自尊心アップに効く1日5分のノート習慣。「どうせ自分なんて…」を変える最高メソッド

自尊心が低いと損する場面。「ジャーナリング」で高めよう01

「あの人と比べて、自分はなんて仕事ができないのだろう……」
「どうせ自分の意見は通らないから、会議ではおとなしくしておこう……」
「自分には能力がないから、頑張ることをあきらめてしまおう……」

自分に自信がないあまり、こんなふうに悲観視しがちな人はいませんか?

ネガティブな感情は連鎖していくもの。自尊心が低すぎると、さまざまな場面で損をしてしまいます。今回は、自尊心の低さが与える悪い影響と、自尊心を高める方法についてご紹介。負の連鎖を断ち切り、自身を取り戻しましょう。

自尊心という言葉の意味は「自尊心とは? 自尊心が低い人の特徴&原因が明らかに!」で詳しく説明しているので、まずはそちらをお読みください。

自尊心が低いと「感情の扱い方が下手になる」

人材育成研究家の永谷研一氏は、自尊心の低い人に見られる特徴として「不安・怒り・恐れなどのマイナス感情をコントロールすることが苦手」だと指摘します。

たとえば、自分のプレゼンが思いのほか成功に終わったとしましょう。上司からも「ロジックがしっかりしていて説得力があったね」とほめられました。しかし、自尊心の低い人は、それを素直に受け止めることができません。「成功したのは偶然だ」「次はきっとうまくいかなくて、上司に幻滅されるだろう」など、今の状況を喜ぶよりも “不安” が先に立ってしまうのです。

また、人から悪いフィードバックを受けたときにも、感情をうまく整理することができません。たとえば、上司から予期せぬ注意を受けたとき、それを充分に消化する前に「なぜ自分が責められなければならないんだ」と “怒り” の感情が湧き上がってくることも。同様に、自分がミスしたときは、 “恐れ” の感情から「あの人が○○だったからだ」「自分だけが悪いんじゃない」などと責任転嫁しがちなのだそう。

じつは、自尊心と感情コントロールには関係があることが、科学的にも証明されています。カリフォルニア大学の研究チームが、9~90歳の326,641人を対象に調査したところ、自尊心が高い人のほうが、外向的・良心的で、感情的にも安定しているなど、社会的に望ましい特性を持っていることが示されたのです。

自尊心の低さが、あなたの成長を阻害しているかもしれません。

自尊心が低いと損する場面。「ジャーナリング」で高めよう02

自尊心が低いと「自己効力感が低下する」

心理カウンセラーの中島輝氏は、「自尊心の低い人は過去の失敗を引きずってしまう傾向がある」ことを指摘しています。過去の失敗が強い印象を残し、いつまでも思い悩んだすえ「だから自分はダメなんだ」と自己否定をしてしまう……その循環が、自尊心を低めるさらなる要因を作り上げてしまうのだそう。

さらに、過去の失敗にとらわれると、「もう同じことを繰り返したくない」という思いから、新たな挑戦をためらってしまいます。物事をやり始める前から、「自分にはできない」という考えが先回りしてしまうのです。

そして、こうした思考を持つ人は、自尊心だけではなく「自己効力感」も低下していると中島氏は述べます。

「自己効力感」とは、カナダ人心理学者アルバート・バンデュラー氏が提唱した心理学用語で、「自分には物事を達成する力があるのだ」と信じられる感覚のこと。自己効力感があると、達成できている状況が想像しやすいので、「このプロジェクトを成功に終わらすぞ!」と、新しい仕事にも前向きに取りかかることができるのです。

学術誌「Social Behavior and Personality」に掲載されているミドルセックス大学の研究論文によれば、自尊心と自己効力感との間には相関性があることが示されています。

調査では、205名の大学院生を対象に、学習を15週間行なってもらう前に、自己効力感や自尊心、過去の業績達成および学業成績の関係を分析しました。さらに、学習した各生徒の平均評定をもとに、パフォーマンスの度合を測ります。その結果、自己効力感と自尊心の間には関連があり、さらには自己効力感が業績達成や学業成績に影響を与えていることが判明したのです。

せっかくのチャンスが来ても、自尊心の低さから自分の可能性を信じることができず、それを見逃してしまう……。さらに、実行に移したとしても、自信のなさからパフォーマンスに影響が出てしまうとなれば、とても損ですよね。

