「仕事ができて教えるのもうまい人」がやっている2つのこと。教え上手は○○がうまい

仕事ができて教えるのもうまいビジネスパーソン

「自分もできたことだから、教えれば後輩もすぐできるようになるはずと思いきや、いつまでもできるようになってくれない」
「自分でやったほうが早いと感じてしまい、部下に仕事を振れない」

経験を重ねて仕事に自信がついてきた頃、後輩や部下ができ、教える立場にシフトする人も多いでしょう。ですが、自分でやるのと人に任せるのは大違い。いくら仕事ができる人でも、上手に教えられるとは限らないものです。

この記事では、仕事はできるのに教えるのが苦手な人の問題点と、教え下手を克服する方法に焦点を当てます。教えることに苦手意識がある人は、ぜひご一読ください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格を取得。現在は国際中医師合格を目指し毎日勉強している。勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

(参考)

関根雅泰(2015),『オトナ相手の教え方』, クロスメディア・パブリッシング.
プレジデントオンライン|小学生に「テレワークが浸透しない理由」を説明してください…たとえ話がうまくなる「数学的」な話し方

「仕事ができるのに教え下手な人」の問題点

1.「自分の目線」で説明してしまう

「教えたのに、なぜできないのかわからない……」

1説明すれば10汲み取れる人がいる一方、10説明しても1すら汲み取れない人もいるでしょう。そんなとき、「相手の理解力に問題があるのでは」と考えがちですが、あなたの説明が “自分目線” になっている可能性も。

人材育成事業に取り組む株式会社ラーンウェル代表取締役の関根雅泰氏は、教え下手な人には「自分と同じレベルで相手を見てしまう」特徴があると言います。(カギカッコ内引用元:関根雅泰(2015),『オトナ相手の教え方』, クロスメディア・パブリッシング.)

筆者にも、自分目線にとらわれてうまく教えられなかった経験があります。同僚に事務作業の引き継ぎをしていたときのことです。

「このセルをコピーしたら、ここに貼り付けて作業をします」と、Excelの基本操作を知っている前提で説明をしましたが、同僚は何やら困っている様子。聞いてみると、これまでパソコンを必要としない業務を担当していた同僚は、Excelはおろか、パソコン操作自体にも不安があると答えたのです。「Excelを使ったことがあるか」「パソコン操作はどの程度できるか」など、事前に確認するべきだったと反省しました。

仕事ができるようになると、 できなかった頃の気持ちを忘れがち。「さすがにこれは知っているだろう」というあなたにとっての前提が、相手と異なっていないかを考えてみる必要がありそうです。

前提が相手と異なっていないかを考える人

2.「イメージしづらい話」をしてしまう

正確に教えようとして、説明が小難しくなってしまった経験はありませんか? 間違ったことは言っていないのに、なぜか理解してもらえない……。

このような場合、あなたの説明は相手にとって想像できない内容なのかもしれません。「なんだか難しくて、結局、何を言いたいのかわからない」と思われている可能性があるのです。

伝えたいことが伝わらないのは「内容が間違っているからではなく、相手にとってイメージが湧かない話だから」と話すのは、ビジネス数学教育家で話し方に関する著書ももつ深沢真太郎氏。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|小学生に「テレワークが浸透しない理由」を説明してください…たとえ話がうまくなる「数学的」な話し方

たとえば以下のような教え方だと、“間違っていないのに伝わらない” かもしれません。

1つめの書式は文字列を指定、2つめは数値を指定、3つめは文字列を指定してプログラムしていってください。

この説明では、相手は具体的な作業イメージをもてないでしょう。指定項目が増えていくほど、相手はますます混乱するおそれも。

ですから、正しく説明しているのに伝わらないという事態を避けるには、相手がイメージしやすいように、話し方を工夫する必要があります。

たとえば、相手が自分事としてイメージできるように伝えるのは一手。「あなたが普段インターネットでの買い物で入力しているような、個人情報入力画面をつくります。データに一貫性をもたせるため、各項目は書式を指定する必要があるので、氏名入力部分は文字列、電話番号入力部分は数値でプログラムしていってください」という具合です。伝え方次第で、相手の理解度は変わってきます。

イメージしやすいように工夫して伝える女性

教え上手になるためにやってみるといいこと1.「相手の目線」に立つ

教え上手な人になるには、教え下手な人がしているような自分目線の説明ではなく、相手の目線で説明しましょう。相手のレベルを正しく把握し、その理解度に合わせて説明するのです。

前出の関根氏によれば、「教え上手には、相手と同じ目線から物事を考えようとする姿勢が見られ」るのだそう。(カギカッコ内引用元:関根雅泰(2015),『オトナ相手の教え方』, クロスメディア・パブリッシング.)

