いつも待ち時間にイライラして、仕事が時間通りに終わらないと嘆いているなら、「心の名医」や「仕事のプロフェッショナル」がすすめる「スキマ時間用のできることリスト」をつくってみてはいかがでしょう。スキマ時間をより効果的に活用できるそうですよ。その際には方眼ノートが役立ちます。詳しく説明しましょう。
「スキマ時間用リスト」はなぜ必要?
「心の名医」と称され、没後も数多くの著書で人々を元気づけている精神科医・随筆家の斎藤茂太氏によれば、「ほんの10分程度を惜しんでスケジューリングを行なわないと、結局はその10倍くらいの時間をムダにしてしまう」そうです。スケジューリングには、このようなメリットがあるとのこと。
- やり残し、やり忘れがなくなる
- 並行してできる仕事に気づけて、こなせるので効率的
- いったんほかを頭から排除して目の前に集中できる
- 時間がポカッと空いたとき、何をすべきか迷わなくなる
- 焦りが軽減され落ち着いて仕事ができる
4番目こそまさに、冒頭で述べた「スキマ時間用のできることリスト」のメリットです。斎藤氏によれば、短時間で済む細々とした仕事をリストにしておくと、不意に生まれたスキマ時間に適合した作業をポンと放り込めるので効率的なのだそう。(斎藤氏著『あせらない練習』より)。
イントランスHRMソリューションズ 代表取締役でアンガーマネジメントファシリテーターでもある竹村孝宏氏も、スキマ時間の活用が生産性向上において重要な役割をもつと述べています。
1日のあいだには、ちょっとしたスキマ時間が山のようにあるのではないでしょうか。たとえば電車やバスの待ち時間、アポイントとアポイントの合間、上司からの返事待ち、ランチのテイクアウトを待っている時間などです。次のように数字で見るとより実感が湧きますよ(上記例・以下枠内は竹村氏の解説をヒントに挙例・推計)。
小さなスキマ時間を合わせて、毎日合計1時間ほどのスキマ時間があるとすれば、年間で約360時間。1日の勤務時間が8時間と考えて、スキマ時間に何もしなかった場合、1年間で約45日勤務ぶんの仕事時間をムダにしていることになります。
だからこそ竹村氏も斎藤氏同様に、「スキマ時間用リスト」をつくっておくことをすすめているわけです。
竹村氏によれば、作業リストを「5分でできるもの・10分でできるもの・30分でできるもの」に振り分けておくといいそうです。こうすることで、より迷うことなく空き時間に活用できるはず。さらに効率よくしたいなら「時間と内容」を一目瞭然にできる方眼ノートがおすすめです。
ToDo管理における「方眼ノート」の有用性
文具プランナーでウェブマガジン 「毎日、文房具。」副編集長の福島槙子氏は、方眼ノートをボックス状に区切ったToDoリストを作成し、日々やることを管理しているそうです。方眼ノートなら定規なしでも枠が書きやすいとのこと。
また、細かい作業の場合は枠を半分に区切るなど、ボックスの大きさも自由に変えられるので、難易度や重要度もビジュアル化できるそうです。それなら、ボックスの大きさで作業時間がわかるようにしてもいいわけですね。
一方で伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が運営する情報サイトの「TocaLot」内コラムでは、方眼ノートを用いたボックススタイルのToDo管理は、ひとつのToDoボックスの上下左右にもToDoボックスがあるので、流れや関連性を可視化できると伝えています。それにより進捗を把握しやすく、頭のなかも整理できるとのこと。ひとつのプロジェクトには細々とした作業も付随してくるはず。だからこれはスキマ時間にこなせそうな作業にも通じることなのです。
つまり方眼ノートは、ToDoリスト作成にも、その延長線上にある「スキマ時間用のできることリスト」作成にも、何かと役立つわけです。
「スキマ時間用リスト」の例
ここで、前出の竹村氏による「スキマ時間用リスト」としての時間別作業例を見てみましょう。
5分でできる作業例
- 電話連絡
- ニュースチェック
- 予定確認
- ストレッチ
- 音楽を聴く
10分でできる作業例
- メールチェック
- 会食の予約など
- 進捗の確認
- メール返信
- 英会話勉強
30分でできる作業例
- 資料チェック
- アイデア出し
- 企画書等の骨組み
- 日報作成
- 仮眠
こうしてみるとわかるように、リストアップするのは仕事だけではありません。生産性の向上には、気分転換や休息、学ぶことも大切なのです。
では、これまでの内容をふまえて「スキマ時間用のできることリスト」を実際につくってみます。
方眼ノートで「スキマ時間用リスト」をつくってみた
今回使用するのは8mm方眼罫6号(179×252/セミB5)のノートです。じつはこれ、筆者の「なんでもノート」でもあります。記事ネタや、個人的に興味深い研究、故事ことわざから、映画やドラマで感銘を受けたセリフ、イレギュラーな予定まで、なんでも書き込んでいるものです。
細々とした作業とはいえ、「常に必要な作業」「一時的に連続する作業」「滅多にない作業」などいろいろと種類があるはず。それを区分けるために時間を要するのは、あまり歓迎できません。
だから自由に書けて、フレキシブルに更新できる「スキマ時間用リスト」にするべく、自由でフレキシブルな「なんでもノート」に作成することにしました。
では、以下例のとおりボックスサイズを変えて、ひとめで時間の長さがわかるようにしていきましょう(10分は10~15分くらいまでとする)。
思いついたものから書いていくとボックスサイズが入り混じってしまいますが、ひとめで所要時間がわかるので整理の必要がなく、選択にも迷いません。
書き出している段階ではまだピンとこないのですが、ふとスキマ時間ができたときこのリストを眺めてみると、深く考える必要がない=脳に負担をかけないせいか「あ、これやっとこう」のやる気スイッチがスムーズに入ります。
作業を選んでも、休息および気分転換を選んでも、学習を選んでも、どれも生産性を高めるものなのでムダにはなりません。「スキマ時間用のできることリスト」に失敗はないのです……!
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方眼罫のボックスに書く「スキマ時間用のできることリスト」を紹介しました。気軽にお試しくださいね。
(参考)
ITmedia エンタープライズ|あせらないために「スキマ時間に行う仕事リスト」を作る:あせらない練習
日経クロステック(xTECH)|スキマ時間を効果的に活用するコツ
TocaLot|紙とペンだけで仕事の効率が変わる?仕事に役立つノート術
読売新聞オンライン|方眼ノート人気 理由は“懐の深さ”?
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。