「誰よりもミスなく仕事ができる人」が押さえている “3つの超基本”

ミスなく仕事ができる人が押さえている3つの超基本01

「以前仕事で指摘されたミスを何度も繰り返して、いまだに注意されている」
「ミスを減らしたいけど、どうしたらミスせずに仕事を進められるのかわからない」

このような人の仕事の進め方には、大きな問題点があります。じつは、超基本的なことを押さえるだけで、ミスをしてしまう可能性は格段に減るのです。

そこで今回は、ミスをしないビジネスパーソンになるための基本スキルを3つご紹介します。

【基本1】時間には「2~3割の余裕」をもたせる

いつも時間がなく焦ってミスを連発してしまいがちな人は、東レ経営研究所特別研究員の渥美由喜氏が提唱する余裕2〜3割ルールを実践してみましょう。これは、1日の業務時間のうち2~3割ほどは予定を入れず空けておくというもの。

渥美氏の分析によると、1日の仕事の2〜3割は突発的に発生したものだそう。「今日中に資料作成をお願い」「今日の打ち合わせ、一緒に出てくれない?」などと言われ、急に仕事が増えることはよくありますよね。にもかかわらず予定をきっちり詰めてしまっては、緊急の用件にすぐ対応できません。それゆえ、スケジュールには余裕をもたせておくべきなのです。

このことは、脳科学的に見ても理にかなっています。突発的に仕事が増えて時間が足りなくなると、あれもこれもやらなきゃと、一度に複数のタスクを処理していませんか? じつはこのマルチタスクが、ミスの発生原因なのです。

精神科医の樺沢紫苑氏によれば、人間の脳はマルチタスクによって集中力が落ちるのだとか。ひとつずつタスクをこなす人に比べ、マルチタスクをする人の生産性は40%も低く、ミスを起こしやすいという研究結果もあるのだそう。

たとえば1日の実働時間が8時間だとしたら、2〜3割にあたる1時間半〜2時間半程度は、特別な予定を入れないようにしておきましょう。すると急なタスクに対応できるうえ、マルチタスクを回避できてミスを減らせるはずです。

ミスなく仕事ができる人が押さえている3つの超基本02

【基本2】仕事場を整理する

ミスなく仕事ができる人になるには、デスクまわりをきちんと整頓することも不可欠です。脳の機能を調べる機能的磁気共鳴画像(fMRI)を使用したプリンストン大学神経科学研究所の研究では、身のまわりが散らかっている場合よりよく整理されている場合のほうが、作業に対する集中力と情報処理能力が高く、仕事の生産性が上がると明らかになりました。

研究によると「脳は無秩序な状態を嫌う」とのこと。乱雑な作業環境にいると、その散らかった状態が目に入ることで、「認知資源」と呼ばれる脳のリソースが枯渇。それが集中力の低下につながるのだそう。仕事用のデスクに物が乱雑に置かれていると、それだけで集中力が落ち、ミスをしやすくなるのです。

また、作業自体の効率を高める意味でも、整理整頓は重要です。アメリカの大手オイルライター会社Zippoが2014年に行なった調査によると、日本人は一生のうち平均75,322分間、なんと52日分もの時間を探し物に当てているのだとか。ベストセラー『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』の著者リズ・ダベンポート氏も、平均的なビジネスパーソンは探し物で年間150時間も浪費していると指摘しました。単純に考えても、毎日30分弱を無駄にしているのです。

探し物のせいで仕事に取り組める時間が減ったり、必要なものが見つからないために作業がはかどらなかったりすれば、ミスしやすくなるのも当然だと言えます。

ではここで、ミス防止に役立ち、かつ整理整頓の習慣化もできる方法をふたつご紹介しましょう。

仕事始めのデスク整理

脳神経外科医の築山節氏いわく、脳はONとOFFを常に切り替えながら働いているものの、自分の意思で瞬時に切り替えることはできないそう。休憩から仕事に戻ったあと、思うように作業がはかどらずケアレスミスをしてしまったことはありませんか? それは、脳の切り替えがうまくいっていなかった証拠です。

そこで、脳をすぐに働かせるため、仕事を始める前にデスクの整理を10分間行なってみましょう。築山氏によると、手を動かす簡単な作業をすることで脳が刺激され、覚醒して軽い興奮状態となり、仕事がはかどりやすくなるそう。これを「作業興奮」といいます。

