勉強に励んでいるのに、なかなか成果が出ないとお悩みの方はいませんか?
その原因は、意外にも「アウトプット」にあるかもしれません。効果的な学習には、適切なアウトプットが不可欠です。もしかしたら、あなたのアウトプットに対する理解と実践が不足しているのかもしれません。
米国内科専門医が開発した画期的な勉強法を取り入れることで、学習効果を飛躍的に高められる可能性があります。本記事では、アウトプットの重要性と、それを最大限に活用する具体的な方法について詳しく解説していきます。
効率的な学習方法を身につけることで、あなたの勉強時間がより有意義なものになるはずです。それでは、脳科学の知見と実践的なテクニックを交えながら、学習効果を最大化する方法をご紹介していきましょう。
学習はアウトプットがあってこそ
脳内科医の加藤俊徳氏は、覚えた内容を必要なときに引き出す能力が重要だと述べます。それにはアウトプットを意識した勉強が大事なのだとか。たとえば、あとで他者にどう表現して伝えるか、考えながら資料を読むイメージです。そうすると脳の連携がよくなり、活性化していくとのこと。
(参考元:THE GOLD 60|覚えたはずなのに思い出せない…!「記憶力を高めるため」に大事なこと【脳内科医が解説】)
しかし、冒頭で “学習はアウトプットありき” と述べた理由はほかにもあります。私たちはアウトプットがないと、自分が学習できたかどうか判断できません。
横浜国立大学教授の有元典文氏によると、心理学で学習は「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」と定義されるそうです(カギカッコ内引用元:有元典文(2013),「学習という観察」,日本認知科学会,20巻,3号,pp.281-282.)。
つまり、何かの本を読んで、意識、考え、行動が変われば、その変化が学習の証ということ。それを確認するには、書き出す、説明する、行動で表すといったアウトプットが必要なはずです。
したがって、アウトプットは学習効果を上げる手段であるだけではなく、学習できたかどうかを判断するものでもあるわけです。
ちなみに前出の加藤氏は、「アウトプットを繰り返すほど、脳はよく働いて記憶力も高まる」と伝えています(カギカッコ内引用元:前出の「THE GOLD 60」記事)。
これまでの内容をふまえると、インプットとアウトプットがセットになっていて、特にアウトプットを多く繰り返す勉強法が、理想的と言えるのではないでしょうか。
それにピッタリとはまるのが「白紙勉強法」です。米国内科専門医の安川康介氏が考案したのだとか。次項で詳しく紹介しましょう。
アウトプット満載の「白紙勉強法」
アメリカの医師国家試験にトップ1%の成績で合格したという安川氏は、医学の膨大な知識を自分のものにするために、「ブツブツ呟いて教えるフリをしながら書き出す白紙勉強法」を取り入れたのだとか。
具体的なやり方はこうです。
<白紙勉強法のやり方>
- 教科書や参考書、新聞、書籍などを読んだあと、それを見ないで白い紙(ノートやコピー用紙など、白い紙ならなんでも)に書き出す。以下は効果を高めるポイント。
・書きなぐる(キレイに書く必要なし)
・声に出して書く(プロダクション効果※)
・誰かに教えるフリをする(プロテジェ効果※) - 理解していない・忘れている部分の情報を見直す。
- 1と2を繰り返す。
- 時間を置いて1と3を繰り返す。
※プロダクション効果:声に出したほうが記憶に残りやすい。
※プロテジェ効果:誰かに教える・教えようとすると理解が深まり、記憶にも残りやすい。
(参考およびカギカッコ内引用元:PRESIDENT Online|これが科学的根拠に基づく「最高の勉強法」である…「白紙を前にして繰り返し思い出す」が究極といえる理由)
筆者はレポート用紙の裏を使い、書きなぐってみました。
(紙に書かれた情報の参考元:Wedge ONLINE|戦後日本経済史が教えてくれること 戦後の日本経済史を15分で振り返ってみよう ※これを含む手書き3画像の参考元は同じです)
書きなぐりとは言え、我ながらひどい字だと思いましたが――
ミミズが這ったような字でも、自分の字なら意外と読めるものですね。
このように書きなぐりながら、できるだけ思い出そうとすると、最初は全体をとらえようとする意識が働きます。それで2のステップに行こうとすると、今度は細部に意識が向いていく印象です。つまり、自然とここで大事な “理解していない・忘れている部分” に注意が向きやすくなるわけです。
安川氏が示してくれた白紙勉強法のやり方は、こうした流れに、うまく沿っているのですね。
ちなみに筆者も安川氏にならい、最初にインプットするときと、思い出しながら書き出す際に声に出してみました。自分の発声で耳に入った情報と、目で見た情報が合わさって、記憶を強化してくれた気がします。
ただ、人に教えるフリは、慣れていないせいか最初はうまくできませんでした。これから、少しずつ慣れていこうと思います。
(参考元:前出の「PRESIDENT Online」記事)
情報は脳内で後ろから前に流れていく
前出の加藤氏によると、学習する際の “頭のなかの情報の流れ” は、以下のとおり後ろから前に流れていくそうです。
- 情報のインプットは脳の後方から:後方に目や耳から取り込んだ情報を、理解・記憶する際に働く神経細胞の集まりがある。
- そのあと情報は脳の前方に送られる:前方に心や頭を働かせたり、行動に移したり、相談・伝達したりする際に働く神経細胞の集まりがある(ただし、一部は脳の前後にあり)。
- そしてアウトプットをする(書く、話す、行動するなど)。
この “後ろから前へ” の方向自体は重要ではありませんが、流れを意識することは学習に役立つかもしれません。
なぜならば「この一連の流れがスムーズに行われているときが、脳が活性化している状態」だと加藤氏が説明しているからです(参考およびカギカッコ内引用元:前出の「THE GOLD 60」記事)。
インプットとアウトプットを点でとらえず、線でつなげ、その流れをスムーズにしようと思えば、アウトプットを意識した勉強が当たり前になるのではないでしょうか。ぜひイメージしてみてくださいね。
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後日、改めて誰かに教えるフリで勉強してみたら、少しだけ慣れてきました。意外とクセになるかもしれません。
PRESIDENT Online|これが科学的根拠に基づく「最高の勉強法」である…「白紙を前にして繰り返し思い出す」が究極といえる理由
THE GOLD 60|覚えたはずなのに思い出せない…!「記憶力を高めるため」に大事なこと【脳内科医が解説】
Wedge ONLINE|戦後日本経済史が教えてくれること 戦後の日本経済史を15分で振り返ってみよう
有元典文(2013),「学習という観察」,日本認知科学会,20巻,3号,pp.281-282.
STUDY HACKER 編集部
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