「いるだけでチームの雰囲気が良くなる人」はSQが高い。“10個の特徴” あなたはいくつ当てはまる?

「いるだけでチームの雰囲気が良くなる人」はSQが高い。“10個の特徴” あなたはいくつ当てはまる?

あの人は確かに優秀かもしれない。でも、言い方にいちいちトゲがあってチームの雰囲気を悪くする……」これに該当する人は、一時的に組織のトップにのし上がっても、その地位を保つのは難しいかもしれません。一方で、「この人がいると、なぜかチームの雰囲気がよくなる」と評される人は、チームの業績を高めて真の成功者になることができるでしょう。

彼らの違いは、いったいどこにあるのでしょうか? それは「SQ」という言葉で説明可能です。チームの雰囲気をよくする人は、総じて「SQ」が高い傾向にあるそうですよ。SQの高め方を知り、5年後10年後にも活躍できる人材を目指しましょう。

「SQが高い人」10個の特徴

「SQ」とは、心理学者ダニエル・ゴールマンが提唱した「社会的知性」のこと。SQの基盤には、心の知能指数「EQ」があります。

基盤であるEQとは、アメリカのピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって提唱されたもの。仕事で成功するには、「IQ(知能指数)」よりもEQが重要なのだそう。EQは、次の5つの要素から成り立っています。

  1. 自己認識(自分の感情や強み・弱み、目標などを認識する)
  2. 自己抑制(自らの破壊的な感情・情動を抑制する)
  3. 動機づけ(成果に向けた情熱、関係する他者への達成感の付与)
  4. 共感性(合理的決定に対する他者の心情への思いやり)
  5. ソーシャルスキル(調和した人間関係をマネジメントする)

そしてSQは、ゴールマン氏が「優れたリーダーシップはどのようにつくられるか」について考察した際に、EQを拡張して生み出されました。IQ・EQを超える “第3の知性” とされ、「関わりの知能指数」とも呼ばれています。

優れたリーダーシップに対する考察をもとに生まれたSQですが、いまでは、職場のみならず家族や恋人といったプライベートでの良好な人間関係の形成にも重要なものとされています。なぜならば、SQが高いとは「対人関係や社会に対する集中力が高い」ことにほかならないからです。

「SQが高い人」10個の特徴

米国CTI認定プロフェッショナルコーチで保育士でもある松原美里氏は、SQが高い人には次の10個の特徴があるといいます。保育士という観点から子どもを例に挙げていますが、大人が見ても大いに参考になるはずです。

  1. 愛嬌があり、笑顔で会話ができる
  2. 素直である(まっすぐに物事に取り組める、助言を受け止められる)
  3. 正義感が強く、善悪の区別がしっかりと身についている
  4. 家族を大切にする
  5. 人の気持ちに立って物事を考えられる、人の嫌がることをしない
  6. 適度に謙虚(褒め言葉は気持ちよく受け取りつつも、調子に乗らない)
  7. 努力することができる、物事を達成する喜びを知っている
  8. 夢を持っている、未来に向かって前向きである
  9. 自分の気持ちを表現するのが上手
  10. 上手に人を頼ることができる(ひとりで抱え込まない)

SQが高い人は「ミラーニューロン」が活発だ

SQという概念が興味深いのは、対人関係や社会性に関わる “脳神経科学の知見” に基づいているからです。

皆さんは「ミラーニューロン」という言葉を聞いたことはありませんか。これは、他者の仕草をとおして相手の感情を察知したり共感したりする働きがある神経細胞のことです。

株式会社MELコンサルティング代表取締役社長の渡辺晴樹氏は、メンバー間のミラーニューロンが活性化されているチームは、笑顔が多く大らかな雰囲気が漂うため、一体感が高まると述べます。その先導に立つのが、まさに「自らのミラーニューロンを活発に働かせると同時に、周囲の人のミラーニューロンも刺激できる人」であり、すなわち「SQが高い人」なのです。

渡辺氏によれば、無愛想な態度では相手のミラーニューロンを刺激できないのだそう。たしかに、常にピリピリした空気の中では、メンバーは自分の力を発揮できそうにありませんよね。自ら笑顔を咲かせられる人がチーム内にいることがいかに大切かがわかります。

SQが高い人は「ミラーニューロン」が活発だ

明日から始められる、SQを高めるたったひとつのシンプルな方法

「関わりの知能指数」とも呼ばれるSQを高めるたったひとつのシンプルな方法は、「積極的に周囲と関わる」――これに尽きます。ビジネスシーンにおいては、オフィスでの雑談を大切にしましょう

大阪樟蔭女子大学名誉教授で産業医の夏目誠氏は、伸びる企業ほど雑談を大切にしているといいます。たとえばグーグル社は、コーヒーコーナーを社内にたくさん設置し、雑談できる場所を確保しているのだそう。雑談は、新しいアイディアを生むきっかけになりますし、普段からメンバーと交流があれば、トラブルが起こったときにギクシャクした雰囲気にならないメリットもあると、夏目氏はいいます。

また、『マネジャー育成講座―リーダーシップの磨き方、組織力の高め方』の著者・本寺大志氏は、「リーダーが冗談をよくいう組織は業績がよい」と述べます。将来リーダー職を目指すならばなおさら、周囲を明るくする雑談や冗談でSQを高めておくべきです。

SQの研究過程ではリーダーが口にする冗談の数と、その部署の業績とは相関関係にあることが判明しています。周囲が沈んでいるときこそ、あえて冗談を口にしたり、笑顔を見せたりする。ウケを狙う必要はありません。明るく前向きな空気をつくればいいのです

(引用元:プレジデントオンライン|リーダーが冗談をよくいう組織は、業績がいい! ※太字は筆者が施した)

ただし、当然ながら、ただの“おしゃべりな人”では疎ましく思われてしまうはずです。ノースイースタン大学講師で心理療法士のエイミー・モリン氏は、次の点に気をつけるとよいと述べます。

  • 周囲の反応や仕草に細心の注意を払う
  • 欲求不満や怒りなどの否定的な感情を認識し、制御する
  • 習慣や生い立ち、文化など、自分と他者の違いを尊重する
  • 相手の言葉に積極的に耳を傾ける姿勢を心がける
  • 自分の人生に関わりがある人たちへの感謝を忘れない

自分との違いを肯定的に受け止め、ネガティブなことはいわず、相手の話に興味深く耳を傾ける――これならば、会話があまり得意ではない人でもできるのではないでしょうか。普段の挨拶にプラスアルファをして、ちょっとした雑談から始めてみましょう。

***
リーダーシップが求められる場面以外でも役立つ、社会的知性「SQ」。ビジネスシーンのみならずプライベートでも役立つので、ぜひ周囲との関わりを深めながら高めていきましょう。

(参考)
ハーバード・ビジネス・レビュー|組織のリーダーとして成功を収めるにはEQ(こころの知能指数)が不可欠である
All About|子供の性格を「良い子=SQ(社会的指数)高い子」に育てるには
株式会社エム・イー・エル|EQの概念をさらに押し広げたSQ「社会性の知能指数」
MOC|中高年にメンタル危機注意報!ストレスでダウンする人にありがちな特徴とは?
プレジデントオンライン|リーダーが冗談をよくいう組織は、業績がいい!
verywellmind|How to Increase Your Social Intelligence

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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