「社会人としてスキルアップしたいけど、読書だけは苦手だ......」
読書は重要だとわかってはいるものの、途中ですぐ飽きてしまう性格に嫌気が差し、本を読むことを避けてきた人はいませんか?
苦手だからといって読書を避けたままでは、どんどん知識を吸収して成長していく同僚にいつの間にか差をつけられてしまうかもしれません。そこで今回は、“読書嫌い” の人でも継続して本を読むことができる読書術を3つご紹介します。自分に合った効果的な読書術を習得して、デキるビジネスパーソンになりましょう。
【読書術1】三角読み読書術
飽きっぽい性格であるがゆえに1冊の本をじっくり読めないという人へおすすめするのが、「三角読み読書術」です。これは精神科医の名越康文氏が推奨する読書術。もともと集中力がなく本を長く読み続けることができなかったという名越氏が、自身の経験をふまえ、“集中力ゼロ” の人にでも続けられる方法として生み出しました。
「三角読み読書術」の具体的なやり方は、「読む」「考える」「書く」の3つを繰り返していくだけ。
まず「読む」ステップでは、自分が読みたい本を飽きるまで読み、飽きてしまったら途中で次の本へ移ります。複数冊の本を併読することになるわけですが、ここで重要なのは、次の本へ移ったあとも、最初の本で引っかかった言葉や文章を頭に留めておくこと。次の本では「読む」ステップに「考える」ステップも加え、頭に引っかかった言葉や文章について考察していく読み方をしましょう。
この読み方について、名越氏は以下のような例を挙げています。
たとえば、「この人の言う『大衆』はこういうことか、僕の思っている大衆とは違うな」とか、「大衆とはなんだろう、大衆はこんなに情緒的なのに何で一つの力にならないのだろう」など、「大衆」というテーマを念頭に置きながらいろいろな本を読んでいると、本Aと本Bが化学反応を起こしてハッとひらめくことがあります。
(引用元:PHPオンライン衆知|本が読めなかった精神科医を救った「三角読み読書術」)
このようにして自分の考えがひらめいたら、次は最後の「書く」ステップです。自分の考えを、ただ頭で考えるだけでなくノートやスマホのメモにも書き残しておきましょう。名越氏がすすめるのは、TwitterなどのSNSを利用し、自分の考えを文字にして発信すること。それに対する反応やコメントでほかの人の考えにも触れることができ、知見がより深まるのです。
仮に、A・B・Cの3冊の本を読む場合、三角読みは以下のような流れで行ないます。
「Aを読む」→「Aに飽きたらBを読む」→「Aで引っかかった言葉について、Bでも書いていないか読みながら探す」→「Bにも飽きたらCを読む」→「引っかかった言葉について、Cでも同じく読んでいるあいだずっと考え続ける」→「自分なりに考えたことについて、Twitterなどでアウトプットする」→「またどれか気になる本を読む……」
この読書術なら同じ本を読み続ける必要がないので、たとえ1冊の本に集中できない人でも、飽きることなく読書を続けられるはずです。また、自然とアウトプットにも取り組めるので、本の内容が自分のものとして身につくでしょう。
【読書術2】理系脳読書術
読むのが遅く、いつも本を読み終えるまでに長い時間がかかってしまう。読書がなんの役に立つのか、なかなか実感できない。こうした理由から読書を避けてしまいがちという人もきっといるはず。
しかし、教育コンテンツ・プロデューサーの犬塚壮志氏によると、読書において重要なのは、「本を全部読むこと」ではなく「本のどこを読むか」。したがって、最初から最後まで読めば読書は終わりというわけではなく、「問題解決に必要な情報を得られたとき」が読み終わりなのだそう。
そこで、合理的な読書のかたちを最大効率化したものとして犬塚氏が提唱するのが、「理系脳読書術」というフレームワーク。その内容は、「準備する」「実験する」「評価する」という3ステップに分かれています。
