「この人にはなぜか本音で話したくなる」そう相手に思わせる人がしている “3つの質問術”

「質問力」を磨くための3つの方法01

「取引先から本音を引き出したいのに、建前でしか話してくれない」
「積極的に部下と話すようにしているが、一向に距離が縮まらない」
このように悩んでいるビジネスパーソンは、「質問力」を磨くとよいかもしれません。

マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院名誉教授のエドガー・H・シャイン氏によれば、「適切な質問ができれば、信頼に基づく良好な人間関係が築けるようになる」とのこと。そこで今回は、質問力を磨く方法を3つご紹介しましょう。

「謙虚な問いかけ」が人間関係を良好にする理由

よい人間関係を築くには謙虚な問いかけが必要だと、シャイン氏は言います。ここで言う謙虚さとは、「業務遂行のためには、相手に頼らなければならない」という当たり前の事実を認識して、相手を立てること。その相手が、部下や後輩のような目下の人でも同じです。

こうした謙虚さをもって質問をするべき理由は、シャイン氏いわく「あなたの言うことに耳を傾けます。会話の主導権を握っているのはあなたです」というメッセージを、態度として相手へ伝えるため。質問を通して主導権を相手へ渡し、注意深く相手の話に耳を傾ける――こうすることで、相手とのあいだに信頼が生まれ、やがてよい人間関係に発展していくそうですよ。

そんな謙虚な問いかけの例を、NG例とともにご紹介しましょう。

NG「この企画、再考したほうがいいと思わない?」
→相手の答えを誘導している

OK「この企画のポイントを教えてもらってもいいですか?」
→相手の意見を聞きたいという意図を示している
NG「目標達成できるよな?」
→相手を威圧している

OK「目標達成までは、あとどのくらいでしょうか?」
→あくまで相手の考えを尊重する姿勢を示している

このように、「あなたの意見や体験を聞きたい、教えてほしい」という興味や好奇心を込めた質問をすることが、相手を立てるコツなのです。

相手とよい人間関係を築きたいなら、相手に興味や好奇心を抱くことが大前提であり、そのうえで相手を立てる態度を心がける必要があるでしょう。この前提をふまえ、質問力を磨く方法を、以下で3つご紹介します。

「質問力」を磨くための3つの方法02

 

質問力を磨く方法【1】相手について調べておく

質問力を磨くには、まず、相手のことを事前にできる限り調べておきましょう。相手の本音を引き出しやすくなるからです。

「相手について不勉強な状態で質問をする怠惰な姿勢は、相手の気分を害する」と述べるのは、東京大学名誉教授の御厨貴氏。相手について何も調べていないのは、興味をもっていないことの表れになります。相手の目には、謙虚さとは真逆の不遜な態度にも映りかねません。

加えて、「あなたに聞く能力がないとみなされると、相手はうわべの答えしかくれなくなる」と、株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役の安田正氏は言います。

たとえば、あなたとの面談中に部下が業務の不安を漏らしたとします。もしあなたが「最近現場に出てないから事情がわからなくて」と言い訳をすれば、部下は内心「この人には話しても無駄だ」と判断してしまうのです。

では、相手について調べるには、どのようにするのが効果的なのでしょう。元NHK記者でジャーナリストの鎌田靖氏は、次の3つをすすめています。

  • その人を知る「別の人」に話を聞いておく
  • 可能なかぎりその人が関連する「現場」に行ってみる
  • その人に関する「書籍や資料」があれば読む

先の例なら、部下と一緒に働く同僚に状況を聞いたり、面談前に現場の様子を見に行ったりして、次のような質問ができるでしょう。

「前任者からの引き継ぎが不十分だったと聞きましたが、その影響はありませんか?」
「現場を見ましたが、接客をひとりだけで担っているせいで、時間に追われていませんか?」

また回答を得たら「こういうことですか?」と自分なりに言葉をかみ砕いて確認すると、相手に積極的な態度が伝わると安田氏。

部下「マニュアルが不十分で、確認することが多くて……」
あなた「○○さんの確認が必要になるということですか?」
部下「はい。でも、○○さん外出が多くて、なかなか連絡がとれないんです……」

という具合に本音をよりたくさん引き出せて、信頼に基づく関係性を築けるはずです。

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質問力を磨く方法【2】相手との共通点を見つけて警戒心を解く

