ストレスまみれの人が「6分間読書」をするべき科学的理由【悩み別読書法4選】

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本を読むのは良いことだ——この言葉に疑問の目を向ける人はひとりもいないはずです。自分の興味関心を満たしたり、新しい知識を手に入れたり、スキルアップを狙ったりするうえで、読書は必要不可欠な行為ですよね。

とはいえ、読書スタイルは人によってさまざま。そして、読み方を変えるだけで、得られる効能もだいぶ異なってくるのです。

そこで今回は、悩みやシチュエーションごとに、おすすめの本の読み方を4つまとめてみました

  • ストレスを抱えている人
  • 読むのが遅い人
  • 読みっぱなしになり、知識として定着しない人
  • ずっと健康でいたい人

それぞれに、最適な本の読み方があるようですよ。

1. ストレスを抱えている人には「6分間読書」がおすすめ

読書は私たちの精神に良い影響をもたらしてくれます

欧米では「ビブリオセラピー」と呼ばれる心理療法としての読書が広まっていますし、イギリスでは2013年から、医師が薬ではなく本を処方する医療システムが政府公認で開始されました。

そんな読書の効果の裏付けとなるデータは、イギリスのサセックス大学の研究によって証明されています。その研究によれば、音楽鑑賞やコーヒーブレイクなどよりも、“たった6分間の読書” のほうがストレス解消効果が高かったのだそう。本に没頭することで、良い意味でストレスや心配事から逃避できるからだと、研究者は分析しています。

どんなに忙しい毎日を送っていたとしても、たった6分程度であれば容易に時間を確保できそうですよね。電車に乗っている間や、夜寝る前のリラックスタイムなど……。ぜひ、ちょっとしたスキマ時間を見つけて、6分間だけ本の世界に没頭してみてください

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2. 読むのが遅い人には「フロー・リーディング」がおすすめ

べつに本は速く読めればいいというものではありません。しかし、あまりにも遅すぎてなかなか先へと進まず、読み進める意欲がどんどん減退してしまう……なんて事態は避けたいもの。

そんな悩みを持つ「遅読家」のために、株式会社アンビエンス代表取締役で年間700冊以上の読書量を誇る印南敦史氏は、「フロー・リーディング」という読書法を提案しています。

「フロー(flow)」とは「流れる」という意味の英語です。簡単にいえば、フロー・リーディングとは、「その本に書かれた内容が、自分の内部を「流れていく」ことに価値を見出す読書法」です。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「音楽を聴く」ように「本を読む」には?【後篇】

印南氏によれば、読むのが遅い人は「本の内容を全部頭の中にストックしていかなければ……!」という呪縛に囚われてしまっているとのこと。しかし、この読み方は膨大な情報が押し寄せてくる現代には適していないと、印南氏は指摘します。代わりに、内容を無理に頭に入れようとせず “音楽のように” 流していき、そのなかで自らが気になった言葉やフレーズだけを自らの知識や財産にしていくのです。

例えば、成毛眞氏の著書『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』(角川書店)内の以下の部分をフロー・リーディングする場合。

人生は博打のようなものではあっても、博打ではないから大丈夫だ。本を買うほどのお金、人と会うほどのお金があればいい。

(中略)

勉強会だけでなく、取引先 のエライ人に会う、親の友人たちと話をさせてもらう、講演会を覗いてみるなどもお勧めだ。旅行もいいが、じつのところ昔ながらの人脈づくりが一番いい。

筆者であれば、「本を買うほどのお金、人と会うほどのお金があればいい」「人脈づくりが一番いい」なんて部分が気になりました。このように、自分にとって「良いな」と思う言葉やフレーズは自然に頭に入るもの。それらだけに絞って本を読んでいけばいいのです。

音楽を聴いてその音の配列や歌詞を完璧に覚える必要がないように、読書も、自らの琴線に触れて頭に残った部分にこそ価値があると言えるのではないでしょうか?

