ドラゴン桜「勉強方法は “性格” で選びなさい」本当に自分に合った学習スタイルの選び方

東京大学の安田講堂

人気漫画『ドラゴン桜』は、弁護士の桜木建二が龍山高校の落ちこぼれ生徒たちを東大合格に導く受験サクセスストーリーです。

続編の『ドラゴン桜2』では、龍山高校の東大合格者第一号の水野直美が教える立場となり、自分の性格に合った勉強計画について指導しています。その際に役立つのが、大手企業も導入しているFFS理論なのだそう。

今回は、『ドラゴン桜』に学ぶ、性格に合った勉強スタイルの選び方を紹介します。

FFS理論とは?

FFS理論(Five Factors and Stress)は、「労働強化なしに人事費を抑え、生産性を上げること」を目的に1979年から研究され、経済学・教育学博士の小林惠智氏によって提唱されました。

この理論では、5つの因子(凝縮性・受容性・弁別性・拡散性・保全性)とストレスの強弱で個性を数値化し、行動パターン、感じ方、考え方などを把握します。5つの因子は誰のなかにもあるので、因子の多寡(多い・少ない)と順番で理解していくとのこと。

また、5つの因子のうち「凝縮性・受容性・弁別性」は後天的な影響が大きいと考え、「拡散性」と「保全性」は(先天的な)気質と考えるそうです。

高校あるいは大学の授業風景

FFS理論で学びに関わるふたつの因子

漫画『ドラゴン桜2』では、水野直美が夏休前の生徒に性格診断を行なうシーンがあります。勉強計画がうまくいかない場合、立てた計画が性格に合っていない可能性があるからです。そこで登場するのが前項で紹介したふたつの因子です。

水野は生徒らにこんな質問をします。たとえば気になる本が複数あった場合――

  • 複数の本を同時に読むか?
  • それとも1冊読み終えてから次を読むか?

前者の「複数の本を同時に読む」を選んだ場合は拡散性が高い「拡散型」で、後者の「1冊読み終えてから次を読む」を選んだ場合は保全性が高い「保全型」なのだそうです。

次項では、漫画『ドラゴン桜2』と、FFS理論を管理するヒューマンロジック研究所の動画を参考に、「拡散型」と「保全型」の特徴を掘り下げていきます。

「拡散型は、体験モード」:ワクワクが大事

拡散性が高い「拡散型」は、おもしろそう、やってみたいと感じることが重要なのだそう。まずはやってみて、体験を通して仮説を検証するので、自由に動けないとストレスを感じてしまうそうです。

◆拡散性の特徴

拡散性の特徴はマイペースゼロベース思考(既存の枠組みにとらわれない)です。ハイリスクな行動もへっちゃらなのだとか。周囲からどう思われようと無頓着で、あまのじゃくな部分があり、興味がないとまったく動きません。

判断軸は「好きか・嫌いか」「快か・不快か」「興味があるか・ないか」。キーワードはゼロベース、自在、奔放、外向的。口癖は「とりあえず」「ま、いっか」「適当に」など。意外にもテンションは低めで、寡黙なタイプ。ひとりで自由に動くことを好む、創造タイプです。

◆「拡散型」に合う勉強プラン

「拡散型」の場合、勉強する場所は気分で決めて、5日間ごとにノルマを設定し、そのあいだは自由に動けるようにするのが最適なのだそう。

気分が高まる問題集を見つけたり、憧れの人をロールモデルにしてモチベーションを高めたり、ゲーム感覚でハイレベルな問題に挑戦したりするのもいいとのことです。

拡散型の学生が、自由な雰囲気で勉強している様子

「保全型は、積み上げモード」:安心が大事

保全性が高い「保全型」にはちゃんとやりたい、失敗したくないという気持ちがあります。だから、しっかりと計画を立てて実行し、その経験を次に活かそうとします。

◆保全性の特徴

保全性は、長期的にコツコツと改善・解決しようとする特徴があります。「組織づくり」や「仕組化」が得意なのだとか。計画的かつ慎重なので、先が見えないこと、急な変更がストレスになります。

判断軸は拡散性と同じで、「好きか・嫌いか」「快か・不快か」「興味があるか・ないか」。キーワードは安全、慎重、敏感、内向、几帳面。口癖は「抜けもれなく確実に」「ほかはどうなの?」など。

初対面では慎重ですが、少しずつ距離を縮めて信頼関係を築こうとします。また、人に誘われて仲間の輪を広げていけるタイプとのこと。こちらはゼロからつくり出す創造タイプとは違い、何かの刺激をもとにイマジネーションを広げていく想像タイプです。

◆「保全型」に合う勉強プラン

「保全型」の場合はノルマを1日ごとに決め、勉強場所は固定するといいとのこと。また、勉強方法や進め方が正しいのか、ほかの人はどうなのかと気にしやすいので、仲間に進捗状況を報告するといいそうです。そして、手元にある問題集を徹底的にこなし、自信を崩しかねないハイレベルな問題には手を出さないようにするのが大切とのこと。

コツコツと勉強を進める保全型の学生

勉強スタイルの選び方

「拡散型」と「保全型」の特徴と、それぞれに合う勉強プランの立て方を紹介しました。最後に、各勉強プランをより効果的にする勉強スタイルを提案しましょう。

◎「拡散型」に合う勉強スタイル

「拡散型」は興味に従い、ゲーム感覚で勉強しながら、ハイレベルな問題にもチャレンジしていく勉強スタイルがピッタリです。したがっておすすめはこちら。

  • ゲーム感覚で行なう、ミニテストベースの、自由な勉強スタイル

5日ごとに、どんどん難易度が高くなっていくミニテストを行ないます。そのルールさえ守れば、あとは自由に勉強するだけ。 これなら縛られることなくモチベ―ションを保ち、ワクワクしながら勉強できるはずです。

◎「保全型」に合う勉強スタイル

「保全型」は仲間と一緒に共有しながら勉強するのがおすすめです。

  • 安心・安全な、グループベースの、計画的な勉強スタイル

同じタイプの勉強仲間をつくり、オンライン勉強会を定期的に開催します。それ以外は1日ごとのノルマを決めてコツコツと、少しずつレベルを上げていきます。これなら安心して、勉強実績を積み上げていけるのではないでしょうか。

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ドラゴン桜に学ぶ、性格に合った勉強スタイルの選び方を紹介しました。

どちらの因子か判断しにくい場合は、いったん好ましく感じるほうを選び、あとは快か・不快かに沿い、段階的にやり方を選択してみるといいかもしれません。しっくりくる勉強法が見つかるといいですね。

(参考)
ヒューマンサイエンス研究所|役員一覧
日経ビジネス電子版|「Five Factors and Stress (FFS)」とは何か
日経ビジネス電子版|『ドラゴン桜』が教えてくれる、あなたの努力が続かない理由
日経の本 日経BP|ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型【WEB診断付き】
新R25|計画通りに進められないのは“性格”のせい? 読書の仕方でわかる「正しい計画の立て方」
Business Insider Japan|個性を科学的に分析する「FFS理論」とは?【BIキャリア】
『ドラゴン桜2』公式サイト

【ライタープロフィール】
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