「一流の伝え方」9個の特徴。あなたができるようになりたいのはどれ?

雑談で上手に伝えるビジネスパーソン

あいさつや雑談、報告に、会議での発言やプレゼンテーション、アドバイスやミスの指摘など……、あらゆる場面で一流の人々は、上手に物事を伝えています。彼らが何かを伝えるときに大切に守っていることは、うまく伝えられないと悩む人にも、伝える力を伸ばしたいという人にとっても、大いに参考になるはずです。

今回は、「一流の伝え方」9個の共通点を紹介しましょう。

1. 相手の「前提」を理解する

グロービス経営大学院教員の村尾佳子氏は、伝え方が上手な人が実践しているのは「相手の前提を理解すること」だと言います。自分には自分の世界があるように、相手には相手の世界があり、それらが必ずしも一致しているとは限らないからです。前提が異なると、伝わる内容にズレが生じてしまうとのこと。たとえば……

リーダーのAさんが、途中からメンバーに加わったBさんに、“売り上げの柱となる定番商品” についてアイデアを出してほしいと伝えたとします。しかし、Aさんの “売り上げの柱となる定番商品” の概念が流行に左右されないベーシックなもので、Bさんの “売り上げの柱となる定番商品” が、基本的なラインのもう一層上にある時流を加味したものだとすれば、Aさんの意向はうまく伝わりません。

だからこそ村尾氏は、伝える相手との情報格差がどれくらいあるのか、相手がその話題についてどのくらいのリテラシーをもっているのか、お互いの価値観の違いがどれほどあるのか把握しておくべきだと説明しています。そうした準備があれば、先の例のAさんも、

「“売り上げの柱となる定番商品”のアイデア出しをお願いします。ただし、その位置づけは流行に左右されないベーシックなものです。売り上げが大きな山を描く商品ではなく、安定的に高い位置にある商品と考えてください」

――といった具合に、一流の伝え方が可能となるはずです。

相手の前提を理解したうえで伝えようとしているビジネスパーソン

2.「背景」を説明する

前提(=物事の前置きとなる条件)と似た、背景(=物事の奥にひそむ事情や経緯)にも同じことが言えるようです。『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ山口拓朗氏は、特に企画や提案を伝えるとき、背景の説明を省くと誤解を招く恐れがあると注意を促しています。(少し極端ですが)わかりやすい例を挙げましょう。たとえば、

「ここ数年はテイクアウトの需要が増えたので、定番のトートバックをテイクアウト仕様に変えました」

といった説明だけでは、ただ時流に乗っただけに聞こえてしまいますが、

「ここ数年は感染症の流行でテイクアウトの需要が一気に増えましたが、たとえ感染症の流行が終息しても、この状況は大きく変わらないと考えられます。なぜならば、値上げ続きで節約する人が増えており、そのままリモート勤務を選ぶ人も増えたからです。

そうしたことから今回は、定番のトートバックをテイクアウト仕様にバージョンアップいたしました。定番商品の変更は何かと手間がかかり、コストにも響きますが、これからのライフスタイルには欠かせないものなので、ぜひご検討いただきたいです」

背景説明があれば、伝える内容に深みが増し、グッと伝わりやすくなるはずです。説得力も増すでしょう。こうして一流の人は、提案のたびに人々の心も動かしているわけです。

背景を説明しながら提案を行うビジネスパーソン

3. 結論を最初と最後に言う

前出の村尾氏によると、人は無意識に頭のなかで考えた過程をそのまま話してしまう習性があるそうです。「会議に出られなかった上司へのちょっとした報告」を例に挙げましょう。たとえば、

「昨日の会議では、最初△△に決まると思ったんですが……結局ですね、なんだかいろいろな意見が飛び交い始めまして……、えーっと、それで……」

このような報告だと、忙しい上司は目に見えてイライラし出すかもしれません。だからこそビジネスの現場では、聞き手に負荷をかけないよう、結論から告げるべきだと村尾氏。さらにその結論は、最後にも繰り返し伝えるといいそう。

