効率よく暗記できる人が押さえている4つの基本。たった10分の○○で記憶力が上がる!

学習者がこれから覚えようとしている英語のテキストと、学習のためのノート

勉強した内容を覚えるために、単語帳を見ながらただただ暗記をするといった「努力」主体の覚え方をしていませんか? そのようにして覚えるより、記憶のメカニズムを理解したうえでシステマティックに勉強したほうが、記憶効率も定着率も高いものです。

効率よく暗記するテクニックには、「ポモドーロテクニック」、要約、運動など、さまざまなものがあります。それらを、『9割の「努力」をやめ、真に必要な一点に集中する 勉強の戦略』(岡健作著・朝日新聞出版)から一部抜粋、再編集して紹介します。

【プロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)
スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行なっている。

時間を管理して、最も効率よく記憶する

ここでは、効率よく記憶するためのテクニックをいくつかご紹介します。

まずは「ポモドーロテクニック」です。このテクニックは、効率よく記憶するために、人間の集中力を高める時間管理術です。

ポモドーロというのは、イタリアでよく使われているトマト型のキッチンタイマーのことを指します。その名の由来のとおり、このテクニックでは、タイマーで時間を区切って勉強することを推奨しています。

やり方は非常に単純で、「25分勉強して、5分休憩」という流れを数回繰り返すだけ。具体的には次のとおりです。

  1. やるべき課題を決める。
  2. タイマーを25分に設定し、作業を始める。その25分間は、ほかのことはいっさいせず、目の前の課題に集中する。
  3. 25分後にタイマーが鳴ったら、作業が途中でもストップし、タイマーを5分に設定して休憩をとる。休憩中は、ストレッチしたり目を閉じたりしてリラックスする。

以上の1~3のように、「25分集中+5分休憩」を1セットとします。これを4セット(約2時間)こなしたら、4セットめの勉強後に15分~30分の長い休憩をとりましょう。

ポモドーロテクニックで英語を学習する流れ

この方法に効果があるとされているのは、集中力が持続するからだと言われています。もちろんそれもそうなのですが、このテクニックの肝は「5分の休憩」にあるのではないかと思っています。

この5分という時間は、ただ「疲れるから休む」ためにあるのではないのです。この休み時間は、脳を適切に休めて、習得した知識をまとめるための大切な時間。ですので、どんなに順調に勉強が進んでいたとしても、この5分はスキップすることなく、必ずとるようにしましょう。

「忘れかける」ことで、記憶が強化される

記憶が脳に定着するのは、「思い出そうとする」とき。なので、最も効率のいい暗記方法は「覚える」→「忘れかける」→「思い出そうとする」→「覚え直す」→「忘れかける」というサイクルを、何回も繰り返すことです。

暗記が苦手な人の特徴として、一発で完璧に覚えようしてしまう、という点が挙げられます。でも、そもそも人間は忘れる生き物なので、一発ですべてを覚えて、それを忘れないというのは無理なことです。

それなのに、自分の記憶に期待しすぎるばかりに、忘れてしまっていたときに「自分は記憶するのが下手なんだ……」と不必要に落ち込むわけです。

でも、その落胆は的外れ。むしろ、忘れることは悪いことではないどころか、覚えるために必要なステップです。

先ほどお伝えしたように、じつは「出力依存」といって、記憶は「思い出そうとする」ときに定着すると最近の研究では言われています。「忘れた」とか「思い出せない」ということは、記憶に刻み込むための絶好のチャンスです。ポジティブにとらえましょう。

記憶をするためには、「漆塗り」のように、何度も記憶を塗り重ねて定着させていくべきです。そうやって、再チェックを繰り返していくことがコツになります。

本や参考書を読む途中でも「思い出そうとする」プロセスを追加すると、より記憶に残りやすくなります。たとえば次のような方法です。

  1. 覚えたいページを1ページ読み、いったん教材を閉じる
  2. いまさっき読んだページに何が書いてあったか、思い出す

この技法は「検索練習」といいます。意図的に情報を思い出そうとすることで、記憶の定着率が上がります。たとえば、1日の終わりに「今日勉強したことを、何も見ずに紙に書き出せるか?」チェックしてみるのもおすすめです。

また数日たったあとに、「前回学んだことを、次の勉強の前に軽くテストする」のもよいですね。

このことをふまえると、単語を覚えるときに、一度覚えた単語を「暗記リスト」から取り除くことはNG、だという理由もわかると思います。

すでに覚えた単語だとしても、ほかの覚えていない単語と一緒に繰り返し学習するほうが、記憶に定着しやすい。だったら、覚えたか否かにかかわらず、すべての単語の学習を繰り返して、脳に刷り込んでおくほうがよほど効果的です。

たしかに、間違えた単語だけを繰り返し覚えれば、一時的には、効率的に記憶できるかもしれません。中学校の定期テストや小テストなどの一夜漬けでも何とかなる試験だったら、それでもいいでしょう。でも、そうして繰り返しを経ずに覚えた情報はあくまで一時的な記憶です。

記憶がすっかり抜け落ちたあとに、もう一度覚え直すのは大変非効率的です。どうせ覚えるのであれば、しっかりと定着させてしまったほうが、最終的には効率的になります。

暗記勉強に励む若い男性

要約で、知識の定着率が上がる

記憶を定着させるためには、ただ暗記するだけではなく「アウトプット型」の復習をしてみるのも効果的です。その理由は、脳には、インプットしただけの情報よりも、アウトプットした情報を重要視するというクセがあるからです。

学校教育でも取り入れられていますが、「問題集を解く」「確認テストをする」「学んだことを人に教えるつもりで話す」などの、アウトプット型の復習を取り入れると、人間の脳は情報を覚えやすくなります。

特におすすめなのは、学んだ内容を「要約」してみることです。要約をするために必要なのは、勉強した内容のなかから「重要なポイント」を見つけること。つまり要約をするためには、「どこが重要で、どこがそうでないのか」という整理を、自分の頭で行なう必要があるのです。

すると、学んだ内容を再度思い出しつつ、さらにポイントを押さえたうえで頭に入れることができるわけです。もし「記憶に自信がない」と悩んでいるのであれば、勉強した内容を5行程度に要約してみると、その効果を実感できるかもしれません。

要約しながら勉強している女性

運動は、記憶力トレーニングにもなる

記憶力を高めるためには、「体を動かしてみる」のもおすすめです。

筑波大学とカリフォルニア大学アーバイン校の教授らが2018年に行なった研究によれば、1日にわずか10分の軽い運動をするだけで、記憶力をアップさせる効果があると報告されています。

それによると、ヨガや太極拳のようなかなり軽めの運動を10分間実施しただけで、脳の中で記憶をつかさどっている海馬の動きを活性化させて、短期的な記憶力が向上したそうです。

ただ机に向かって長時間勉強するよりも、ちょっとした運動を取り入れるほうが効率よくなるなんて、おもしろいものですね。勉強に疲れたら、少し机から離れて、散歩やストレッチをしてみるといいでしょう。

先ほどご紹介した「ポモドーロテクニック」と組み合わせれば、さらに効果的に記憶力を向上させることができるかもしれません。

【『9割の「努力」をやめ、真に必要な一点に集中する 勉強の戦略』より 記事一覧】

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