記憶力日本一の男が「手書き」にこだわる理由。脳も鍛えられる最強メモ術があった!

記憶力日本一・池田義博さんが手書きにこだわる理由01

「暗記するには、五感を使え」――。受験生時代に誰もが聞いたことのある言葉でしょう。その手法のうちの定番といえば、なにより「手書き」ではないでしょうか。

じつは、6度の記憶力日本一に輝いた記憶のスペシャリストである池田義博(いけだ・よしひろ)さんも、手書きにこだわるひとり。その理由と併せて、ビジネスパーソンが日常の仕事に使える「メモ術」を教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)

記憶力日本一の男が「手書き」にこだわる理由

私は、記憶力を高めるという点で「手書き」にこだわっています。なぜかというと、大前提として「手書きが脳にいい」からです。

脳の一番外側にある大脳皮質は、体全体のあらゆる部分を常にモニターしています。でも、体のすべての部分を均等にモニターしているわけではありません。モニターしている部分によって、脳が割いている範囲の広さが違います。そして、体の中で脳が格段に広い範囲を割いてモニターしているものこそ、手と指なのです。つまり、逆に言えば、手と指を使えば、それだけ脳を強く刺激できるというわけです。

そのため、手と指をどれだけ使うのかということが、記憶の強弱にも関わります。その証拠を示しているのが、アメリカのある大学で行なわれた研究です。

その研究では、学生をふたつのグループにわけ、ひとつのグループには授業の内容を手書きでメモさせました。そして、もうひとつのグループにはキーボード入力でメモさせた。すると、授業の理解度も記憶の定着率も、手書きのグループのほうが高かったのです。

それは、当然といえば当然です。効率よく記憶するには、覚えるべき情報を、脳が理解しやすかったり覚えやすかったりするかたちに能動的に加工する「精緻化リハーサル」と呼ばれる手法が有効です(『“記憶が苦手” はただの思い込み。記憶力日本一の男は無理せず「脳にまかせている」』参照)。手書きは、それこそ能動的に情報を加工するという行為にほかならないのですから。

記憶力日本一・池田義博さんが手書きにこだわる理由02

絶対に忘れないためには、なるべく早くメモを見返す

では、ここからは、ビジネスパーソンがよく抱く願望を叶えるためのメモ術を解説してみましょう。

まずは、「これは絶対に忘れたくない」というケース。このことに関しては、厳密にはメモ術とは言えないかもしれませんが、絶対に忘れないための方法は「なるべく早くメモを見返す」ということになります。

というのも、脳はそもそも、すぐに物事を忘れるようにできているからです(『“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。』参照)。メモというのは、往々にして時間がない状況で限られた情報だけを書きとめるものでしょう。情報量が少ないため、時間が経ってしまうと、あとから見返してもなんのことかわからない……という経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。

ですから、とにかくなるべく早くメモを見返す。そうすれば、メモした内容の周囲の情報についても思い出せるはず。そうすれば、脳がそれらの付随情報も含めて保管してくれるということになるのです。

記憶力日本一・池田義博さんが手書きにこだわる理由03

仕事の効率と集中力を上げる「アイビー・リー・メソッド」

それから、「もっと仕事の効率を上げたい」「集中力を上げたい」というのも、ビジネスパーソンがよく抱く願望でしょう。これらには共通のメモ術が効果的です。それは、戦前のアメリカ人コンサルタントであるアイビー・リーが提唱した「アイビー・リー・メソッドというもの。

仕事の効率や集中力が上がらない要因はさまざまでしょうけれど、タスクの優先順位を決められていないからというのが多いのではないでしょうか。優先順位が決まっていないから、何か別の新たなタスクができたらそっちに気を取られる。そうして、仕事の効率や集中力が低下するのです。であるなら、タスクの優先順位を決めてやればいい。

アイビー・リー・メソッドでは、翌日にやるタスクをその前日に6つ書き出し、それぞれの優先順位を決めます。それらをToDoリストとして、手帳や付箋アプリなど、みなさんが使いやすい方法でメモしましょう。そして、必ず優先順位が高いタスクから始めて、それが終わらない限り次のタスクには取りかからないというルールを守る。もし、その日のうちに終えられなかったタスクがあれば、その残りのタスクと新たなタスクを交ぜて、またその翌日にやるべきタスクの優先順位を決めるという要領です。

このメソッドの何がいいかというと、「意志力」が削がれない点です。意志力とは、「ウィルパワー」とも呼ばれますが、自分をコントロールして何かを成し遂げる力のこと。この力が、効率的に集中して仕事を進めるために重要であることは言うまでもないでしょう。

でもじつは、何かを判断したり選択したりする際にも意志力は使われます。つまり、朝一番に「今日はどの仕事からしようか」と考えたり、あるいは何か急なタスクができて「どっちを優先しよう」と考えたりするたびに、意志力が削がれていくのです。

それを防ぐため、前日のうちに、やるべきタスクとその優先順位を決めておき、翌日になって仕事が始まったら、その瞬間からやるべきことに集中する。そうすれば、タスクをこなすことに意志力をすべて投入できるというわけです。

記憶力日本一・池田義博さんが手書きにこだわる理由04

「未来の記憶」の強化が、目標達成へと導いてくれる

最後に、「この目標は絶対に達成したい」という願望を叶えるメモ術をお伝えしましょう。その方法とは、ちょっと格好いい表現になりますが、「未来の記憶を強化する」ということになります。

具体的な達成したい目標がある――それは、その目標を達成したあとの未来の自分をイメージできるということですよね? そして、イメージできるということは、記憶できるということでもあります。そのイメージの記憶を、それこそ先述の精緻化リハーサルの手法を使ったり、わたしが提唱する「3サイクル反復速習法」や「1分間ライティング」の手法(『“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。』参照)を使ったりして強化するのです。

すると、何が起きるか。その未来の自分のイメージとは、目標を達成したあとの自分ですから、そのイメージを思い描くだけでワクワクしてくるはずです。これが、いまの自分を動かす原動力になり、目標達成へと引っ張ってくれるのです。

記憶力日本一・池田義博さんが手書きにこだわる理由05

【池田義博さん ほかのインタビュー記事はこちら】
“記憶が苦手” はただの思い込み。記憶力日本一の男は無理せず「脳にまかせている」
“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。

見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル

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【プロフィール】
池田義博(いけだ・よしひろ)
大学卒業後、エンジニアを経て塾を経営。教材のアイデアを探していたときに出会った記憶術により「記憶」という能力に興味を持ち、日本記憶力選手権大会への出場を決意。約10カ月のトレーニングの末、初出場した2013年大会で優勝し、記憶力日本一となる。その後、2019年まで出場した大会では6連覇。また、2013年にロンドンで開催された世界記憶力選手権において日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得。現在は、記憶力も含め世の多くの人たちの「脳力」開発に貢献することをミッションとして多方面で活動中。アクティブ・ブレイン協会テクニカルディレクター/ライフキネティックジャパン・アンバサダー。著書に『記憶力日本一を5度獲った私の奇跡のメモ術』(幻冬舎)、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』(ダイヤモンド社)、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』(ダイヤモンド社)、『記憶力日本一が教える “ライバルに勝つ”記憶術』(世界文化社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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