「昨日の会議で、結局〇〇は◇◇に決まりました。最大の理由は~~が~~であり、~~であるからとのことです。〇〇が◇◇に決まったことは最重要事項なので、まず最初にお伝えしました」

といった具合です。まずは結論を重ねて伝え、詳細は相手の状況を伺いながら、のちのち報告するのが一流のやり方なのです。

結論を最初に述べ、再び最後に結論を述べて報告をする優秀な部下と上司

4. 結論はひとことにまとめる

また村尾氏は、伝えたいメッセージを整理しないまま話すことが、伝わりにくい典型的なパターンだとし、まずは「伝えたいことをひとことで表すと何だろう?」と自問してみるようアドバイスしています。

それから、その答えを書き出し、違和感があれば修正しながらまとめていくといいそうです。たとえば、ウェブサイト制作のキックオフミーティングにおいて、話し手が頭のなかで以下のように考えていたとします。

「静的ページはセキュリティ対策が簡単。サーバーにかかるコストも削減可。サーバーダウンも起こりにくいし、ページの表示速度も早い。でも情報をリアルタイムに反映しづらい。個々のユーザーに向け異なる情報も表示できない。今回の案件はアクセスごとに最新の情報が表示され、ユーザーひとりひとりに異なる情報を表示できる動的ページのほうがいい。

(※参考:Webmedia|静的ページと動的ページの違いとメリット・デメリット)」

そこで、「この伝えたいことを、ひとことで表すと何だろう?」と自問してみます。その答えが、

今回の案件は、扱いやすくコスト削減にもなる静的ページのメリットを考慮しても、個々のユーザに向け、最新の情報でアプローチできる、動的ページのほうがいいと思われる。

であれば、まずそれを書き出し、必要に応じて修正し、よりよくまとめていくわけです。この作業自体がいいトレーニングになるとのこと。つまり一流は、常に「ひとことで言うと?」と自問しながら、トレーニングも兼ねて要約を行なっているわけです。

「伝えたいことをひとことで表すと何だろう?」と自問しているビジネスパーソン

5. 会話の主題を相手にする

株式会社モチベーション&コミュニケーション 代表取締役の桐生稔氏によると、一流は会話を膨らませるのがうまいそうです。それは、相手が思わずしゃべり出したくなるように仕掛けているからと言えるでしょう。たとえば会話が下手な人の場合、

「今日は寒いですね。外に出て、あまりにも寒くてビックリしましたよ」

と、会話の主題を自分自身にもってきがちなのだそう。すると相手も「ほんとですよねー」と相づちをうつしかありません。しかし一流の人は、人間が最も意識して話したいのは「自分のこと」だと理解しているので、

「今日はずいぶん寒いですね。〇〇さんは寒さに強いほうですか?」

といった具合に、会話の主題を相手にすることを忘れないそうです。

6. 質問形式にする

さらに桐生氏は、前項で示した例(今日はずいぶん寒いですね。〇〇さんは寒さに強いほうですか?)のように、質問形式で締めくくることも重要だと伝えています。一流は、「質問されたら人は答える」といったシンプルな法則を徹底しているのだとか。

アップル共同創業者のひとりスティーブ・ジョブズ氏や、グーグル元会長兼CEOのエリック・シュミット氏など、そうそうたるメンバーの共通の師といわれるビル・キャンベル氏――間違いなく一流のこの人も、コーチングの際には必ず「調子はどう? いま何に取り組んでいるんだい?」という質問から始めたそうです。これを参考に、

「おはようございます。昨日はありがとうございました。お先に失礼してしまい申し訳ございません。みなさん、あのあとどうされたんですか?」

といった具合に、あいさつからさりげなく会話を広げてみては?

