あなたに勉強友達が必要な4つの理由

勉強友達が必要な理由1

勉強は基本的に1人でやる必要がありますが、時には友達と一緒に勉強するのもおすすめです。勉強へのやる気を失いそうになったときでも、仲間が励んでいる姿を見れば、モチベーションを取り戻せるはず。勉強時間を一緒に過ごすことで、悩みや苦しみの共有もできるでしょう。

しかし、友達と過ごす時間が楽しくて、参考書を開いたままおしゃべりを続け、結局ほとんど進まない……というリスクも否定できません。そこで今回は、友達と勉強するメリット/デメリットとともに、一緒に勉強するときの注意点や、勉強仲間をつくる方法をご紹介しましょう。

友達と勉強するメリット

友達と一緒に勉強するメリットとして、以下の4つが挙げられます。

心の支えになる

勉強仲間は心の支えになってくれます。勉強には、少なからず苦痛がともなうもの。1人で黙々と勉強するばかりでは、心が折れそうになったり、気分がふさいだりすることもあるでしょう。

そんなときに勉強仲間がいれば、励まし合ったり、喜びを分かち合ったりできるため、勉強の苦痛や孤独感が和らぎます。1人では退屈に感じる勉強も、友達となら、むしろ楽しくなるはずです。仲間どうしで夢や目標を語り合えば、モチベーションの維持にもつながるでしょう。

競争相手になる

勉強仲間は、よきライバルにもなってくれます。心療内科医の長井敏弘氏によれば、友達などと一緒に勉強すると脳が刺激され、闘争ホルモン「アドレナリン」が分泌されやすくなるそう。「この人には負けたくない」という競争心が起こり、1人で勉強するより意欲が高まりやすいのです。

時間が経つと、アドレナリンは快感ホルモン「ドーパミン」に変化します。友達と競い合って勉強すると、ドーパミンによる達成感・幸福感も得られるため、勉強がゲームのように刺激的になるのです。

強制力になる

勉強仲間の存在は、勉強の「強制力」ともなります。仲間が「監視の目」になってくれることで、勉強をサボってしまうリスクを減らせるのです。

勉強するのが面倒な日でも、「○時まで友達と勉強する」という約束があったら、サボることは困難でしょう。疲れを感じたときも、隣で頑張っている友達を見れば、「もうひと頑張りしよう」と気合いを入れ直せるはずです。

三日坊主になりやすい人や、意志の弱い自覚がある人は、サボりを抑止してくれる仲間をつくるといいでしょう。

情報交換できる

心理学者の和田秀樹氏によると、勉強仲間は情報交換の点でも重要だそう。

同じ資格試験への合格を目指す仲間がいれば、わからない箇所を教え合えるのはもちろん、傾向・対策やおすすめの参考書など、情報が得やすくなります。どんな試験にも “情報戦” の側面があるもの。有益な情報をくれる友達の有無により、少なからず合格の可能性が左右されるでしょう。

前出の長井氏は、勉強仲間とのディベートも強く推奨しています。勉強の内容や問題の解き方を熱く議論すれば、自分にはない視点で意見を得られたり、自分の言葉で知識をアウトプットしたりできるため、勉強内容への理解を深められるのです。「友達に論破されたくない」という闘争心で脳がフル回転するので、勉強の質も高まるはず。

勉強友達が必要な理由2

友達と勉強するデメリット

一方で、友達と一緒に勉強すると、デメリットが生じる可能性もあります。誰かと勉強することが多い方は、ぜひ念頭に置いてください。

学習意欲が下がる

相手によっては、かえって勉強の意欲や効率が低下してしまう場合もあります。

たとえば、勉強仲間の意欲が低いと、自分も影響されてしまうかもしれません。「意識が低い友達とはつるむな」というわけでは決してありませんが、勉強仲間に関しては、なるべく高い志をもった人、自分にいい刺激を与えてくれそうな人を選ぶのがベターです。

反対に、「レベルが高すぎる人」もなるべく避けましょう。慶應義塾⼤学などによる2017年の共同研究では、自分より成績優秀な人ばかりのクラスに所属した学生は成績が低下する傾向が示されました。周囲との比較で劣等感を抱き、学習意欲が低下してしまったことが原因だと考えられています。

勉強仲間には、なるべく学習レベルが自分と同程度で、かつ精神的にいい影響を与えてくれそうな人を選びましょう。

時間のムダが生まれる

誰かと一緒に勉強すると、「ムダな時間」が生じやすくなるもの。「ダラダラ雑談してしまう」「勉強後に遊びや飲みに行ってしまう」「待ち合わせ場所まで何十分もかかる」などが考えられます。勉強仲間がいることで勉強時間が奪われるなら、本末転倒です。

このような時間のロスを減らすには、雑談や遊びに時間を費やさないよう意志共有しておく、会うのに時間がかからない人を勉強仲間に選ぶ、などの工夫をするといいでしょう。

勉強仲間が正しいとは限らない

勉強仲間から教えてもらった情報は、必ずしも正しいとは限りません。相手もプロではないのですから、「この情報は間違っている可能性もあるな」という意識を常にもっておきましょう。

勉強仲間から情報を得たら、うのみにせず、参考書やほかの情報源で確認してください。実体験に基づく情報が欲しい場合、ひと足早く資格試験に合格した友達や、すでに勉強内容をマスターした先輩などを頼りましょう。