相手のレベルを知るための方法として、関根氏は以下をすすめています。

言葉にしてもらう
文字にしてもらう
行動してもらう

(引用元:同上 ※太字は編集部にて施した)

前述した、同僚への引き継ぎの際の経験をもとに、筆者も考えてみました。

【言葉】質問をして、言葉で答えてもらう。

  • 「以前はどのような業務をしていましたか」
  • 「いつもパソコンではどんな作業をしていますか」
  • 「Excelを使ってどのような作業をしていましたか」 など

【文字】教えた業務に必要な操作を書き出してもらう。

  • コピー&ペーストの仕方
  • VLOOKUPなどの関数を使った表作成の方法 など

【行動】業務で作成する図や表に似たものを、実際につくってもらう。

  • ダミーのデータを使って表をつくる
  • 過去に別の人が作成した図とまったく同じ図をつくる など

ここで注意すべきは、具体的に質問すること。その理由は、関根氏いわく「『はい』『いいえ』で答えられるような質問をしてしまうと、相手がどの程度理解しているのか、レベルを知ることができ」ないからです。(カギカッコ内引用元:同上)

たとえば、「これを表にできますか?」という質問をしたら、相手は「はい」か「いいえ」かのどちらかで答えるしかありません。仮に相手が「はい」と答えたとしても、その答えだけで、相手が実際にどのような表をつくれるのか推し量るのは難しいもの。こちらが求めるレベルと相手ができるレベルに相違があると、必要な要素が足りていない表ができあがる可能性もあります。

そこで、以下のように具体的な質問をしてみましょう。

「これを表にする際に必要な要素を書き出してくれますか?」

これなら、表作成におけるポイントを相手がどこまで理解しているのか事前に把握できるので、より相手に合った教え方ができるはずです。

より的確に仕事を教えられるよう、相手のレベルはしっかりと確認したいですね。

相手の目線に立てるビジネスパーソンたち

教え上手になるためにやってみるといいこと2.「例え話」をうまく使う

相手にとってイメージしやすい説明をするには、あるコツを押さえると効果的。それは例え話を使うことです。

勉強の際、内容をそのまま覚えるよりも身近な例に置き換えるとイメージしやすく、理解しやすかった経験はありませんか? 仕事を教えるときも同様で、例え話は重要な鍵を握っています。

「わかりやすく伝えるには、たとえ話を使うと効果的」だと語るのは、前出の深沢氏。とはいえ、例え話であればなんでもいいわけではありません。同氏いわく、「相手がピンとくるかという視点が極めて重要」なのだそう。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|小学生に「テレワークが浸透しない理由」を説明してください…たとえ話がうまくなる「数学的」な話し方

ここで、プロジェクトの進め方を後輩に教えるという例で考えてみましょう。

たとえば、「プロジェクトは、ゴルフのスイングに似ている。うまくいかないときは、アプローチショットで修正するんだ」と教えても、後輩がゴルフに馴染みがなければピンとこないかもしれません。

もしその後輩の趣味がRPGゲームなら、「チームで協力してクエストを達成していくけれど、予期せぬ問題が起こることもある。そのときは戦略を立て直して、問題に対応するんだ」と教えてみましょう。後輩にとって、プロジェクトはメンバーで力を合わせ、同じ目標に向かって進めていくものだということが、ぐっとイメージしやすくなるはずです。

例え話を使った教え方がうまくいくかどうかは、相手にとって身近な話題で例え話ができるかどうかで決まります。教えるとき以外でも普段から相手に関心をもち、どんなことに興味があるのかを情報収集しておくとよさそうです。

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仕事ができるし、仕事を教えるのも上手――そんな上司・先輩になりたいものですよね。教えるのが苦手な人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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