣形成に活かす03

「スマートフォン依存をやめたい」ときのオペラント条件づけ

では次に、悪い習慣をやめたいときの実践方法を、「スマートフォンをすぐに見てしまうのをやめたい」という場合を例にして見ていきます。

その前に、そもそもスマートフォンをすぐに見てしまうのはなぜなのかを、行動分析学で用いられている「ABC分析」という手法を用いて整理してみましょう。行動を「Antecedent(先行条件)」「Behavior(行動)」「Consequence(結果)」の視点で整理することで、その発生原因を探ることができます。以下のような具合になりますね。

A(先行条件)→「手元にスマートフォンがある」
B(行動)→「スマートフォンを見る」
C(結果)→「楽しい」

つまり、「楽しい」という報酬が、スマートフォンを見るという行動を強化している可能性があります。行動をなくしたいときの選択肢は「報酬をなくす」か「罰を与える」かですが、神戸親和女子大学教授の吉野俊彦氏によれば、オペラント条件づけでは一般的に罰は与えないほうがよいとのこと。行動の抑制が一時的なものに留まる、別の望ましくない行動に置き換わることがある、といった理由からだそうです。

そこで、ここでは「報酬をなくす」という対策がいいでしょう。たとえば、「よく使うアプリにスクリーンモードなどで利用時間制限をつける」など。こうすることで「楽しい」という報酬が減るため、スマートフォンを見るという行動も徐々に減らしていくことができます。

オペラント条件づけを習慣形成に活かす04

「休日に勉強する習慣をつくりたい」ときのオペラント条件づけ

最後に応用編として、これまで紹介した「スモールステップ」「報酬による強化」「ABC分析」すべてを使ってみましょう。例として「休日に勉強する習慣をつくりたい」という場合を考えてみます。

まずは、達成目標・行動目標・報酬を設定します。

達成目標→「休日に3時間勉強する」
行動目標→「休日に1時間勉強する」
報酬→「好きな映画を観る」

しかし、この設定でしばらく過ごしたところ、「勉強せずに映画をダラダラ観てしまう」という問題が発生が発生しました。対策を立てるために、「映画を観る」という行動をABC分析してみましょう。

A(先行条件)→「テレビがある」
B(行動)→「映画を観る」
C(結果)→「楽しい」

 

「映画を観ても楽しくない」という状況をつくるのは難しいかも……。そんなとき、じつはもうひとつ方法があります。それは、Aの先行条件を変えること。つまり、「そこにテレビがあるから映画を観てしまっている」可能性もあるため、テレビのない場所に身を置くことも対策のひとつとして考えることができるのです。

そこで、対策としてファミレスに行くことに。しかし、ファミレスではすぐに映画を観られないため、報酬を変えて以下のようにしました。

達成目標→「休日に3時間勉強する」
行動目標→「ファミレスで休日に1時間で勉強する」
報酬→「デザートを頼む」

 結果として、ファミレスに勉強道具だけを持っていくことで勉強にも取りかかりやすくなるため、休日の勉強習慣形成がより近づきそうですね。

オペラント条件づけを習慣形成に活かす05

***
では最後に、オペラント条件づけのポイントを再確認しておきましょう。

  • 達成できたかどうかが明確な「達成目標」を立てる
  • 自分にとって無理のない行動から段階を踏んで達成目標に至るような「行動目標」を立てる
  • 行動した結果としてすぐに得られる「報酬」を設定する
  • うまくいかなったときには「ABC分析」をする
  • 行動をやめたいときは「報酬をなくす」または「先行条件を変える」

***
良い習慣をつくりたい、悪い習慣をやめたい――そんなときは、この「オペラント条件づけ」があなたにとっての大きなヒントになることでしょう。

文 / 谷口亮祐

(参考)
コトバンク|オペラント条件づけ
脳科学辞典|オペラント条件づけ
公立はこだて未来大学|行動分析学
吉野俊彦(2018),「罰の効果とその問題点――罰なき社会をめざす行動分析学」, 『心理学ワールド80号』(PDF

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