「疲れが全然抜けない人」の日常習慣3つ。脳は “これ” にエネルギーを使いすぎている

疲れが全然抜けない人の3つの習慣01

「休日にゆっくり休んだのに、疲労感が消えていない……」
「いつもなぜか疲れを翌日に引きずってしまう……」

もしこのような悩みを抱えているなら、疲れがたまりやすい行動が習慣になっているのかもしれません。今回の記事では、「疲れが全然抜けない人」がしがちな3つの悪習慣を取り上げ、それぞれの改善策をご提案します。

1.「ネガティブ感情」を抱きやすい

ミスして落ち込んだり、同僚の発言にイライラしたり――誰しもネガティブになることはあるものですが、いつまでも感情を切り替えられない人は要注意。

精神科医の川野泰周氏によれば、ネガティブ感情は脳疲労の原因となるとのこと。そして、その脳疲労が、「なんだか疲れが抜けない……」という感覚につながるのだそうです。

川野氏は、ネガティブな感情が脳を疲れさせる仕組みを、次のように説明しています。

怒りや悲しみなど、ネガティブな感情を抱く
→感情をつかさどる「扁桃体」が活発に働く
→扁桃体の動きを抑えるために、理性をつかさどる「内側前頭前野」が活発に働く
→内側前頭前野は、多くのエネルギーを消費する部位なので……
→脳が疲れる

落ち込んだりイライラしたりしやすければ、そのぶんエネルギーがどんどん消費され、脳が「いつも疲れている」という状態に陥るわけです。

疲れが全然抜けない人の3つの習慣02

では、どうすれば脳の疲れを軽くすることができるのでしょう。

川野氏は、マインドフルネスを意識することをすすめています。

マインドフルネスとは、いまここで体験している目の前のことに注意を向けること。自分の心の様子や体の感覚を細かく観察し、それをあるがままに受け入れることを指すそうです。

川野氏によれば、脳科学の研究で、マインドフルネスを行なうとネガティブな感情を客観的に見ることができるようになると判明しているのこと。すると、扁桃体の活動が穏やかになって、内側前頭前野の働きすぎも抑えられ、脳疲労の軽減につながるのです。

そんなマインドフルネスの代表的な実践法として、誰でも行ないやすい呼吸法をご紹介しましょう。精神科医の久賀谷亮氏が提唱する、以下の4ステップです。

  1. 【基本姿勢】
    目を閉じ、背筋を伸ばして椅子に座る。
  2. 体の感覚
    足の裏が床に触れる感覚、お尻が椅子に触れる感覚などに注意を向ける。
  3. 呼吸の感覚
    空気が鼻を出入りする感覚、お腹が上下する感覚などに集中して、鼻呼吸をする。
  4. 【雑念から呼吸へ】
    雑念が浮かんだことに気づいたら、そっと呼吸に注意を戻す。

川野氏によると、マインドフルネスを継続すると、自己認識の力も高まっていくそう。心と体に注意を向け、「いまだいぶ疲れているな。だからそろそろ休んだほうがよさそうだ」といったことに気づけるようになるので、「疲れにくい人」になれると言います。

ネガティブ感情は社会人につきものだとはいえ、それに振り回されて疲れをためる一方とならないよう、ご紹介した呼吸法をぜひ日常的に実践してみてください。

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2.「マルチタスク」を日常的に行なっている

仕事では、書類をチェックしながら仕事のメールを書いたり、家に帰れば、SNSをチェックしながらテレビを見たり……。そんな生活も、疲れが全然抜けない原因となります。

川野氏によると、脳疲労にはネガティブ感情のほかにもうひとつ原因があるそう。それがこのマルチタスクです。複数のことを同時に行なったり、ほかのことを気にしながら作業をしたりすると、それだけ脳は多くのエネルギーを使うため、脳疲労につながるのだそう。

また、脳科学者の枝川義邦氏によると、じつは脳は、複数の作業を同時には行なえないのだとか。マルチタスク状態のときの脳は、作業A→作業B→作業A……というように、高速で切り替えながら作業を処理しているというのです。

