「人間関係に興味ないです」がダメすぎる4つの理由。“老後の記憶力” にも悪影響あり。

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「SNS疲れ」という言葉が浸透するほど、現代は人と人とのつながりが濃厚であるかのように映ります。一方で、ネット上だけの淡白な関係においては、簡単につながることができる反面、すぐに関係を断つこともできるようになりました。

また職場でも、メールや社内チャットツールなどのやりとりが主流になり、直接同僚と会話をすることも少なくなったという声が聞こえます。このように、面と向かって会話をする機会がぐっと減った結果、「むしろ人間関係のストレスが発生しないでラッキー」「とくに不便でもないし、ひとりでいるほうが気がラク」と軽く考えているのなら、それは多くのチャンスやメリットを手放していることになります。

ここでは、人間関係を煩わしいと思っている人や興味がない人に向けて、人付き合いを軽視することで生じるデメリットについて解説していきます。

人間関係に興味がないとダメな理由1:ビジネスで必要な信頼関係が芽生えない

最近では同じオフィス内にいてもメールやチャットなどのツールでやりとりをすることが主流になり、業務に関わる会話だけでなく、ちょっとした雑談すらも減っているようです。しかし、マサチューセッツ工科大学ヒューマン・ダイナミクス研究所のアレックス・ペントランド氏によると、雑談には生産性を向上させる効果があるとのこと。

ある人が別の人の言葉や仕草を無意識に真似る、いわゆる「ミラーリング効果」は雑談の最中に起こることが多いそう。同僚のひとりが楽しくわくわくした気持ちでいると、ほかのメンバーも前向きな気持ちになるなど、その影響力の強さは計り知れません。これは「情動伝染」といわれており、チームの緊張を和らげるのに役立つこともわかっています。

同様に、『話し下手のための雑談力』(幻冬社)の著者で、業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏も、雑談が行なわれる職場は、行なわれない職場に比べて労働者の協力体制や生産性が高いと述べています。

たとえば、海外からの問い合わせメールに困っていたら「○○さんは留学経験があり、英語が得意らしい」という情報によって救われるかもしれません。このように、「何気ない雑談で知り得た情報が仕事のヒントになった」という経験がある人も多いはず。

さらに言うと、雑談は成功者と呼ばれる人たちと良い関係を築くきっかけにもなります。世界中のVIP1,000人以上に取材を重ねてきたジャーナリストの谷本有香氏によると、「成功者ほど、人間関係を築く基準となるのは『一緒にいて心地いいか』という感覚的な部分」であり、トップに立つような人物は、一度人間関係が始まれば滅多なことでは相手を “切り捨てる” ということはないそうです。

なぜ彼らが感覚的な部分を重視するのかというと、価値観が同じなら少しの説明で考えを理解してもらえるから。忙しい人ほど、感情的な対立やコミュニケーション不足を解決するための時間は無駄と考えます。だからこそ、初対面の印象や雑談の最中に感じ取れる相手の本質を瞬時に見極める能力が磨かれるのです。

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人間関係に興味がないとダメな理由2:成功をつかむチャンスに恵まれない

サン・マイクロシステムズやシスコシステムズの日本法人代表を務めた松本孝利氏は、これまでの成功の裏には『人脈』が大きな影響を及ぼしていると実感しているそう。自身の経験から9割のチャンスは人から与えられるとし、逆に人から信頼されない人は、チャンスが与えられないと力説しています。

「人脈」っていうのは、一銭も払わなくても助けてくれる人のことです。信頼関係があるということと、人格的に違いをリスペクトできるという前提があるからできるわけです。ベンチャーをやるなら、金も労働力も足りない中で事業をやるわけだから、人脈を持っているほうが絶対有利ですよね。

(引用元:DIAMONDO online|「人脈」と「人間力」こそ経営者としての成功のカギ【松本孝利さんに聞くVol.2】

実際に、成功している会社は友人同士で起業しているケースが多いのです。有名なところでは、スティーブ・ジョブズが友人であるスティーブ・ウォズニアックと立ち上げたアップル社。マイクロソフト社も、ビル・ゲイツが中学からの友人ポール・アレンと共に設立した会社です。

ほかにも、ヤフー(ジェリー・ヤンとデビット・ファイロ)、グーグル(ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン)、そしてフェイスブックはマーク・ザッカーバーグと数人のハーバード大の仲間たちが一緒に立ち上げました。このように、今や誰もが知る有名な起業家も、信頼できる友人の協力があってこそ大成功を収めることができたのです。

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人間関係に興味がないとダメな理由3:リーダーシップが育まれない

アサヒグループホールディングス会長の泉谷直木氏は、「雑談力は重要なビジネススキルのひとつだ」と述べています。なぜなら、もし雑談を禁じたら、会社でのコミュニケーションは “指示・命令” だけになってしまうから。それでは「何をやるか」や「目標数値」といった基本的なビジネス情報が上から下に一方的に伝わるだけであり、仕事の質は上がりません。

さらに泉谷氏は、「ビジネスに必要なリーダーシップも、雑談によって磨かれる」といいます。リーダシップを発揮するには、部下を説得するのではなく、納得させなければなりません。それには「質問」が有効です。