最初の「準備する」段階では、自分の問題解決に必要な情報を収集するために本を読みます。たとえば「仕事の営業成績が低迷してきた」のような悩みを抱えていて、営業成績アップにつながるテクニックを得るために、会話スキルに関する本を読むとしましょう。このとき、まずは本の目次を見て悩みの解決につながりそうな部分を探し、そこから先読みすると効果的。目次で「傾聴」の項目を見つけ、そのページを実際に読んでみて取引先との会話に役立ちそうだとわかったら、その部分だけを読んで終わりにしてもよいのです。
次に「実験する」段階では、計画を立てて実践に移し、問題解決を図ります。前述の例で、営業成績アップには「傾聴の姿勢が重要」とわかったら、その段階で本を読むのを終わりにし、「これからの仕事にそれをどう応用していくか」を具体的に計画しましょう。「次の営業先では、一方的な提案はせずヒアリングを重視して会話を進めていこう」といった感じで計画を立て、実行へと移します。
最後の「評価する」段階では、実践した計画がうまくいったかどうかを検証してみてください。先ほどの例なら、「実際の営業でヒアリングを重視した結果、契約数は増加したか・しなかったか」を検証するといった具合です。もし計画がうまくいかなかったのなら、問題解決に至らなかったということ。本を読み直すなどして改善策を立て、次の検証へつなげましょう。
このように、「問題解決」という要素に着目し、「準備→実験→評価」を1サイクルとして繰り返せば、本の内容を自分自身に定着させていけます。読書の意義を感じられないせいで本を読むことから遠のいていた人でも、必要な内容だけを狙い打ちしながら読むことで、実生活にひもづけるかたちで読書を習慣化できるようになりますよ。
【読書術3】3分の1リーディング
読書をしたいけれど、充分な時間をとれないからできない……。そんな人は、「3分の1リーディング」という読書術を実践してみるとよいでしょう。
『頭がいい人の読書術』の著者である尾藤克之氏が、ベストセラーを含む数多くの本を読んで実証したところによると、縦書きの本であれば “上部3分の1”、横書きの本であれば “左側3分の1” を中心に目を通すだけで内容を充分に把握でき、読書を大幅に時短できるそう。
その理由を尾藤氏は、日本語の構造上、主語、述語、目的語といった重要な言葉が “上部3分の1”、“左側3分の1” にまとまりやすいからだと述べます。したがって、上部または左側3分の1に目を通すだけで、読んだ箇所の文章が完結していなくても全体の内容を推測できるのだそう。そこで、本が縦書きであれば “下部3分の2”、横書きであれば “右側3分の2” を手で隠すようにして読み進めていきましょう。
たとえば、仕事管理術についての本で “上部3分の1” のみに目を通したところ、「タスクを手帳に書き込み」「緊急度」「色を分けて」といった言葉が目に入ってきたとします。この場合、文章をすべて読まずとも「仕事上のタスクについて、緊急度ごとに色を変えて手帳に書き込むとよい」という内容が頭に入ってくるでしょう。このように、短時間で本の内容をざっくり把握できるのです。
尾藤氏いわく、この「3分の1リーディング」という速読術には慣れが必要ではあるものの、慣れればどんな本でも1冊あたり約10分で読み終えられるようになるとのこと。また、新しくこの速読術を始める人は、まず上半分・左半分だけを読むことから始めてみるといいそうです。
「時間がないから読書はできない」と諦めていた人でも、この方法なら読書を継続できるはずですよ。
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たとえ読書が苦手な方でも、無理なく継続できて知識を吸収できる読書術を3つご紹介しました。ぜひ実践して効果を体感してみてくださいね。
(参考)
PHPオンライン衆知|本が読めなかった精神科医を救った「三角読み読書術」
ダイヤモンド・オンライン|読書効率を最大化する「理系脳読書術」
STUDY HACKER|“10分で1冊” 読める「3分の1リーディング」の極意。本は全部読まなくていいんです
【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。