「勉強中にすぐ気が散ってしまう……」
「集中できなくて勉強がスムーズに続かない……」
資格や学校の試験を控えて、いざ勉強しようと机に向かったものの、そんなふうにつまずいたことはありませんか?
もしそうだとしたら、勉強机の上を一度確認してみてください。じつは、机の上の状態が悪いと、勉強のパフォーマンスにも悪影響が及ぼされてしまうのです。
今回は、机の上が散らかっているとマズい理由とともに、勉強効率を上げるために机の上から排除すべき5つのものをご紹介します。
散らかっている机は脳を落ち着かなくさせる
机の上が散らかっていると、なんだか気になって仕方がない……そんな感覚を抱いたことのある方は多いのではないでしょうか。科学的な観点から見ても、周囲に物が散らかっている状態は人間の脳を「落ち着かなく」させることが判明しています。
プリンストン大学神経科学研究所の研究によると、人間の脳は秩序を好む傾向にあるのだそう。逆に、無秩序の状態が視界に入り続けると集中力が低下してしまうのだとか。そう、物があふれて散らかっている机の上は、まさに無秩序な状態。そんななかで勉強して集中力が続かないのも無理はありません。
デメリットはほかにも。2009年に発表されたカリフォルニア大学の研究では、整理されている部屋よりも散らかっている部屋で生活している人のほうが、ストレスホルモンであるコルチゾールの血中濃度が高いことが判明。ストレスで勉強に支障が出る恐れも考えられますね。
このように、物が乱雑に散らかっていると、さまざまな観点で脳に負荷がかかります。脳をクリアな状態にし、集中して効率よく勉強に取り組むためにも、勉強環境はしっかり整えたいものですね。机の上から “特に排除するべき” 5つのものを提案しましょう。
【排除すべきもの1】スマートフォン
勉強中に調べ物をしたいときに便利なスマートフォン。しかし、手元にあるとつい、勉強そっちのけでSNSを見たりネットサーフィンをしてしまったりすることはないでしょうか。 時間泥棒になりうるスマートフォンですが、怖いのはそれだけではありません。
テキサス大学オースティン校の研究者が800人を対象に行なった実験では、スマートフォンが机の上にあるだけで作業成績が下がることが判明。認知能力の低下も確認されたそうです。また、スマートフォンが「ポケットのなか」にあっても、同様に作業成績や認知能力の低下が見られたのだとか。
たしかに、スマートフォンがすぐ近くにあると、その存在が気になってしまいますよね。勉強に集中したいときは、スマートフォンをマナーモードか電源オフにし、別の部屋に置いておくのが賢明でしょう。
【排除すべきもの2】雑誌
息抜き時に読むために、雑誌を机の上に置いている――これもじつはNGです。
脳科学者の中野信子氏は、雑誌の表紙は人の目につきやすいようにデザインされているため、特に注意を奪われやすいと指摘しています。集中を散らす原因である「帯状回」を刺激してしまうのだそう。
カールトン大学(カナダ)の心理学者らが行なった研究によると、自制心を鍛えるよりも、シンプルに「誘惑を排除」したほうが目標達成に効くとのこと。時には忍耐が必要な勉強ですが、余計な集中力を削がないためにも、雑誌は机の上から排除すべきです。表紙が見えないように本棚にしまうか、スマートフォン同様、別の部屋など目の届きにくい場所に置いておくほうがいいでしょう。
【排除すべきもの3】不要な筆記具
なぜか増えてしまうボールペンやマーカー。しかし、実際に普段からよく使うものとなると、かなり限られてくるのではないでしょうか。
『モノが少ないと快適に働ける』などの著書をもつステーショナリーディレクターの土橋正氏は、物が少ないと「どのペンを使おうか」などと選ぶ必要がなくなり、そのぶんを「考える」ことに注げると述べます。私たちは、物事の選択や判断をするたびに、集中力の源である「ウィルパワー」を消費していきます。このウィルパワーを無駄にしないためにも、「選ぶ」という行為を節約する必要があるのです。
たとえば、Appleの元CEOである故スティーブ・ジョブズ氏が、いつも黒のタートルネックを着ていたことは有名な話。ジョブズ氏は、「毎日服を選ぶ」という決断を省略することで、無駄なウィルパワーを節約し、そのぶんを普段の仕事へ存分に回していたのです。
ペン立てやペンケースを確認して、インクの切れたペンやあまり使わない色のマーカーは思いきって捨て、机の上には必要最低限の筆記具だけをそろえてみましょう。
【排除するべきもの4】不要な参考書
たとえば英語の勉強をするときに、経済学や心理学などほかの分野の参考書も机の上に置いたままにしている人はいませんか。それが本当に気にならないのであれば問題ありませんが、もし「英語も経済学も心理学も……」と同時進行で勉強を進めるためだったとしたら、改めたほうがよさそうです。
メンタリストとして活躍するDaiGo氏によれば、2つ以上の物事を同時にやっているときは誘惑に負けやすくなるのだそう(※スタンフォード大学の研究より)。つまり、マルチタスク状態で複数の勉強を同時に進めると、ほかのことが気になり、かえって勉強が手につかなくなるのです。
それを防ぐためにも、1つのことに専念できる環境づくりが大切。必要な参考書だけを机の上にそろえ、あとは本棚や引き出しにしまいましょう。
【排除するべきもの5】不要な紙類
あとで読み返そうと思ったレジュメやレポート、メモを書いた付箋――こういった紙類もつい机の上に放っておきがちですよね。これでは十分な勉強スペースを確保するのも難しくなります。
整理収納アドバイザーの角一まり子氏は、必要のないものはその場で処分し、本当に必要なものだけを残す意識を心がけるのが大切だと述べています。角一氏が提案するのは、紙類の整理の際に以下3種類に分類することです。
- 処理中のもの
- 保管するもの
- 廃棄するもの
角一氏によれば、「1年を経過した書類の99%は不要」とのこと。3ヶ月前・半年前の書類でさえ、見返す確率はかなり低いでしょう。処理中のものや保管するものはクリアファイル等に分けて引き出しのなかに入れるなどし、それ以外は処分しましょう。
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環境を整えると、学習効率だけでなく、勉強に向かう気持ちも変わってくるのではないでしょうか。不要なものは机の上から排除し、すっきりした気分で勉強に臨みましょう!
(参考)
ハーバード・ビジネス・レビュー|デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する
ナショナル・ジオグラフィック|スマホがあると退屈で集中力低下、海外の研究事例
東洋経済オンライン|「机にスマホ置く人」ほど集中力が続かない理由
SAGE journals|What’s So Great About Self-Control? Examining the Importance of Effortful Self-Control and Temptation in Predicting Real-Life Depletion and Goal Attainment
東洋経済オンライン|仕事道具を減らすと、集中力がみなぎる
Mentalist DaiGo Official Blog|なぜ人は誘惑に負けてしまうのか
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【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。