デキる社会人になるには、ルーティンが欠かせません。適切な習慣を生活に取り入れると、
- 身体的コンディションが整う
- 精神的コンディションが整う
- 何をするべきか迷わなくなる
……などのメリットが生まれ、毎日の仕事や勉強がはかどります。
「朝活を始めたい!」「時間の使い方を見直してみようかな」という社会人の方におすすめできる朝~夜のルーティンを7つ紹介するので、自分に合うものがないかチェックしてみてください。
- 社会人におすすめのルーティン1:早寝早起き
- 社会人におすすめのルーティン2:起床直後の簡単な作業
- 社会人におすすめのルーティン3:ウォーミングアップ
- 社会人におすすめのルーティン4:新しい刺激
- 社会人におすすめのルーティン5:ToDoリスト
- 社会人におすすめのルーティン6:自己肯定
- 社会人におすすめのルーティン7:瞑想
社会人におすすめのルーティン1:早寝早起き
基本的なことですが、社会人なら早寝早起きをルーティンにしましょう。
脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝は睡眠によって脳内が整理されているため、新しい情報を入れたりクリエイティブなことをしたりするのに適した時間帯だそうです。特に、起きてから約2時間以内は「ゴールデンタイム」とのこと。
何か作業をするなら、夜ふかしする代わりに、早く寝て朝にやるほうがずっと合理的なのです。「早起きは三文の得」ということわざは、脳科学の観点からも真だと言えます。
ビジネスで大成功を収めた人にも、
- ジェフ・ベゾス氏(Amazon.com取締役会長)
- 柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)
- 糸山英太郎氏(新日本観光株式会社代表)
など、早起きをルーティンにしている人は多くいるんです。ただし、やみくもに早寝早起きをするのではなく、毎日同じ時刻に寝起きしましょう。
婦人科医の松村圭子氏によれば、起床時間がバラバラだと、睡眠ホルモン・メラトニンが分泌される時間もバラバラになってしまうそう。すると体内時計が乱れ、寝つきが悪くなるなどのデメリットが生じるのです。多少ズレたとしても、1時間以内に留めるべきだそうですよ。
休日も例外ではありません。「せっかくの連休だから、夜ふかししよう!」「たまには昼まで寝たいな……」という気持ちはわかりますが、誘惑に負けず、なるべく平日と同じ時間に寝起きしてください。
社会人としては、まず「早寝早起き」をルーティンにしてみましょう。
社会人におすすめのルーティン2:起床直後の簡単な作業
社会人としてまず取り入れるべきルーティンは「早寝早起き」でした。「次はどうすればいいの?」という方は、朝に行なうルーティンを決めましょう。
トップアスリートなどに睡眠指導を行なう「スリープコーチ」のニック・リトルヘイルズ氏は、起床後のルーティンとして「シンプルな作業」をすすめています。まずは簡単な動作を行ない、脳を徐々に目覚めさせるのです。
◆脳を目覚めさせる「シンプルな作業」
- 朝食をつくる
- コーヒーをいれる
- ベッドを整える
- 服にアイロンをかける など
デキる社会人としては、朝は余裕をもってルーティンをこなしたいですね。
社会人におすすめのルーティン3:ウォーミングアップ
社会人には、軽い運動でウォーミングアップするモーニングルーティンもおすすめ。運動習慣は、身体の健康を保つだけでなく、脳のパフォーマンスを高めるのにも効果的だとわかっているんです。
情報工学者・柏原考爾氏らが1999年に発表した研究では、計算テストの成績と運動の関係を調べました。何も運動をしない場合と比べ、エアロバイクを10分間こいでからのほうが、計算テストの成績が有意に向上したそうです。
このとき、エアロバイクをこぐ運動の負荷強度は「80W」でした。同程度の運動には、水中歩行やテニスのダブルスが挙げられます。つまり、軽すぎもきつすぎもしない運動を行なえば、知的なパフォーマンスが高まると考えられるのです。
