新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク(在宅勤務)に移行した方も多いのではないでしょうか。
他人との不要な接触を避けられるのは、たしかに安心ですよね。一方で、「家だとなかなか集中できない……」といった問題を抱えている人もいるはず。まわりに誰もいないため自分を律することができなかったり、オフィスに出勤するわけではないためイマイチ仕事モードに切り替えられなかったり……。
そこで今回は、テレワークを捗らせる3つのコツをご紹介します。
1.「光マネジメント」で規則正しい生活を
オフィス勤務であれば、通勤や出社のために多少早起きして朝の準備をする必要がありました。しかし、自宅でのテレワークとなると、勤務開始時刻ギリギリに起きても一応は間に合いますよね。そのため、生活リズムがつい乱れてしまいがち。「日中に頭が働かない」「なんだかボンヤリする」といった問題を引き起こしてしまいます。
たとえテレワークであったとしても、オフィス勤務のときと同じ生活リズムを維持することが大原則。自信がない人は、「太陽光」のパワーを活用してみましょう。朝に光を浴びることには、睡眠を促す物質「メラトニン」の分泌を抑制する効果があります。これにより体内時計がリセットされ、身体や脳のリズムも整うのです。
しかし、部屋の電気をつけるだけでは不充分。作業療法士の菅原洋平氏によれば、メラトニン分泌を抑えるには1,500~2,500ルクスの明るさが必要なのに対し、部屋の電気だけでは500ルクス程度しか確保できないのだそう。朝起きたら、カーテンを開けたり外に出たりして、太陽光を積極的に浴びるようにしましょう。
加えて、就寝直前のスマートフォンやタブレットの操作も厳禁です。なぜならば、端末の画面から発せられるブルーライトが、目の網膜に強い刺激を与えて、メラトニンの分泌を抑制してしまうから。この機構は朝の太陽光と同一ですが、こちらは「夜なのに眠くならない」という大問題を引き起こしてしまいます。就寝前は端末操作を控えて、翌朝に早起きしやすい状態で眠りにつきましょう。
2. 「緑」と「自然音」を取り入れよう
テレワークとなると、いつも生活している部屋で仕事をしなければならないという人も多いはず。そのため、なかなか身が入らなくて集中できないかもしれませんね。そんなときは、部屋の環境を整えましょう。
みなさんは、「緑視率」という言葉を聞いたことがありますか。これは、視界に占める緑(植物)の割合のこと。2013年に豊橋技術科学大学と長崎大学が行なった研究により、「緑視率が10~15%の環境にいるときに、ストレスが減ってパフォーマンスが最も向上する」ことが明らかになりました。
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社が展開するオフィス緑化サービス「COMORE BIZ(コモレビズ)」のサービスサイトでは、管理に手間のかからない植物がいくつか紹介されています。頻繁に水をやる必要のない「サボテン」「多肉植物」、日陰に強い「アグラオネマ」、卓上に気軽に置ける「エアプランツ」などがおすすめとのこと。緑視率を上げてパフォーマンスを高めるために、部屋に植物を取り入れましょう。
また、環境心理学の専門家である辻村壮平氏によると、無音の環境よりも、「鳥のさえずり」や「人の足音」「車が走る音」など、ある程度の環境音が存在する環境のほうが、人間は集中できるとのこと。
例えば、オフィスであればキーボードの操作音や電話する時の声など、自分から発せられる音が目立ちやすくなるため、周囲への気遣いに脳の容量を使いがちになり、集中力が下がるように感じられます。しかし、空間に適度な音があれば、自分から発せられる音が環境音に紛れ込みやすくなるため、周囲に必要以上に気を遣う必要がなくなり、脳の容量をフルに使って作業に没頭できる状態になります。
(引用元:オトナンサー|波音や雨音などの“環境音”が「作業効率上がる」「雑音は必要」と人気、効果はある? ※太字は筆者が施した)
窓を開けて外の音を取り入れたり、環境音が収録されたものをBGM代わりに流したりするのも、集中力アップのためのひとつの手ですよ。
3. 休憩時間こそ脳力を高めるチャンス
ベッドに横たわって寝たり、スマートフォンのゲームに興じたり――周囲の目を気にせず、お昼休憩の時間を自由に過ごせるのもテレワークのメリットですよね。でも、午後の仕事を捗らせたいのならば、ぜひ「何もせず」「頭の中を空っぽに」してみてください。
オランダ発「ニクセン」という活動をご存じでしょうか。これは、オランダ語で「何もしない」という意味。何もしないことで、リラックスやストレス解消効果が期待できるのだそう。同時に、ひらめきを生む方法としても注目されているのだとか。オランダ人のライフスタイルに詳しい山本直子氏は、次のように述べます。
何も考えずにシャワーを浴びている最中とか、何気なくコップを洗っている時にいいアイデアがひらめいた経験のある人は多いでしょう。何もしていない時でも脳は情報を処理しているので、ぼーっとすることで脳の処理能力に余裕が生まれて、良い考えが生まれたりするらしいです。
(引用元:doda X キャリアコンパス|何もしない自分を許そう。ストレス軽減&創造性を高める新ライフハック「ニクセン」とは? ※太字は筆者が施した)
何もしないことで脳を活性化させる「呆活」(ぼうかつ)提唱者の寺井広樹氏によれば、頭の中を空っぽにするには、「人が多く行き交う大通りの風景や、海などの自然環境を見る」のがコツとのこと。家の中にいるときは、YouTube等にアップロードされている動画を観ることでも代替可能だそうです。
ひとりだからこそ実践しやすいはず。テレワークに特にマッチした休憩方法ですね。
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ご紹介した3つの方法で、ぜひあなたのテレワークをもっと捗らせてください!
(参考)
東京都医師会|そうだ、やっぱり早起き・早寝!
すやすや部|朝は目覚めたら窓から1m以内に入る
ブルーライト研究会|ブルーライトとは
日経クロステック|緑視率
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社|オフィスの緑視率を高めて業務効率アップを目指すには?
オトナンサー|波音や雨音などの“環境音”が「作業効率上がる」「雑音は必要」と人気、効果はある?
doda X キャリアコンパス|何もしない自分を許そう。ストレス軽減&創造性を高める新ライフハック「ニクセン」とは?
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。