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3. 知識として定着しない人は「積極的にアウトプットする」のがおすすめ

そもそも皆さんは、読む本をどのようにして選んでいるでしょうか。例えば、次に読む本を買うために書店へ足を運んだ際、その書店の売り上げランキング上位の本や、ベストセラーコーナーに置かれている本を手に取る人も多いはず。

しかし、これこそが「受け身の読書」だと警鐘を鳴らすのは、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二氏です。

現在、書籍の刊行点数も多いですし、インターネットを含め多くの情報が氾濫しているような状態です。

そこでくるものを拒まず取り入れていたら、時間が足りませんし、様々なジャンルの情報に触れたとしても、ただ触れただけで、結局何も手に残らなかった、ということにもなりかねません

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|本はたくさん読みすぎてはいけない ※太字は筆者が施した)

つまり、情報であふれた現代社会において、自らにとって本当に有益な本は、ある程度のビジョンを持って自分で探さなければいけないということ。書店の奥のほうまで行き、平積みされていない本にも目を向けて、自らが必要だと思う本を選ぶ「攻めの読書」こそが、有意義な読書への第一歩なのです。

さらに赤羽氏は、読書をした感想や考察をブログやSNSで発信したり、本について友人と意見を交わしたりするなど、「アウトプット」を能動的に行なうことも攻めの読書の一環だといいます。

また、逆にいえば、自分の問題意識に則って、読書や情報収集を徹底し、ブログで発信していけば、勉強会などで話してほしいと言われるくらいの知識は身につきます。

(中略)

さらに、ただ本を読むだけでなく、人に会ったり、現場に足を運んだりしたほうが、本で得た知識も深まり、自分の力になります。

(引用元:同上)

本をなんとなく “読まされている” 状態はNG。目的意識をしっかり持ち、積極的にアウトプットしていくことが、有意義な読書には必要なのです

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4. 健康でいたい人は「紙の本を読む」のがおすすめ

読書がストレス軽減に効果があるということは前述したとおり。そのほかにも近年は、健康面での読書の効果がさまざまな研究や論文で発表されています。

例えば、米イエール大学の疫学・公衆衛生研究室によって行なわれた研究によれば、1週間に最大で3時間半の読書をする人は、本を読まない人と比べて、その後の12年間で死亡率が17%も低くなることがわかったのだそう。

また、ほかにも、米ラッシュ大学医療センター病院は、読書をすることで将来的な認識能力の衰退が32%も遅くなるという研究結果を発表しました。

さらには、睡眠の導入としての読書の効果・アルツハイマー病のリスクの低下・うつ病改善など、挙げたらキリがないほどです。

ただし、気をつけなければいけないのがブルーライト。タブレットやスマートフォンなどで電子書籍を読むのは、むしろ睡眠を阻害し自律神経も乱れてしまいます。特に、寝る前に本を読む習慣がある人は注意が必要でしょう。

それに、紙の本のほうが内容が頭に残りやすいという研究結果もあります。健康面、そして読書本来の目的、どちらの面で考えても、電子書籍ではなく紙の本のほうが良さそうです

***
読書は非常にシンプルな習慣ですが、そこから得られるものは多々あります。ぜひ日々の読書を充実させましょう!

(参考)
日本読書療法学会|読書療法とは
クーリエジャポン|英国政府公認! 鬱の人には、「本」を処方します
The Telegraph|Reading 'can help reduce stress'
ダイヤモンド・オンライン|「音楽を聴く」ように「本を読む」には?【後篇】
成毛眞 (2010),『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』, 角川書店.
ダイヤモンド・オンライン|本はたくさん読みすぎてはいけない
レタクラブニュース|1日30分の読書でストレス軽減!? メンタリストDaiGoが教えるメンタル強化術(1)【連載】
ITmedia|読書で「寿命が伸びる」のは本当か

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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