あなたも絶対やっている。勉強中の「脳に最悪」な4つの習慣

脳に最悪な勉強中の習慣01

一生懸命勉強しているはずなのになかなか結果が出ない……。そう感じる人は、脳にマイナスに作用して勉強効率を下げる「悪習慣」をしている可能性があります。4つ指摘するので、心当たりのある方は改善を図っていきましょう。

【1】「休憩なしで長時間勉強」はNG

「たくさん知識を得るにはとにかく長時間勉強することが大切だ」と、休憩時間も惜しんで勉強に励む人もいるかもしれません。しかし、これは勉強効率悪化を招きます。

東京大学薬学部教授の池谷裕二氏と株式会社ベネッセコーポレーションが共同で実施した研究をご紹介しましょう。研究では、中学生を被験者に、英単語の暗記を「60分間続けて行なうグループ」と「休憩を挟みながら15分間×3回行なうグループ」に分け、その効果を比較。その結果、翌日および1週間のテストで、後者の「休憩あり」のグループのほうが好成績を収めました

また、彼らの脳波を計測してみると、集中力に関係があるとされる前頭葉のガンマ波の波形が、休憩を入れるたびに回復することも判明。休憩を挟まなかった場合は下降し続けたため、長期記憶の形成のみならず、集中力維持のうえでも休憩は重要なのですね。

加えて、マサチューセッツ工科大学の研究では、アルツハイマー病の原因物質となる脳内のアミロイドβが、ガンマ波の刺激によって減少することも報告されています。「休憩を入れる→ガンマ波が回復」というサイクルは、脳の健康にも遠からず寄与するようです。勉強中は、タイマーなどを利用して数十分おきに休憩をとる習慣をつくりましょう

脳に最悪な勉強中の習慣02

【2】「ずっと座り続ける」のはNG

勉強中は座っている席から離れないという人も多いはず。しかし、これもまた脳に悪影響のようです。 

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは、45歳~75歳までの男女を対象に、記憶形成に関わる脳領域の「皮質の厚さ」と「着座時間」の関係性を調査しました。その結果、座っている時間が長い人ほど、当該脳領域の皮質が薄い傾向が見られたのだそう。また、たとえ運動習慣があったとしても、座りすぎが脳に与えるダメージを帳消しにすることはできないという結果も得られました。

勉強中の休憩の必要性は先に述べましたが、「勉強は座ってするもの」という固定観念を捨て、座らずともできる勉強を取り入れるのも手かもしれませんね。たとえば、部屋のなかを歩きながら参考書を読んだり、散歩や通勤の時間を使って英語リスニングに取り組んだり。脳へのダメージを最小限にするためにも、座りすぎには注意です。

脳に最悪な勉強中の習慣03

【3】「楽しいことを封印する」のはNG

勉強に集中するために、ゲームや趣味といった娯楽を遠ざけておくのはたしかに大切。しかし、それらを過剰に排除するのもどうやら考えもののようですよ。

脳科学者の澤口俊之氏は、脳内物質「ドーパミン」のパワーに注目します。ドーパミンは私たちのやる気に大いに関係しており、「頑張ればこれが得られる!」となんらかの報酬を期待したときに大量に分泌されるのだそう。逆に言えば、娯楽をいっさい捨てて、楽しくもない勉強だけに取り組もうとしたところで、やる気が出ず続けづらいのも当然だということです。

勉強中はご褒美に釣られてはいけませんが、「今日の勉強がすべて終わったらゲームができる」「1週間勉強を頑張ったら◯◯へ遊びに行ける」など、スパンを決めて報酬を用意しておくとよいでしょう。

具体的に思いつかない場合は「好きな音楽を聴く」のがおすすめです。マギル大学の研究により、「好きな音楽を聴いてワクワクしているときに脳でドーパミンが分泌される」こと、そして「好きな音楽を聴く “前” の期待感でも同様の反応が見られる」ことが明らかになっています。楽しいことを有効活用し、勉強に対するモチベーションをアップさせましょう。

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【4】「寝る間を惜しんで勉強する」のはNG

たくさん勉強するために睡眠時間まで削ってしまうのも、正しい行為ではありません。

甲南大学准教授で睡眠科学が専門の前田多章氏いわく、睡眠は脳内を整理する役割を担っているとのこと。睡眠は眼球運動をともなうレム睡眠とそうではないノンレム睡眠から成りますが、レム睡眠には記憶をスムーズに思い出せるように索引をつける働きが、ノンレム睡眠にはさまざまな記憶を関連づけて統合する働きがあるのだそう。しかし、睡眠時間が短いと、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルがきちんと現れないため、記憶の整理が不十分になってしまうのです。

また、睡眠に関するクリニックを経営する医師の白濱龍太郎氏は、睡眠をおろそかにすると、本来は睡眠中に処理されるはずである前出のアミロイドβ(アルツハイマー病の原因物質となる)がたまりやすくなり、将来的な認知症発症のリスクも高まると指摘します。

睡眠は勉強になくてはならないものだという認識をもち、睡眠時間を削らないように注意しましょう。前田氏によれば、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルをふまえると、理想的な睡眠時間は6時間または7時間半だそうですよ。

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勉強は脳を使うものだからこそ、脳に悪影響を及ぼす習慣には要注意。自分の勉強を見直して、改善すべきものがあったらぜひ改善していきましょう!

(参考)
朝日新聞DIGITAL|勉強時間は短い方が好成績?
Beyond Health|耳と目からのγ波の刺激でアルツハイマー原因物質が減る!
Forbes JAPAN|「座りすぎ」は脳にも悪影響、運動でも相殺できない可能性
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
AFP BB NEWS|好きな音楽にワクワクする原因はドーパミン、カナダ研究
日経ビジネス|記憶力低下…原因は睡眠不足でたまる脳内物質!
Kei-Net|睡眠を制するものは記憶を制す!生活リズムを整えて良質の睡眠を手に入れよう

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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