朝、上司らにあいさつしたあと、質問テクニックでさりげなく会話を広げているビジネスパーソン

7. アイメッセージで伝える

Gordon Training International (GTI)社の創設者で、臨床心理学者のトーマス・ゴードン氏は、対人関係の問題を解決へと導くスキルとして「ゴードン・モデル」を提唱しました。そのなかのひとつが、「私」を主語にしたアイメッセージという伝え方です。

その対極にあたる、「あなた」を主語にしたユーメッセージの場合だと、

「(あなたは)なぜ連絡を忘れたの?」

となりますが、アイメッセージだと、

「(わたしは)連絡をもらえず、とても心配した」

となります。もちろん一流は相手との関係性を損ねるような方法は選ばないので、相手を尊重しながらよりソフトに自分の気持ちを伝えられる、アイメッセージを用いているわけです。

8. 自分の感情を付け加える

前出のGTI社とのライセンス契約によるビジネス・プログラムを、日本国内で提供するセカンド・ウィンド株式会社によると、アイメッセージは以下3つの要素で相手に伝えるそうです。

  1. 非難せず、ただ相手の「行動」を描写
  2. その相手の行動によって、私に及んだ「影響」
  3. その影響によって生じた「私の気持ち」

これらは前項で示した例(私は連絡をもらえず、とても心配していた)にも反映されていますが、もしも “今後はこうしてほしい” というお願いがあるならば、

「(私は)連絡をもらえず、とても心配した。これからは連絡をもらえると嬉しい

といった具合に、“相手の行動が変更された場合に生じる自分の感情” も付け加えると、よりよく伝わり、相手の行動変容にもつながるはずです。

ちなみに、公認心理師・精神保健福祉士の川島達史氏はアイメッセージについて、自分の感情を伝え、そのあとの判断は相手に任せることだと説明しています。逆に、ユーメッセージは「相手の行動を制限しようとするので強い口調になりがち」なのだそう。仮に上の例をユーメッセージに置き換えみると、

「(あなたは)なぜ連絡を忘れたの? おかげでものすごく不安だった。これからは必ず連絡してね」

になってしまいます。だから一流は、「アイメッセージ+自分の感情」という組み合わせを大事にしているのです。

9. 声に抑揚をつける

現役アナウンサー40名が在籍し、企業向けオンラインコミュニケーション研修を行なうKEE’Sによると、話す際に抑揚(イントネーション)をうまく使うことで、表現力が高まり、より印象づけられるそうです。 逆に抑揚のない話し方だと、話の内容が相手の耳に残らないだけでなく、印象も悪くなるのだとか。

その抑揚には、以下2つの決まりごとがあるといいます。

  • 文頭では高く、文末では低い音域で話す
  • 重要なキーワードは、少し高い音域にアクセントをおく

ポイントは、山の頂上(文頭)からふもと(文末)までの山道を下りるように、高いところから低いところに下る感覚をイメージすること。また、大事なキーワードは少し高めに発音し、際立たせるといいそうです。

最初は難しくても、歌手がレッスンを重ねて自分の音域を広げていくように、繰り返しトレーニングをすることで、徐々に表現の幅も広がっていくとのこと。一流の人の言葉がしっかりと伝わるのは、自己鍛錬によって、声に抑揚がついていたからなのですね。

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「一流の伝え方」9個の共通点を紹介しました。9番め以外は話すときだけでなく、書く際にも参考にしてみてください。

(参考)
PRESIDENT Online|「天気の雑談」で一流が必ず付け加えるシンプルなひと言 「今日は暑いですね」にどう返すか
ダイレクトコミュニケーション|アイメッセージとは?意味と使い方,ユーメッセージとの違い
グロービスキャリアノート|伝え方が上手な人が実践している6つのコツ
Webmedia|静的ページと動的ページの違いとメリット・デメリット
日本実業出版社|誤解をまねく文章は「前提の共有」をしていない!
KEE'S|抑揚をつけた話し方~話し方に与える4つの効果とは
セカンド・ウィンド株式会社|ゴードン・モデルとは

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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