勉強中の「脳に最悪」な学習環境4選。机の上に “アレ” を置くのは絶対NG!

勉強中の脳に最悪な環境4選01

「最近、勉強がはかどらない」
「集中力が切れやすい」
「もっと勉強の効率を高めたい」

このような悩みを抱えている人は、デスク環境が悪い可能性があります。

今回は、脳に悪い影響をもたらし、勉強効率を下げてしまう学習環境の特徴を4つご紹介します。当てはまっているものがないか、確認してみてくださいね。

1. 机の上が散らかっている

散らかった机で勉強していませんか? デスクを片づけずに勉強を始めると、集中力の低下を招いてしまう恐れがあります。それを証明するのが、プリンストン大学による研究です。

研究では、fMRI(磁気共鳴機能画像法:脳活動を調べる方法)を使い、被験者がタスクを行なう際の脳の動きを調べました。すると、散らかった部屋で作業を行なうのと、整理整頓された部屋で行なうのとで、脳の動きに大きな差が生まれることが判明。散らかった場所で作業を行なうと、整理整頓された場所で同じ作業をした場合に比べ、集中力が低下し、情報処理能力が下がるという結果が出たのだそう。

脳の情報処理機能を正常に働かせるためには、勉強に使うデスクを整理整頓する必要がある、ということがわかりました。さらに嬉しい効果として、片づいた環境は、生産性アップイライラ防止にもつながるのだとか。

勉強する机の上が雑然としている方は、すぐに片づけたほうがよさそうですね。整理整頓が苦手な人は、物を置く場所を決めておき、使ったらすぐにもとに戻す習慣をつけるといいでしょう。収納が少ないことは机の上が散らかる原因になるので、引き出しや棚などが少なければ増やすことをおすすめします。

勉強中の脳に最悪な環境4選02

2. スマートフォンが手元にある

スマートフォンをそばに置いて勉強している人は要注意です。テキサス大学オースティン校の研究によると、たとえサイレントモードにしてあっても、スマートフォンが手元にあることで脳の認知機能が低下するそう。

同大学の准教授アドリアン・ワード氏の率いる研究チームは、約800名のスマートフォンユーザーを対象に「手元にスマートフォンがあると、どれくらい作業の妨げになるか」を検証しました。研究では、被験者に集中力を要するテストを受けてもらい、テストの結果から被験者の認知機能を測定。これにより、脳がどれくらいの情報を保ち、処理することができるか、つまり「頭のよさ」を調べたのです。

テストを受ける際、被験者はスマートフォンを【サイレントモードにし、画面を下にして机の上に置いておくグループ】【ポケットやかばんにしまっておくグループ】【別の部屋に置いておくグループ】に分けられました。

その結果、【別の部屋に置いておくグループ】が圧倒的に成績がよく、次いでよかったのは【ポケットやかばんにしまっておくグループ】。そして最も成績が悪かったのは【机の上に置いておくグループ】でした。

研究チームは、たとえ「テストだけに集中している」と本人が思っていても、スマートフォンの存在を無意識に気にしてしまい、スマートフォンのことを考えないように努力することが、脳の限られた認知機能を消費してしまっていると分析しています。

勉強中は、スマートフォンを「机の上」ではなく「違う部屋」に置いておいたほうがよさそうですね。

勉強中の脳に最悪な環境4選03

3. 机や椅子などの配置が人間工学に基づいていない

机・椅子・パソコンは、快適に配置されていますか?

座り姿勢が悪いと、脳の働きも悪くなってしまいます。脳研究でノーベル賞を受賞したロジャー・スペリー氏によると、脳の健康は、背骨の動きによって9割も左右されるのだとか。猫背で座ったり、肩や首に負担がかかる姿勢でパソコンをのぞき込んだりすると、脳機能を低下させてしまうので改めたほうがよいでしょう。

正しい姿勢で座るには、人間工学に基づいたデスク環境を準備するのがおすすめです。コーネル大学のアラン・ヘッジ教授が提唱する体に負担をかけないための椅子や机の配置をご紹介します。

  • キーボードやマウスに対して、肘が90度に曲がるのが理想的。腕の曲がりすぎや伸ばしすぎを防ぐために、椅子や机の高さを調整します。
  • 椅子に座るとき、後ろに寄りかかりすぎたり、前のめりになりすぎたりするのはNG。背筋は、床と垂直よりも若干後ろ(100〜110度ほど)に傾くのがベストです。高さやリクライニングが調整できる椅子を選ぶほか、腰のサポートがついている椅子だとなおよいでしょう。
  • 理想的なパソコンの高さは、画面上部と目線が平行になるくらい。首を曲げたり前のめりになってのぞき込んだりする必要がないようにします。

首や肩の凝りが気になる人や、まわりの人から姿勢の悪さを指摘されたことのある人、そうでなくても勉強がイマイチはかどらないという人は、一度デスク環境が体に合っているか見直してみるのがいいですね。

勉強中の脳に最悪な環境4選04

4. 観葉植物を飾っていない

観葉植物には、部屋をおしゃれにするだけでなく、脳の疲れを癒す効果もあります。机の上はきれいにしたほうがいいと前述しましたが、観葉植物は勉強の必須アイテムととらえてデスクに置くのがおすすめです。

ノルウェー大学の研究により、観葉植物があると注意力がアップすることが判明しています。研究では被験者を、【植物の飾られたオフィス空間でテストを受けるグループ】と【植物のないオフィス空間でテストを受けるグループ】のふたつに分け、注意力が必要なテストを両グループに2回受けさせました。

すると、【植物のあるグループ】は、1回目よりも2回目のテストのほうが成績が上がったそう。一方、【植物のないグループ】は特に変化がありませんでした。研究チームは、この結果から「植物には注意力を回復させる力がある」と述べています。

注意力が必要な作業をすると、脳は疲れ、休憩が必要になります。休憩としては、作業とは関係のないものに接したり、ボーッとしたりすることが有効とのこと。植物を眺めることがそれに値するのではないかと、研究者らは考察しているようです。

勉強中の注意力に自信のない人や、ミスの多い人は、観葉植物を買ってきて机に飾ってみてはいかがでしょうか。

***
勉強中の脳にとって最悪な環境を4つご紹介しました。心当たりがあればぜひ改善してみてくださいね。脳のコンディションを整えて、最高の状態で勉強に挑みましょう。

(参考)
Unclutterer|Best Desk Organisation Techniques
PubMed|Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex
東洋経済オンライン|スマホを捨てれば子どもの偏差値は10上がる
Verywell Mind|How Multitasking Affects Productivity and Brain Health
NPR|Multitasking May Not Mean Higher Productivity
PNAS|Cognitive control in media multitaskers
Radiant Life Chiropractic|Posture and Your Brain
Cornell University Ergonomics Web|Ergonomic Guidelines for arranging a Computer Workstation - 10 steps for users
Fast Company|Want To Be More Productive? Buy Some Desk Plants
ScienceDirect|Benefits of indoor plants on attention capacity in an office setting
The University of Chicago Press: Journals|Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity
Medical Xpress|The mere presence of your smartphone reduces brain power, study shows

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト