世界のGoogleが導き出した「成果を出すチーム」5つの条件。あなたのチームはいくつ当てはまる?

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企業に勤めるビジネスパーソンの中で、一匹狼のようなポジションにいる人はそうはいないでしょう。みなさんの多くも、チームに所属して仕事をしているはずです。

ただ、複数の人間が所属するチームだからこそ、その在り方次第で大きな成果をあげられることもあれば、逆になかなか成果があがらないこともあります。どうすれば、大きな成果をあげられるチームをつくれるのでしょうか。

経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥(くわばら・てるや)さんが、チーム力向上のためにGoogleが導き出した5つの条件を紹介してくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

桑原晃弥さんインタビュー「Googleが導いた、成果を上げるチーム5つの条件」01

チームに安心感を持てなければ、チームとして機能しない

Googleに限らず、アメリカの企業は「偶然うまくいった」ということを嫌います。「結果が出るからには必ず理由がある」――そう考えて、過程を徹底的に分析し、好結果をいつでも再現できるようにする傾向が強いのです。

そういった分析の結果、成果をあげるチームに必要な条件としてGoogleが導き出したのが、「心理的安全性」「信頼性」「構造と明瞭さ」「仕事の意味」「仕事のインパクト」の5つです

桑原晃弥さんインタビュー「Googleが導いた、成果を上げるチーム5つの条件」01

まず、「心理的安全性」とはどんなものでしょうか。これは、自分の発言がチームの仲間に受け入れられる、自分がチャレンジするときには仲間が背中を押してくれる、失敗したとしても仲間がフォローしてくれるというふうに、チームに対して安心感を持っているということです。

いま挙げたこととは真逆に、自分の発言を誰かに遮られたり馬鹿にされたり、チャレンジするときに足を引っ張られたり、失敗したときに嘲笑されたりするようなチームだったら……成果をあげられないことは明白でしょう。

これは、主にリーダーの在り方に関わることでもあります。たとえば、みなさんが参加する会議で、いつも決まった人ばかりが発言しているといったことはないでしょうか。そのとき本来なら、リーダーはメンバー全員が発言できる気配りをし、かつ全員がそれぞれの発言に関心を示すようにリードしなければなりません。まして、リーダーが率先してメンバーの発言を嘲笑するようなことがあれば、その姿勢がほかのメンバーにも伝染し、チームとして機能しなくなってしまうでしょう。

桑原晃弥さんインタビュー「Googleが導いた、成果を上げるチーム5つの条件」03

メンバー同士の信頼が、小さなアイデアを大きく膨らませる

もちろん、心理的安全性を確保するために、リーダーだけではなくメンバーそれぞれができることもあります。それは、2つ目の「信頼性」とも関係することですが、お互いを尊重するということ。

「ビジネスパーソンは、時としてまわりを出し抜くことも必要だ」なんて言われますが、まわりをライバル視して、誰かがほかのメンバーのアイデアを横取りするようなことでもあれば、そのチームは健全・安全とはとうてい言えません。

一方、「チームのメンバーは誰も自分のアイデアを横取りしない」という信頼性があればどうでしょうか。ほかのメンバーを信頼して、「いま、こういうアイデアを持っているんだ」と話し、それに対してまわりが「いいね! でもこういう考え方もあるんじゃない?」というふうに、アイデアをブラッシュアップしていくこともできる

それぞれのアイデアに対して尊敬の念を持ち、建設的な意見が出るか。それが、チームが成果をあげるために大切なことであり、チームに心理的安全性と信頼性があるかどうかを見る判断基準にもなります。

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作業工程と進捗状況の共有がチームに一体感をもたらす

成果をあげられるチームに必要な3つ目の重要な条件が、「構造と明瞭さ」です。これは、目標を達成するために必要なやるべきことをいくつにも細分化して、それぞれを誰がいつまでにやるかという期日を決め、さらに進捗状況を見える化して共有するということ。

逆に、それができていないケースで考えてみましょう。もし、進捗状況の見える化ができていなかったとしたら? Aさんには1週間でやるべき作業があったのに、進行がかなり遅れていた。そのことが、ほかのメンバーには1週間経ってようやくわかる。その次の作業を担当するBさんは、そのための準備をしていたのに何もできないということになります。

でも、きちんと見える化できていたら、遅れているAさんの仕事をほかのメンバーがフォローする、Bさんも担当作業のスタートが遅れることを見越して別の作業を優先する、といったことができます。そういった、細かなことまで共有することで、チームに一体感が出てくるのです。

もちろん、そこには先に挙げた信頼性も必要でしょう。それぞれが信頼し合っているからこそ、フォローをしたりアドバイスをしたりもできるわけですからね。

桑原晃弥さんインタビュー「Googleが導いた、成果を上げるチーム5つの条件」05

自分の仕事を信じて誇りに感じなければ、いい仕事はできない

次が「仕事の意味」です。いまは派遣社員やアルバイトなど非正規雇用の従業員も増えていて、そう簡単にはできませんが……本来、チームとして成果をあげるためには、メンバーが仕事に対して抱いている「意味」が統一されているのが理想的です。「いいものを作ってお客に喜んでほしい」と考えるメンバーがいる一方で、「お金さえ稼げればいい」というメンバーがいては、チームとしてまとまることはできません。

では、どうすればメンバーそれぞれが持つ仕事の意味を統一できるのか? これは、リーダーのコミュニケーションにかかっています。朝、メンバーに「おはよう」と挨拶をするついでに、数分ちょっとした会話をする。このときに「仕事の意味とは……」なんてことを語るべきだというわけではありません。普段の会話によって話しやすい雰囲気を作ることが大切です。そうすれば、定期面談などの際にもざっくばらんに話すことができて、スムーズに仕事に対する考え方についての話もできるでしょう。

そして、最後の条件が「仕事のインパクト」で、これはいかにもGoogleらしいもの。Googleの場合は、「世界中の情報に誰もが即座にアクセスできるようにしていこう」という、仕事を通じて世界にインパクトを与える、じつに壮大な野望です。

でも、Googleのような大企業に勤めている人ならともかく、中小企業に勤める一般のビジネスマンがそんな壮大な野望を持つことに対して「恥ずかしい」とか「綺麗事だ」なんて思う人もいるかもしれません。

ただ、たとえ自分たちの仕事が小さいものに思えても、その広がりのイメージをチームのメンバーで共有するのはとても大事なことです。仮に、ある電化製品に使われるすごく小さな部品を作っていたとしても、「この部品はあの製品に組み込まれて世界に広がっていくのだ」――そんな発想を持って、自分の仕事を信じて誇りに感じられなければ、いい仕事はできないのではないでしょうか。

桑原晃弥さんインタビュー「Googleが導いた、成果を上げるチーム5つの条件」06

【桑原晃弥さん ほかのインタビュー記事はこちら】
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【プロフィール】
桑原晃弥(くわばら・てるや)
1956年生まれ、広島県出身。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で世界的に知られたカルマン株式会社の顧問となって、トヨタ式の実践現場や大野耐一直系のトヨタマンたちを幅広く取材。トヨタ式の書籍やテキスト等の制作を幅広く主導した。一方、業界を問わず幅広い取材経験もあり、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することに定評がある。『トヨタは、どう勝ち残るか』(大和書房)、『アドラーに学ぶ“人のためにがんばり過ぎない”という生き方』(WAVE出版)、『グーグルに学ぶ最強のチーム力 成果を上げ続ける5つの法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『amazonの哲学』(大和書房)、『スティーブ・ジョブズ 結果に革命を起こす神のスピード仕事術』(笠倉出版社)、『イーロン・マスクの言葉』(きずな出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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