「やりたいこと」がわからないなら「やりたくないこと」をやめてみて。行動を起こすための “余白” をつくろう

「してあげたいこと」と「やりたくないこと」を書いてみたもの

「自分が好きなことに意欲を燃やしたい。そして、自分らしく生きたい」

――道に迷いながらそう願うとき、人は “自分がやりたいこと” を模索し始めるかもしれません。しかし、そこから始めるのは意外と難しいそうです。最初に行なうべきなのは「自分がやりたくないこと」を自覚し、それを「やめること」なのだとか。識者の言葉をもとに説明します。

「考える起点がわからない」と難しい

たとえば映画好きな人に「どんな映画をつくりたいか?」と尋ねた場合、何かしらの答えが返ってくるでしょう。しかし、ほとんど映画を観ない人は、“どう答えていいかわからない” のではないでしょうか。

あるいは文章を書く仕事の人に「何を書きたいか?」と聞けば、やはりそれなりに返答できそうですが、執筆経験がほとんどない人に「何を書きたいか?」と聞いても、その人は答えようがありません。

こうした例が示す状況を、一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事の有山徹氏は「やりたいことが見つからない原因」としてこう伝えています。

やりたいことが見つからない原因は、考える起点がわからないことに尽きます。漠然と「やりたいこと」を聞かれても、なかなか答えられなくて当然です。

ちなみに「考える起点とは、これまでの経験や体験、知識、情報」とのこと(同記事より)。

(引用元:サライ.jp|「自分のやりたいこと」がわからない理由【新しいキャリアの見つけ方】5) 

自分は何がやりたいのかわからないビジネスパーソン

「余白がない」と始められない

また、ミドルシニア世代へのキャリア支援などを行なう株式会社HIKIDASHIの代表取締役であり、「スナックひきだし(さまざまな領域の人どうしが気軽につながる場を提供している)」のママでもある木下紫乃氏はこう言います。

今の世の中って若い人から年寄りまで「やりたいことを見つけて、やろう」って、言われるじゃないですか。でも、やりたいことを始める前に、やりたくないことをやめて余白を作らないと始められないと思うんですよ。だから、やりたいことをやる前に、やらなきゃいけないのは、やめること。

(引用元:日経xwoman|昼スナックママ やりたくないことをやめる3つのスキル

息を十分に吐き出し、新しい空気が入り込む余地をつくらないと、深く息を吸い込めないように、“自分のやりたいこと” を始めるにも、“行動を起こすゆとり” がまったくない状態では、身動きがとれないわけです。

まったく余白がないがために、やりたいことを始められないビジネスパーソン

では、具体的に何から始めたらいいのか、識者にヒントを与えてもらいましょう。

「してあげたいこと」と「やりたくないこと」

前出の有山氏によると、自分がやりたいことを決めるのが苦手な人は、「何かをしてあげる対象を決めると、やりたいことのイメージが湧きやすい」そうです。また、「不満というのは新しい価値を生み出すパワーになる」とのこと(カッコ内いずれも「サライ.jp」より)。

そうしたことをふまえ、やりたいことが明確になっていないときは、次の2点を自問するといいそうです。

1.誰に、何をしてあげたいか?(どうなってほしいか?)
2.やりたくないことは何か?

(引用元:サライ.jp|「自分のやりたいこと」がわからない理由【新しいキャリアの見つけ方】5) 

有山氏が挙げた例を参考にすると、たとえば1なら「農家を応援したい」でも「子どもたちが笑顔になる場所をつくりたい」でも「上司(あるいはクライアント)の役に立ちたい」でもいいわけです。

2であれば、「パソコン仕事はやりたくない」でも「営業したくない」でも「生産者だけが大変なビジネスはやりたくない」でも何でもいいわけです。

有山氏いわく(1と2の自問に対する答えについて)「観念的なことでもいいでしょう。まずはそうして考える起点を作ることから始めてみます」とのこと(カッコ内「サライ.jp」より)。

頭だけで考えるのは限度があるので、紙に書き出すのもいいかもしれません。下の画像は筆者が実際に書いたものですが、結果が示されたというより、書いていくうちに、なんとなく方向性が絞られていく印象を覚えました。

「してあげたいこと」と「やりたくないこと」を書いてみたもの

ちなみに、シリーズ21万部突破のベストセラー『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』の著者である、精神科医のTomy氏いわく、

どんな人にとっても、1日は24時間。

そこから睡眠や仕事、お風呂に歯磨き、家事や掃除といった時間を差し引くと、自由になる時間はたかだか知れています。

だから、本質的には時間をどう使うかによって、自分の人生が変わります。

とのこと。つまり、私たちが自由に使える時間はごくわずかしかないのです。

たとえば、誰かが言った “気乗りしない” やるべきことや、身につけるべきこと、学ぶべきこと、あるいは自分にとって疑問だらけの仕事(職業)など――その貴重な時間で「やりたくないこと」を、不快に思いながら無理やり続けているとしたら、それはあまりにも “もったいないこと” です。Tomy氏はこうも説いています。

先にやりたくないことをやめてあげれば、やりたいことがその時間を埋めてくれるようになるというわけです。

逆に、やりたいことを減らしてしまうと、空いた時間にやりたくないことが、どんどん入り込んできてしまいます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「やりたくないこと」をやめる勇気

全部は難しいかもしれません。だから、まずは何かひとつ小さなことでも、「やりたくないこと」を思いきってやめてみてはいかがでしょう。そうしてできた余白に「やりたいこと」が入り込めば、自然と意欲が湧き上がり、知らず知らずのうちに個性も育まれるはずです。

***
いきなり「やりたいこと」から始めようとするより、まずは「やりたくないこと」をやめてみるほうがスムーズにいく理由と、ちょっとしたヒントを紹介しました。よろしければ参考にしてみてくださいね。

(参考)
サライ.jp|「自分のやりたいこと」がわからない理由【新しいキャリアの見つけ方】5
日経xwoman|昼スナックママ やりたくないことをやめる3つのスキル
ダイヤモンド・オンライン|「やりたくないこと」をやめる勇気

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