この実験では、120Wの強度でエアロバイクをこいだ場合だと、運動していないときよりも計算の成績が下がってしまいました。「朝から疲れたな……」と感じるような運動は逆効果です。あくまでウォーミングアップなので、少し汗がにじむ程度の運動をルーティンにしてください。
◆ウォーミングアップに適した運動
- ジョギングを10分間する
- 縄跳びを10分間する
- 80Wの設定でエアロバイクをこぐ
- ラジオ体操を10分間する など
社会人におすすめのルーティン4:新しい刺激
デキる社会人になりたいなら、「新しい刺激」を意識的に取り入れることをルーティンにしてみましょう。
心理学者のニコ・ブンツェック氏らが2006年に発表した研究によると、モチベーションをつかさどる脳の「黒質」という部分は、目新しい刺激に反応しやすいそう。そして黒質が活性化すると、神経伝達物質「ドーパミン」の分泌が促されるとのことです。
ドーパミンは、報酬を期待してワクワクする気持ちを生むだけでなく、記憶や学習にも関連しています。ドーパミンによって「何これ、おもしろそう!」という気持ちが生まれることには、
など、多くのメリットが期待できるのです。
社会人としては、常に情報へのアンテナを張り、新しい刺激に積極的に触れることをルーティンにしてみましょう。
◆新しい刺激に触れるルーティン
- 毎朝、新聞やニュースサイトに目を通す
- ランチタイムに、新しい店やメニューを試す
- 仕事帰りは必ず本屋に立ち寄る
- ニュース番組・情報番組をチェックする
- 週に1本以上、新しい映画を観る
- 出会いの場に足を運ぶ など
社会人におすすめのルーティン5:ToDoリスト
社会人なら、その日のタスクを洗い出してToDoリストをつくることをルーティンにしましょう。
「ToDoリストのつくり方は自己流でいいのかな?」と自信がない方は、エグゼクティブコンサルタント・森本千賀子氏が紹介している手順に沿ってみてください。
◆ToDoリストのつくり方・使い方
- ToDoリスト用のノートを用意する
- 抱えているタスクをすべて書き出す
- タスクを「今日中」「今週中」「今月中」に分類し、色分けする
- 「今日中」のタスクに取りかかる時間帯を決める
- タスクを終えるたびにリストから消す
同じタスクが毎日ある場合は、取り組む時間帯を決めておくのがよいそう。「メールチェックは朝イチ」「日報は一日の最後」などのルールがあれば、いちいち考える必要がなくなりますね。
「朝は忙しくて、ToDoリストをつくる余裕なんてないよ」という方は、前日の夜でもOKです。社会人のルーティンとして、ぜひやってみてくださいね。
社会人におすすめのルーティン6:自己肯定
「社会人になっても、ちょっとしたことで落ち込んじゃう……」という方は、自己肯定感を高めることをルーティンにしましょう。
自己肯定感とは、欠点や失敗も含めて自分を丸ごと肯定する感情のこと。困難にくじけず、前向きに乗り越えていくには欠かせない感覚です。
仕事でミスしたときに自己肯定感が低ければ、「やっぱり自分はダメだ……」と深く落ち込み、ネガティブな感情を長く引きずってしまうかもしれません。しかし自己肯定感が高い人は、「また頑張ればいいさ」と立ち直り、次のアクションに移ることができます。
自己肯定感を高めるには、どうすればいいのでしょう? 精神科医の井上智介氏は、次のような習慣を推奨しています。
一日一善
職場や家庭で、「誰もが面倒くさがる小さなこと」をこなしましょう。洗面台のまわりを拭いたりコピー用紙を補充したり、ちょっとしたことでOKです。
このような「いい行ない」をすることで、「私、偉い!」と肯定的なセルフイメージをもてます。その善行を見ていた周囲の人からも大切に扱われやすくなるため、「自分はちゃんとやれているんだ」と思えますよ。
「一日一善」などのマイルールを決め、チャレンジしてみましょう。
鏡に向かって笑顔
井上氏によれば、笑顔になる機会が増えると自己肯定感が上がるそう。「つくり笑顔」でもいいそうです。「毎朝、鏡の前で笑顔をつくる」ことをルーティンにすれば、さわやかな気分で一日を始められますね。
自分をねぎらう
一日の最後は、「今日もよく頑張った!」「一生懸命働いて偉い!」と自分をほめてあげましょう。失敗をくよくよ思い出して「一人反省会」をするのはNGです。湯船にゆっくりつかったりマッサージ屋さんへ行ったりして、身体をいたわるのもおすすめ。