たとえば、「君が担当している営業先のお客様は、今どんな課題を抱えていると思う?」「そのために、君ができることはなんだろうか?」というように、部下に質問しながらやるべきことを本人に考えさせます。その結果、部下の成長を後押しすることができるのです。こうした質問がスムーズにできるようになるには、普段から意識的にたくさん雑談をする必要があります。

すでに仕事でリーダーの立場に置かれている人、また今後リーダーとしてみんなをまとめなければならない人にとっても、雑談から生まれるコミュニケーションは決して侮れないのです。

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人間関係に興味がないとダメな理由4:心身ともに不健康になり認知機能の低下を招く

社会とのつながりという点においては、ただ「友だちが多い」「SNSのフォロワーが多い」ということはあまり意味がなく、むしろその 構造的側面” が重視されます。

たとえば、つながりの種類や多様性。これは、知り合いの性別や年齢の幅の広さに限らず、どのくらい多様な職種や属性の人が含まれているか、という意味です。また、連絡を取り合う頻度を示すつながりの太さも重要だといいます。

オランダの研究者が行なった認知症の発症に関する分析では、社会参加活動をしていないこと」「人との接触頻度が低いことそして孤独感を抱いていることが、認知症の発症のしやすさに大きな影響を及ぼしていると結論づけられました。

このことからも、人とのコミュニケーションによって、会話の中で過去のエピソードを思い出したり、人との関係性を前向きに深めたりすることが脳への刺激になっている可能性が考えられます。

さらに、ハーバード大学医学部臨床教授のロバート・ウォールディンガー氏によると、他者と親密な関係性を持っている人は、そうでない人に比べて80歳になっても記憶力が低下しにくいという調査結果が出たといいます。

加えて、人間関係がギクシャクしているなかで暮らしていたり、孤独を感じていたりする人は、中年期から健康問題を抱え、認知機能も低下しやすく、長生きできなかったそう。つまり、社会的なつながりが、健康や長寿、さらには幸福感や脳の認知機能にも良い影響を与えることが明らかになったのです。

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人間関係を築く基本である “雑談力” をつける方法

では、円滑な人間関係を築くために欠かせない「雑談力」を磨くためには、どうしたらいいのでしょうか。

広告代理店勤務時代に3,000人を超えるVIPと交流し、独自の “誰でも使える気配り術” を編み出した後田良輔氏は、「相手と雑談するためには、まずあなたから雑談を投げかける必要がある」といいます。

それは、人は他人から何かをしてもらったら、お返ししなくてはならないと思う傾向がある『返報性の法則』を利用したテクニックです。たとえば、「お疲れさまです」「こんにちは」だけで終わらせるのではなく、これにひと工夫加えるともっといいとのこと。

「お疲れさまです。あれ? メガネ新しいものに変えましたか?」「お疲れさまです。忙しそうですね」と、挨拶にひと言足すことによって次の雑談につながる返報がもらえるので、相手の状態や様子を観察してみるといいでしょう。

教育学者の齋藤孝教授も、会話における「一問二答」の重要性を説いています。

「趣味は?」と聞かれて「別に」と答えるのは、ボールを投げてもらっても、それをただ受けているだけというのと同じ。相手が提供してくれた話題にただ返答するだけでは、雑談にはなりません。「一問二答以上」。話に何かプラスαのオマケをつけて投げ返してこそ、初めて雑談になるのです。

(引用元:DIAMONDO online|共通の話題がない人との「場つなぎ」雑談、上司や取引先との会話は「一問二答」で乗り切る

どうしても “二言目” が思いつかない場合、「○○さんは?」と相手に質問するのもありです。次につながらない言葉を使ってしまうと雑談が終わってしまうので、質問で終わるように意識するといいでしょう。

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前出のハーバード大学ウォールディンガー教授は、良い人間関係が築ける人に共通する特徴は「柔軟性」だと述べています。思い通りに他人を動かそうとする人は、人間関係でトラブルを抱えることが多く、いつのまにか周囲の人が離れていってしまうもの。他人の考えを尊重できる柔軟性こそが、人間関係をうまく維持する秘訣です。

(参考)
DIAMOND online|雑談の多い職場ほど生産性が高い?
東洋経済ONLINE|職場の「雑談しやすい人」になる簡単なコツ 協力が得られやすくなり、生産性も上がる
PRESIDENT Online|成功する人は、どこで人間関係を切るのか
DIAMONDO online|「人脈」と「人間力」こそ経営者としての成功のカギ【松本孝利さんに聞くVol.2】
PHPオンライン 衆知|【雑談力】いい会社は必ず「雑談」を大切にしている
PRESINDENT Online|長生きしたいなら「孤独は毒」を理解せよ
Eテレ NHKオンライン|TED スーパープレゼンテーション|史上最長の研究が明かす 幸福な人生の秘密
リクナビNEXTジャーナル|「雑談力」は最強のビジネススキル!?話ベタでも会話が続く「3つのコツ」
DIAMONDO online|共通の話題がない人との「場つなぎ」雑談、上司や取引先との会話は「一問二答」で乗り切る

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