勉強友達が必要な理由4

友達と勉強するときのポイント

以上のメリット/デメリットをふまえ、友達と勉強するときは、以下の3点に注意しましょう。

同じレベルの人を選ぶ

勉強友達には、学習レベルが同程度の人を選びましょう。先述のように、学習進度が自分より高すぎたり低すぎたりする相手では、意欲が低下する恐れがあります。同じくらいだと感じられる人を勉強仲間にすることで、ほどよい競争意識や緊張感が生まれるのです。

人数は5人まで

経営コンサルタント・岡島悦子氏によると、勉強仲間の人数は4~5人がおすすめだそう。多すぎると足並みやレベルがそろいにくくなり、勉強の質が低下するリスクが高まるからです。誰でも勉強グループに加えるのではなく、志を共有した少数精鋭の仲間を選びましょう。

勉強の内容・時間を事前に決める

基本的なことですが、その日に勉強する内容や勉強時間は、事前に決めておきましょう。「今日はここまで頑張ろう」という目標が励みになり、勉強がはかどるはず。

逆に、何も目標がなければ、だらけた空気が生まれ、学習の効率が落ちる恐れがあります。特に親しい友達と勉強するときは、甘えや気の緩みが生まれないよう、勉強のルールを明確に決めておきましょう。

勉強友達が必要な理由3

勉強友達のつくり方

友達と一緒に勉強することには、1人での勉強にはないメリットがあるとわかりましたね。では、勉強友達がいない人は、どうすればいいのでしょうか? 勉強友達をつくる3つの方法を紹介します。

身近な人から探す

基本的かつベストなのは、身近な友達や同僚から探すことです。気を遣いすぎる必要がなく、ミスマッチのリスクも小さいはず。

前出の和田氏は、勉強仲間を選ぶ条件として「共感できるかどうか」を挙げています。相手にいいことがあったときは心から喜べ、失敗したときは一緒に悲しめるかどうかです。このような「共感の絆」がベースにあれば、いい刺激を与え合える、理想的な友情を築けます。

逆に、成功を嫉妬したり失敗を喜んだりする相手を仲間にすると、足を引っ張り合うだけの関係になる恐れがあります。勉強友達として長続きはしないでしょう。

勉強仲間を選ぶときは、「自分は相手を応援してあげられるか」「相手は自分を応援してくれそうか」と考えてみてください。

勉強会やセミナーに参加する

団体・個人が運営する勉強会やイベント、セミナーに参加してみる方法もあります。同じような目的や関心をもった人たちと知り合い、刺激されるでしょう。自ら勉強会に足を運ぶほどですから、かなり意欲の高い人ばかりのはずです。

勉強会を探すには、各種情報サイトを利用しましょう。有名どころでは、地域ごとに人とつながれる「ジモティー」、多種多様なイベントを探せる「つなげ―と」「Peatix」などがあります。

そのほか、セミナーやワークショップを探せる「ストアカ」、IT・エンジニア向けに特化した「Doorkeeper」など、さまざまな情報サイトがあるので、ジャンルや用途ごとに使い分けてみてください。

◆勉強会などを探せるWebサイト

  • ジモティー:地域ごとに勉強仲間や趣味友達を募集できる
  • つなげーと:学習や趣味、スポーツなど多様な社会人サークルを探せる
  • Peatix:学びや趣味のイベントを探せる
  • ストアカ:セミナーやワークショップを探せる
  • こくちーずプロ:勉強会やイベントを探せる
  • Doorkeeper:勉強会を探せる(IT・エンジニア系)
  • connpass:勉強会や読書会を探せる(IT・エンジニア系)

SNSを活用する

3つめの方法は、SNSを活用すること。同じ志の仲間とSNSでつながり、勉強の進捗を報告し合ったり応援し合ったりすれば、モチベーションを維持しやすいはずです。リアルの人間関係と異なり、気軽に関われるのがメリットでしょう。投稿の検索機能やハッシュタグを使えば、リアルタイムの情報を収集するのにも役立ちます。

TwitterやInstagram以外に、ほかのユーザーと励まし合いながら習慣の継続を目指す「みんチャレ」、外国語の会話練習ができる「Tandem」など、それぞれの目的に特化したSNSもあります。このような学習者向けのSNSなら、勉強への熱量が強い仲間を見つけやすいはずです。

◆勉強仲間とつながれるSNS

  • Twitter(iOSAndroid
    140字以内の短文を投稿。勉強の進捗や反省の投稿、情報収集に
  • Instagram(iOSAndroid
    写真の投稿に特化。勉強の成果を写真で残したい人に
  • Tandem(iOSAndroid
    外国人ユーザーと、チャットや通話で語学練習。外国語の日常会話力を鍛えたい人に
  • みんチャレ(iOSAndroid
    5人で1組になり、勉強などの習慣化を応援し合う

一緒に勉強する友達・仲間が欲しい方は、ご紹介した方法を試してみてください。

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自分に合った勉強友達と正しく付き合えば、勉強の意欲・効率が飛躍的に高まるはず。これから勉強仲間を探したい方、人と一緒に勉強する機会が多い方は、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

(参考)
和田秀樹(2020),『インプットの効率を上げる勉強術100の法則』, 日本能率協会マネジメントセンター.
長井敏弘(2016),『医学で合格る勉強法』, すばる舎
RIETI|負のピア効果―クラスメイトの学⼒が⾼くなると⽣徒の学⼒は下がるのか?―
石井和人(2008),『ごく普通の人でも難関資格に受かる非常識勉強法!』, すばる舎.
オラヴ・シーヴェ 著, 片山奈緒美 訳(2018),『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』, TAC出版.
岡島悦子(2008),『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』, 東洋経済新報社.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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