落ち込みやすい社会人の方は、意識して自分をいたわることをルーティンにしてみてくださいね。
社会人におすすめのルーティン7:瞑想
社会人には、瞑想をルーティンにすることもおすすめです。「オカルトっぽい」というイメージがあるかもしれませんが、近年では科学的な効果が認められているんですよ。
2013年、カナダ・モントリオール大学が瞑想に関する209件もの研究をメタ分析した論文が発表されました。瞑想を行なうと、不安やストレス、憂うつ感が軽減できることがわかったそうです。
日本マインドフルネス学会副理事長の熊野宏昭氏によると、瞑想の一種「呼吸の瞑想」は次のように行ないます。
◆「呼吸の瞑想」のやり方
- 背筋を伸ばして座り、目を軽く閉じる
- 息を吸い、腹や胸が膨らむのを感じつつ、心のなかで「膨らみ、膨らみ」と唱える
- 息を吐き、腹や胸が縮むのを感じつつ、心のなかで「縮み、縮み」と唱える
ほかのことを考えてしまったら、「雑念、雑念。戻ります」と唱え、呼吸に集中する。一日10分ほど
瞑想は、Google、インテル、ゴールドマン・サックスなど世界的大企業の研修でも採用されています。瞑想をルーティンにすれば、雑念や不安が消えて集中力が高まり、社会人として実力を発揮できるのではないでしょうか。
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社会人の方におすすめのルーティンを紹介しました。日々のパフォーマンスを向上させるため、自分に合ったルーティンを取り入れてみてください。特に朝のルーティンについては、こちらの記事も参考になるはず。
>>社会人・学生向け理想的モーニングルーティン9選
>>朝活をルーティン化しよう! 誰でもできる簡単アクティビティ4選
(参考)
京都朝げいこ|[対談インタビュー]脳科学者・茂木健一郎氏に聞く。
朝日新聞Reライフネット|朝寝坊はせめて1時間以内に
マネー現代|ベゾス、ジョブズ、孫正義…世界の大富豪が実践する「5つのルーティン」
ニック・リトルヘイルズ 著, 鹿田昌美 訳(2018),『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』, ダイヤモンド社.
柏原考爾・室田真男・清水康敬(1999),「エアロバイク運動時の負荷強度と運動時間が計算成績に及ぼす影響に関する検討」, 日本生理人類学会誌, 4巻, 4号, pp.173-180.
University College London|Novelty aids learning
Bunzeck, Nico and Emrah Düzel (2006), "Absolute Coding of Stimulus Novelty in the Human Substantia Nigra/VTA," Neuron, Vol. 51, No. 3, pp.369-379.
森本千賀子(2014),『後悔しない 社会人1年目の働き方』, 西東社.
Yahoo!ニュース|自尊感情(セルフエスティーム・自己肯定感)を高める方法
PRESIDENT WOMAN Online|産業医が教える、3カ月で自己肯定感が驚くほどアップする「毎日の小さな習慣」5つ
Khoury, Bassam, Tania Lecomte, Guillaume Fortin, et al. (2013), "Mindfulness-based therapy: a comprehensive meta-analysis," Clinical Psychology Review, Vol. 33, No. 6, pp.763-771.
メンタリストDaiGo(2016),『ウィルパワーダイエット ダイエットという自分との心理戦に勝つ方法』, マガジンハウス.
NHK|「マインドフルネス」とは?めい想の方法・効果と「呼吸のめい想」のやり方
NHK|不安をやわらげる効果に期待!マインドフルネスとは
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。