“10分で1冊” 読める「3分の1リーディング」の極意。本は全部読まなくていいんです

尾藤克之さんインタビュー「本を速く読める『3分の1リーディング』の方法」01

勉強のために本を読みたいとは思っても、どうしても長い読書時間はとれない……。これは、現代社会に生きる忙しいビジネスパーソンが抱える悩みのひとつです。だとしたら、できるだけ速く本を読む方法を身につけたいもの。

そこでお話を聞いたのは、『頭がいい人の読書術』(すばる舎)などの著書で知られるコラムニストの尾藤克之(びとう・かつゆき)さん。尾藤さんがおすすめしてくれたのは、「縦書きの本なら上の3分の1、横書きの本なら左の3分の1を中心に目を通す」という意外な方法でした。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

重要なワードの7割が本の上3分の1に入ってくる

みなさんは、本を読むときにどんなことを心がけていますか? 読書を趣味としていて、休日にじっくりと本を読むことに楽しみを見いだしている人もいるでしょう。でも、現代社会に生きる多忙なビジネスパーソンで、特に勉強のために本を読むという人のなかには、「できるだけ速く読みたい」と思っている人もいるはずです。いま、速読術がブームとなっていることにも、そのことが表れているように思います。

では、いったいどうすればなるべく速く本を読むことができるのでしょうか。私からおすすめするのは、3分の1リーディングというもの。縦書きの本なら上の3分の1、横書きの本なら左の3分の1を中心に目を通すのです。「そんな読み方じゃ、内容がわからないよ」と思った人も多いことでしょう。でも、この読み方で十分に内容をつかむことができます

なぜなら、日本語の構造として重要なワードが上の3分の1、あるいは左の3分の1に入る確率が高いからです。日本語は、倒置法といった特別なケースもありますが、基本的には最初に主語がきて、目的語、述語と続く構造になっています。それらが重要なワードであり、残りの多くはそこまで重要ではない修飾語です。

主語は最初にきますから、その段落の頭に入ってくるというのは理解できますよね。また、編集者が介在してつくられる本では、主語と述語が離れているようなわかりにくい文章には通常ならないものなので、主語と述語は近いところに記述される可能性が高い。そして、なぜか残りの目的語も含めた重要なワードのなんと7割ほどが、上の3分の1、左の3分の1に入るのです。

これは、私がベストセラーなどを含む数多くの本を使って実証したことです。

尾藤克之さんインタビュー「本を速く読める『3分の1リーディング』の方法」02

「3分の1リーディング」により10分で1冊の本を読める

それでも、「本当に?」と疑っている人もいるでしょう。そういう人は、手元にある本を何冊か開いてみて、下の3分の2か右の3分の2を隠して読む、逆に上の3分の2か左の3分の2を隠して読むという方法をそれぞれ試してみてください。圧倒的に内容が頭に入ってくるのは、上の3分の1か左の3分の1だけを読む前者であるはずです。

逆に言えば、下の3分の2、右の3分の2を読むことにはそれほど意味がないということになる。「本に書かれている内容のうち重要なものは2割であり、残りの8割は重要ではない」とも言われます。高い確率で重要なワードが上の3分の1、左の3分の1に入っているのですから、高い確率で下の3分の2、右の3分の2には重要でないことが入っているのです。

とはいっても、この「3分の1リーディング」をするには、もちろん慣れも必要。私の場合、小学生の頃からこの読書法をしているためにすっかり慣れていていて、基本的にはどんな本でも10分ほどで読み終えることができます。

初めてやってみる人なら、最初は3分の1ではなく、上半分、左半分だけを読むことから試してみてください。きっと、「本当に内容がわかる!」と驚くはずです。実際、私が「3分の1リーディング」を紹介した著書『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を読んださまざまな方から連絡を頂いていますが、そのほとんどが「3分の1リーディング」に関するものでした。それだけ、みなさんが強いインパクトを感じたのだと思います。

尾藤克之さんインタビュー「本を速く読める『3分の1リーディング』の方法」03

読むスピードを落としてしまう「頭のなかでの音読」

また、「できるだけ速く読みたい」と思っている人には、「3分の1リーディング」とあわせてもうひとつおすすめしておきたい方法があります。それは、「音読しない」ということ。

「いやいや、書かれている内容を誰かに説明するときならともかく、大人になってから音読なんてしていないよ」と思ったことでしょう。でも、実際には「頭のなかで音読をしている」人が多いのです。

これは、小学校の国語の授業による弊害だと思います。小学生のとき、「○○君、△ページから□ページを読んで」と先生に言われたら、姿勢を正し、大きな声で1文字1文字しっかりと発音することを求められたはずです。その読み方がどうしても癖として残っていて、「頭のなかで声を出して読んでいる」人も多いのです。

もちろん、それでは読むスピードが落ちて当然。1文字1文字を認識するのではなく、単語や単語のまとまりなど、ブロックをひとかたまりとしてとらえるよう意識してみてください。格段に読むスピードがアップするはずです。

尾藤克之さんインタビュー「本を速く読める『3分の1リーディング』の方法」04

【尾藤克之さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「本が苦手」な人が「読書好き」に変わる方法。あなたはまだ○○に出会えていないだけ
本に “あれ” を貼ってはいけない。定番だけど少し意外な「身になる読書」2つのコツ

頭がいい人の読書術

頭がいい人の読書術

  • 作者:尾藤 克之
  • すばる舎
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【プロフィール】
尾藤克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員 / 議員秘書、コンサル、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国を運営。「JBpress」「オトナンサー」「アゴラ」「朝日新聞telling,」「J-CAST会社ウォッチ」など数多くのメディアに寄稿している。著書16作品。近著は「頭がいい人の読書術」(すばる舎)。詳細なプロフィールはWikipediaをご確認ください。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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