そんなことを繰り返していると、ストレスホルモンである「コルチゾール」が増えることにもなるそう。当然、脳には負担がかかります。

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なかでも、特に脳への負担が大きいと枝川氏が言うのが、スマートフォンなどのデジタル機器を使うマルチタスク

パソコンで調べものをしながらスマートフォンでメールを送ったと思えば、スマートフォンに届くメールの返信を気にしながらパソコンで資料を作成する――このような生活では、脳内でストレスホルモンが増え続けます。「ずっと疲れている……」という状態になることが、容易に想像できますよね。

そこで、脳を特に疲れさせやすい「デジタル機器を使うマルチタスク」を減らすことを検討しましょう。

枝川氏いわく、脳疲労を改善するための基本は、脳を酷使しないこと。それには、スマートフォンの使い方を工夫することが有効だと言います。たとえば、「目的なくネットサーフィンしない」「メールの通知をオフにする」といった対策が効果的だそうです。

マルチタスクを完全になくすのは難しくても、スマートフォンを中心としたマルチタスクを優先的にやめることで、疲労の継続に歯止めをかけましょう!

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3.「座ったまま」の生活をしている

平日はデスクワークで椅子に長時間座り、休日は家から一歩も出ずに座って過ごす――こんな「座りっぱなし」の生活に、当てはまる人は多いのではないでしょうか? 座っていると体力を温存できるような気がしますが、じつは正反対。座ってばかりいるほうが、かえって疲れやすいのです。

東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏によると、座り続けると腎臓の血流量が10%ほど落ち、尿が出にくくなるそう。すると、老廃物である疲労物質が体外に排出されないため、疲労がたまるのだそうです。

また、スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクターの山田知生氏は、日中に座ったままだと疲れがとれない理由をこう説明しています――「交感神経」と「副交感神経」がうまく切り替わらないために、夜にぐっすりと眠ることができず、翌日に疲れを持ち越すことになる――。

交感神経とは、活動的なときに強く働く神経で、副交感神経とは、リラックスしているときに強く働く神経のこと。本来、日中の「交感神経優位の状態」から、夜には体が休まるよう「副交感神経優位の状態」へと、自然に切り替わるのが理想です。(「せたがや内科・神経内科クリニック」の解説を参照)

ですが、日中座ったままじっとしていると、活動量が減って交感神経があまり働かず、“オンからオフへの切り替え” がうまく行なわれなくなります。そのため、夜に体を十分に回復させられなくなるのです。

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では、座りすぎによる疲労を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。

平日のデスクワーク中は、1時間に1回席を立つだけでよいと梶本氏は言います。飲み物をとりに行ったり、窓際へ外を眺めに行ったりするので十分だとのこと。これだけでも脚の筋肉が動き、血流の上昇とともに老廃物の排出が促されるそうです。

さらに休日は、じっとして過ごすのではなく、軽く体を動かすこと。山田氏によれば、ゆっくり走るといった軽い有酸素運動を20分ほどするのが、疲労回復に効果的だそうですよ。「疲れているからゆっくり休みたい」というときこそ、外に出て軽くジョギングすれば、疲れを軽くできるでしょう。

***
ご紹介した3つの悪習慣のなかに、あなたがやっていることはありましたか? 改善すれば、あなたの疲れもきっととれるはずです。ぜひ、試してみてくださいね。

(参考)
STUDY HACKER|なぜか疲れている理由は脳にあり。“精神科医の禅僧” が説く「脳疲労」を防ぐたった1つの習慣
ダイヤモンド・オンライン|「ストレスに悩まない人生」を手に入れるために必要な「心のトレーニング」とは?
STUDY HACKER|“精神科医の禅僧” が教える「脳が疲れる2つの原因」。現代は “脳に悪いこと” が多すぎる。
ソフトバンクニュース|脳科学者に聞いた、スマホとのベストディスタンス。脳過労の症状と対策とは?
プレジデントオンライン|人間は本質的に"マルチタスク"はできない
ダイヤモンド・オンライン|最新の疲労医学で解明!なぜ「座りっぱなし」が、むしろ疲れるのか?
東洋経済オンライン|休日に動かない人ほど疲れが取れないワケ
せたがや内科・神経内科クリニック|自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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