また、脳が覚醒すると、脳内で分泌されるドーパミンの働きによって、仕事へのモチベーションが向上。思考や判断をつかさどる前頭葉が活発になるため、普段見落としがちな箇所にもしっかりと注意を向けることができます。当然、ミスしづらくなりますよ。

たとえば朝一番に、細かい数字が絡むなどしてミスできない仕事がある場合は、眠気まじりで仕事を始めるのではなく、先にデスクの整頓をしてから取り組んではいかがでしょうか。

資料の断捨離は1年周期で

紙の書類を、いつか使うのではと思ってデスクに置いたまま、なかなか捨てることができないという人も少なくないでしょう。ですが、作成から1年以上過ぎた書類は、よほど重要でない限り捨ててしまってください

アメリカの調査機関ナレムコ(NAREMCO)の調査により、目を通す頻度の高い書類の99%が1年以内に作成されたもので、1年を超した書類はなんと100回に1回しか見られないことがわかったそう。

仕事では日々新たな資料がつくられ、古い資料はどんどん使い物にならなくなっていきます。古い資料をずっとためていても、間違ったデータを参照してミスしてしまう可能性が高まるだけ。この先ほとんど使わないことが予想される資料はすぐ処分して、仕事の正確性を高めましょう。

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【基本3】ゴールから逆算してタスクを細分化する

最後に、「1カ月後の納期に間に合わせる」「企画書を3週間後までに完成させる」といったゴールを達成するまでの過程で、ミスしないようにする方法を紹介しましょう。

人材カウンセラーの中尾ゆうすけ氏によれば、「なんとなくよさそうな手段」を考えてとりあえず作業に着手してしまうと、納期の遅れや必要な業務の漏れにつながりかねないそう。本当にやるべきなのは、ゴールから逆算して必要な手段を決めたうえで作業を始めること。中尾氏はこれを逆算仕事術と呼びます。

経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィー氏も著書『7つの習慣』のなかで、まずは仕事の結果を思い浮かべることから始めるべきと伝えています。というのも、最初にゴールを設定しておけば、ミスなくゴールにたどり着くための手法や期間を、大まかでも予測できるからです。

たとえば、「月末に、取引先へ自社の製品を納品する」というゴールの場合。「月初に、必要な製品数とスケジュールを工場と共有する」「1週間経ったら進捗を確認する」など、納期から逆算してタスクを細分化し、それぞれに締め切りを設けましょう。そうすれば、誤った方向に進むことなく最短でゴールにたどり着けるはず。ゴールまでの作業を正しくこなすという点でも、ゴールに到達するという点でも、ミスなく仕事を遂行できるでしょう。

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ミスをしないビジネスパーソンとなるために、ぜひ守るべき基本3つを紹介しました。どれも、普段の仕事スタイルを少しアップデートするだけで実践できるものばかり。ミスゼロを目指し、ぜひ試してみてください。

(参考)
NIKKEI STYLE|達人が選ぶ時間管理術 誰でもすぐ実践、10のワザ
NewsPicks|【樺沢紫苑】集中力が続かない原因はマルチタスクの“脳疲れ
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する
McMains, Stephanie, and Sabine Kastner (2011), "Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex," Journal of Neuroscience, Vol. 31, No. 2, pp.587-597.
ITmedia NEWS|日本人はなくしもの探しに一生で52日を費やしている Zippoが「失った痛みを分かち合う」キャンペーン
プレジデントオンライン|探し物で使う年間150時間は、どうしたら減らせるか
築山節(2012),『脳が冴える勉強法 覚醒を高め、思考を整える』, NHK出版.
岩崎一郎・松村和夏・渡部卓 監(2015),『強いカラダ・ココロ・アタマをつくる はたらく人のコンディショニング事典』, クロスメディア・パブリッシング.
長谷工の住まい|デスクの整理は頭の整理!仕事や勉強効率のあがるデスク収納術とは?
公益財団法人私立大学退職金財団|締切厳守、できるリーダーになるための逆算仕事術
スティーブン・R・コヴィー 著, フランクリン・コヴィー・ジャパン 訳(2013), 『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』, キングベアー出版.

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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