自尊心が低いと損する場面。「ジャーナリング」で高めよう03

自尊心が低いと「周囲に依存しがちになる」

前出の中島氏は、自尊心の低さにより「自己決定感」も低下し、周囲に対して依存的になっていくとも指摘しています。

たとえば、会議でAの企画とBの企画のいずれかを選ばなければならない場面があったとしましょう。本当はAの企画のほうが斬新でおもしろいと心の中で思っていても、「自分の意見に自信がないから……」と発言を控え、結果、ほかのメンバーの意見を優先してBの企画に賛成してしまいます。また、それでBの企画が通って仕事が進んでも、顧客の反応がかんばしくなければ、「あれを選んだあのメンバーが間違っていたんだ」と、他人のせいにしてしまう傾向があります。

学術誌「Personality and Individual Differences」に掲載されているケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究によると、対人依存と自尊心の低さにはたしかに相関性があるとのこと

研究では、対人依存によって感情面および社会性に与える影響を調べるために分析を実施。被験者は375名の大学生たちで、10週間後、その中の302名(81%)に対して、依存レベルについて再評価を行なってもらいました。その結果、依存レベルの上昇を報告した被験者は、うつ傾向、孤独感、自己批判のレベルが高く、自尊心に関しては有意に低いことが明らかとなったのです。

時には周囲に頼ることも必要ですが、自分自身で決定していくことが増えると、自分の意見や考えに対しても自信が持てますよね。そうした姿を見せていくことで、上司からも「この仕事を任せられる」という信頼感を得ることになるのです。

自尊心が低いと損する場面。「ジャーナリング」で高めよう04

自尊心を高めるために “1日5分” でできる「ジャーナリング」という方法

自尊心を高めて自分自身を認められるようになるには、「本来の自分がどう感じているのか」「どう考えているのか」と、自分をよく知る必要があります。そのために、マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事・荻野淳也氏がすすめているのが、1分5分程度でできる「ジャーナリング」です。

「書く瞑想」とも呼ばれているジャーナリングは、毎日が忙しくマインドフルネスに集中する習慣がなかなかつけられないビジネスパーソンにとって、手軽に実行できる方法でしょう。

やり方は、テーマを決め、それに関して思うことや感じることを、短時間集中して手帳やノートに書き続けるだけ。集中力を高められるのはもちろん、書き終えたときに客観視できたり、新たな気づきを得られたり、またそれによって否定的な感情の増幅を抑えられたりと、さまざまな効果が期待できます。

荻野氏が特にすすめているのは、「自己認識」を深めるようなテーマを設定すること。たとえば、以下のようなものです。

  • 人間関係で何を求めているのか?(例:安心・信頼。価値観の差異を認め合えること。そして自然体でいられる関係が望ましい)
  • 最近のニュースで怒りを感じた理由は何か?(例:デモで死傷者が出たこと。行きすぎた制裁に呆然とする。市民が安全に抗議を訴える方法とは?)
  • 人生における優先度の高いものは何か?(例:心の平穏が最も大事。心が安定していれば、仕事も冷静にでき、友人にも優しくできる)

「自分が何に関心を持っているのか」「何をストレスに感じるのか」などを把握することで、感情の扱い方を知っていくことができます。さらに自己認識を深めることによって、より自分にとってベストな選択もできるようになり、失敗だけではなく、うまくいく体験も着実に増やすことができるようになるはず。その結果として、自分に対する自信も深まっていくことでしょう。

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自分に自信がない……。そんなふうに思い悩んでいるときは、一度立ち止まって、自分のことを振り返ってみる時間をつくってみてはいかがでしょうか。自己認識を深めることで気づいた何かが、自分の背中を後押ししてくれるかもしれませんよ。

【関連記事】
自尊心とは? 自尊心が低い人の特徴&原因が明らかに!

(参考)
東洋経済オンライン|「自己肯定感」が低い人に現れる"残念な症状"
Science Direct|Personality Correlates of Self-Esteem
東洋経済オンライン|自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴
Yahoo! Japan News|「自己肯定感」と「自己効力感」の違い、それぞれの高め方
ingenta|SELF-EFFICACY, SELF-ESTEEM AND THEIR IMPACT ON ACADEMIC PERFORMANCE
Science Direct|Interpersonal dependency and social loss
日経スタイル|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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