ふたつめの方法は、自分と相手とのあいだの共通点をとっかかりとした質問をすること。これは、相手の警戒心を解くためです。

脳は相手をよく知らない状態だと、敵とみなしやすい傾向があると、『最高の脳で働く方法』著者でコンサルタントのデイビッド・ロック氏は言います。たとえば、とある取引先の担当を前任者から引き継いだばかりというタイミングで、まだ信頼関係ができていないのに「現在、課題に感じておられることはありますか?」などいきなり核心に迫る質問をしても、警戒されるのは当然ですよね。

ロック氏によれば、自分は脅威でないと相手にわかってもらうには、共通点があるとアピールするのが効果的だそう。そこで役に立つのが、あらかじめ共通点をリサーチしておいたうえで、仕事の本題に入る前にプライベートな雑談をすること。

人材育成コンサルタントの松本幸夫氏いわく、プライベートな雑談をするときは、まず自分のことを話してから相手へ尋ねるとよいのだとか。「返報性の法則」という心理が働き、こちらが自己開示をすることで、相手も自身のことを話しやすくなるからです。ただし、自己開示はあくまでひとことに留め、相手を立てることを忘れてはいけないとのこと。

たとえば、「取引先は、映画鑑賞が趣味」と前担当者から聞いていて、映画を共通点に話を広げたい場合。

「私は歴史映画が好きなんです。〇〇さんは、どんなジャンルをよく観ますか?」
「アクション映画をご覧になるんですね。たしか、先日も新作が公開されていましたよね。〇〇さんの、おすすめの作品を教えていただけませんか?」

このように質問を繰り返せば、「私はあなたに興味があるんです。敵ではありませんよ」という意図を伝えられます。

もしリサーチしても共通点がわからなかった場合は、マイブームを話題にするとよいと安田氏。一時的にハマっているものなら誰もが共通してもっているからです。

「私はNetflixで映画を観るのが最近のマイブームなんです。〇〇さんのマイブームは何ですか?」

などと自分の話を少ししてから質問してみましょう。

前出の鎌田氏いわく「信頼関係が築けるかどうかの分かれめは、プライベートなことを話せるかどうかにある」とのこと。雑談を盛り上げて、よりよい関係を築きましょう。

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質問力を磨く方法【3】具体例を聞き出す

最後は、相手の体験談やエピソードといった具体例を聞くという方法。

安田氏によると、具体例を尋ねることで、相手の話を受け止め、さらにその先を聞きたいという肯定のニュアンスを出せるそうです。

たとえば、「契約がとれません」と部下に相談された場合。「自分では、何が悪いと思う?」と、漠然とした質問をするのはNGとのこと。「それがわからないから困っているのに……」と相手は言葉を詰まらせてしまい、さらに、答えられない質問をされたことで相手は自分を否定されたように感じてしまうそうです。

そこで、考えうる原因をひとつずつ分解しながら問いかけて具体例を引き出しましょう。前出の松本氏いわく、具体例を引き出し相手の状況が明確になれば、より適切なアドバイスができるようになるとのこと。

「アポイント自体はどのくらいとれていますか?」
「プレゼン後の相手の反応は、たとえばどういったものが多いですか?」
「商談後のアフターフォローは、どのような感じで行なっていますか?」

このように問いかけても、相手が言葉に詰まる場合は、こちらから具体的な状況を設定して、その設定にのっとって話を聞いていくのが効果的だと御厨氏は言います。

「たとえば、これからA社にアポイントをとるとしましょう。あなたは何日前に、どのような連絡をしますか?」
「無事、A社との商談が終わったとします。あなたはどんなメールでアフターフォローをしますか?」

このように問いかければ、相手も話しやすくなるそうですよ。質問によって相手の相談をうまく受け止められれば、信頼を得て、良好な関係を築けるでしょう。

***
良好な人間関係を築く質問力には、相手への興味と相手を立てる謙虚さが必要です。それを念頭に置いて、ぜひ3つの方法を実践してみてくださいね。

(参考)
エドガー・H・シャイン (2014), 『問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる』, 英治出版.
御厨貴 (2011), 『「質問力」の教科書』, 講談社.
デイビッド・ロック (2019), 『最高の脳で働く方法 −Your Brain at Work』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
松本幸夫 (2017), 『人を動かす聞く力&質問力 傾聴する、問いかける、解決する』, 三笠書房.
安田正 (2020), 『デキる人はこっそり使ってる! 人を動かす20の質問術』, ポプラ社.
鎌田靖 (2021), 『最高の質問力』, PHP研究所.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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