東大教授「やる気を出す方法を考えるのはムダ」――結局 “とりあえず動けば” 勉強は進んでいく。

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「勉強しなきゃ……」頭ではわかっていても、なかなか重い腰が上がらずにダラダラと過ごしてしまうことはありませんか? 計画は完璧。あとは実行するのみなのにやる気が一向に出ない、そんなこともありますよね。

しかし行動に移すときに「やる気」は必ずしも必要ではないのです。今回は、どうしてもやる気が出ないけど、これ以上やるべき勉強を先延ばしにしたくないという方に向けて、すぐに動きたくなるとっておきの方法をご紹介します。

結局は “とりあえず動く” がすべて

脳科学者の茂木健一郎氏は、「何かに取り組んだり行動したりするのに“やる気”は必要ない」と断言しています。そして、やる気がないことを言い訳にして行動しないことの方が問題であると述べています。

人間の「やる気」は、脳内で分泌される神経伝達物質・ドーパミンによって引き起こされます。ドーパミンが分泌されるのは、脳の“側坐核”と呼ばれる部分。実はこの“側坐核”が活性化されるには、実際に行動を起こさなければならないのです。

つまり、「このゲームをクリアしたら勉強に取りかかろう」「友だちのSNSをチェックしてから資格の勉強をしよう」と、ただスマートフォンをいじっていても、側坐核は一向に活性化されません。それゆえにドーパミンも分泌されず、やる気が出るどころかいつまでたっても怠ける状況から抜け出せないのです。

東京大学薬学部の池谷裕二教授は、そもそも「やる気」という言葉は、「やる気」のない人間によって創作された虚構ということを前提として、「やる気を出すための方法」を考えるほど無駄なことないと断言しています。

つまり、私たちが普段からアテにしている「やる気」とは幻想のようなものであり、そもそも何かをやる前からやる気を出すことは不可能なのです。やる気が出ないからこそ立ち上がる、参考書をめくる、手を動かす。「行動することでしかやる気は引き出せない」と覚えておきましょう。

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とりあえずやるべきこと1:動き出すきっかけを作って作業興奮を発生させる

とりあえず動くことが大切であるとわかったところで、ここからは最初のアクションとして何をするべきかを考えていきます。

まずは手っ取り早く、一番簡単なことから始めましょう。最初のハードルは楽々と飛び越えられるものがいいですね。たとえば、1ページだけ読むつもりで参考書を開きます。読み進めるうちに心理的負担が軽くなり、「この勢いであと3ページ進めようかな」とエンジンがかかってくるのです。

ドイツの心理学者・クレベリンは、この状態を「作業興奮」と名づけました。作業興奮が発生するのは、動き始めてから5分~10分程度と言われているので、「とりあえず5分だけやろうかな」と軽い気持ちで行動すれば、いつのまにか30分以上たっていた! ということも。

また、動き始めるきっかけは勉強以外でも構いません。机の上を整理するなど勉強する環境を整えることからスタートすれば、その行動に気持ちが後押しされるはずです。目に入る余計なものをしまったり、落ち着いて勉強ができるアイテムを揃えたりするなど、自分の集中力を高める環境を把握しておくといいでしょう。

手足を動かすことも脳の側坐核に刺激を与えて、ドーパミンが分泌されます。スポーツのウォーミングアップのように、軽く身体を動かすだけでもじわじわとやる気になってくるので、ストレッチをするのもおすすめです。

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とりあえずやるべきこと2:ゆるい目標を立てる

明確な目標を持つことは頑張る原動力になります。しかし、高すぎる目標を設定して「叶わない」と感じてしまうと、モチベーションが落ちてしまうので注意が必要です。そこで脳科学者の澤口俊之先生は、目標値の上下に幅を持たせる『レンジ法』という目標設定の方法をすすめています。

ひとつの到達点のみに固執してしまったばかりに、目標達成が困難に感じられて挫折を招いてしまうことはよくあります。最初から「今日は10ページ進めるぞ」を意気込んでしまうと、いざ行動を起こす時に「10ページなんて無理かも」と怖気づいてしまいますが、「今日は5ページから15ページくらいまで進めよう」と目標に幅を持たせるこで、5ページまでは簡単にこなせそうな気がしてきませんか?

このように目標値の上下に幅を持たせると、その下限にはたやすく到達できるため、さらに頑張ろうという意欲も湧きます。最終的に当初の設定よりももっと高い到達点に達することができるので、数字を限定しないでゆるめの目標を設定するといいでしょう。

まずはテキストを開き、最高目標の箇所に付箋などで印をつけます。「ここまでできるのが理想だけど、できなくても問題ない」と軽い気持ちでいることがポイントです。そして、最低ラインの目標箇所にも印をつけましょう。そこは「いくらなんでもこれならすぐにクリアできる」くらいの低い目標であることがポイントです。

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とりあえずやるべきこと3:これからやらなければならない行動を具体的にイメージする

動き出す原動力は、「この行動をした先に何があるか」「どんな良いことが待っているのか」という期待や希望がなければ生み出されないものです。たとえば「今勉強をし始めたおかげで、試験に合格できた」というように、行動と快感が結びついてこそ人間は行動を起こすことができるのです。

公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、脳の奥の神経系「大脳基底核」の一部である「線条体」は、やる気や意欲に密接にかかわっており、線条体が活性化されることで意欲的に行動することができると説きます。この線条体を活性化させるためには、行動によって快感=報酬が与えられると自覚しておく必要があります。

まずは、勉強をしたその先に何があるのか具体的に思い描いてみましょう。勉強という行為そのものに目を向けるのではなく、勉強を頑張ったら自分にとってどんなメリットがあるのか、どんな輝かしい未来を手に入れることができるのかを想像するのです。すると線条体が活性化して、行動する意欲に結びつくというわけです。

また、線条体は運動のコントロールにも関わっているので、「運動野」や「前運動野」が動き出すことでも活性化されます。その方法はこれからやらなければならないことを具体的にイメージすること。それもできるだけ細かく、現実の行動を結びつけながら想像力を働かせることがポイントです。

たとえば「ソファから起き上がり、コーヒーを入れる。スマートフォンを引き出しの中にしまい、ノートとテキストを開く」と、いかにも自分が今から実際に行動するであろう一連の流れを具体的にイメージします。それにより、現時点ではまだ身体を動かしていなくても、筋肉に指令を出す「運動野」や運動の計画を立てる「前運動野」の活動が促されます。

やる気が出ないときはつい現実逃避をしてしまいがちですよね。しかし、今やるべきことに向き合わなければ、どんなに待ったところでやる気は自然発生しないのだということを覚えておきましょう。

***
最初の一歩がなかなか踏み出せずに、ただダラダラと時間だけが過ぎていくことに罪悪感を覚えているのなら、まずは行動あるのみ! そうは言ってもなかなか重い腰が上がらないのであれば、具体的に行動する内容をイメージすることも、動き出すきっかけになります。

(参考)
Study Hacker|やる気ゼロ状態から “たった5分で” さくさく行動にできるようになる方法。
Study Hacker|「やる気」なんか甘え。東大生が教える、やる気がなくても勉強をスタートする方法
新R25|「簡単にやる気を出す方法を教えてください!」→脳研究者「やる気なんて存在しない」
THE 21|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
PRESIDENT Online|脳科学者“やる気が出ないと悩むのは無駄”

【ライタープロフィール】
StudyHacker編集部
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