いざ仕事や勉強に集中したいのに、なかなかエンジンがかからない……。いつも緊張が解けないまま試験や発表などの本番に臨んでしまい、思うようなパフォーマンスを発揮できない……。このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

「気持ちの切り替えが大事」とはよく言われますが、それが簡単にできたら誰も苦労しないはず。上手な切り替えを行なうには、実はちょっとした “きっかけ” を作ってあげる必要があるのです。

そこで今回は、NLP(神経言語プログラミング)でも使用されている「アンカリング」というテクニックについてのお話です。

アンカリングとは?

そもそもアンカリングとはどういったものなのでしょうか。日本NLP協会が監修するNLP学び方ガイドでは以下のように説明されています。

アンカリングとは、五感からの情報をきっかけに、特定の感情や反応が引き出されるプロセスを作り出すことです。

(引用元:NLP学び方ガイド|アンカリング

たとえば、昔に流行していた音楽を街でふと耳にしたときに、それを聴いていた当時の情景や記憶が思い起こされた経験のある方はいないでしょうか。あるいは梅干の写真を見たときに、口の中に自然と唾液が溜まってきはしないでしょうか。

これらはどちらも「条件づけ」と呼ばれています。過去の繰り返しの体験を通して、耳や舌などの五感で感じる “刺激” と、記憶や食欲といった “反応” が結びついたことにより、もともとは両者の間に関連性がなかったにもかかわらず、「ある刺激が起こると、それに結びついた反応が自然に引き出される」という状態になっているのです。

このメカニズムをセルフコントロールに活かすのが、今回ご紹介する「アンカリング」という手法。つまり、ある動作(=刺激)と自分が引き出したい気持ち(=反応)をあらかじめリンクさせておくことによって、「〇〇をしたら集中力が上がる」「△△をしたら緊張がほぐれる」といった条件づけを自らの中に意図的に作り出してあげるのです。

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アンカリングを作る手順

それではここからは、実際にアンカリングを作っていく手順をご紹介します。なお以下の手順は、誰にも邪魔されない場所と時間を確保したうえで、リラックスした状態で行なうようにしましょう。

1. アンカリングの動作を決める
まずはアンカリングを引き起こす “トリガー” となる動作を決める必要があります。五感を刺激し、いつでも簡単に再現できるシンプルなものを選ぶようにしましょう。またこのとき、これがアンカリングのための “トリガー” だと自分ではっきりと区別がつくように、日常では滅多に行なわないユニークなものにするのも大切です。例としては「左手の親指の先と中指の先を合わせる」「指パッチンをする」「両手をぐっと握る」「決まったフレーズをつぶやく」などがありますよ。

2. 引き出したい気持ちを決める
次に、アンカリングで引き出したい気持ちを明確にしましょう。「極度に集中した状態」「緊張がほぐれてリラックスした状態」あるいは「自信に満ちあふれた状態」など様々ありますね。アンカリングをどのような場面で役立てたいかを考えるとよいでしょう。

3. その気持ちをリアルにイメージする
引き出したい気持ちが決まったら、それを頭の中でリアルにイメージします。たとえば「極度に集中した状態」を引き出したいのだとしたら、過去に最も集中できていた場面を思い浮かべてみましょう。景色や光の具合、聞こえてくる音、気温、あるいは匂いに至るまで、そのときの自分を取り巻いていたあらゆる要素をリアルに思い出します。過去の体験に体全体で浸ってしまうことが重要です。

4. 動作を起こす
その気持ちを充分にイメージすることができたと感じたら、1で決めた動作を起こしましょう。ここで動作と気持ちが関連づけられます。3の「気持ちのイメージ」と4の「動作を起こす」を何回か繰り返すことで、動作と気持ちのリンクはより強固なものになっていきます。

5. アンカリングが作られているか確認する
最後にアンカリングがしっかりと作られているかどうかを確認してみましょう。その動作を起こしたときに、引き出したい気持ちがうまく湧き起こってきたでしょうか。もしそうでないようでしたら、3以降の手順をさらに繰り返してみましょう。瞬時にその気持ちが引き出されるようになったら、アンカリングの完成です。

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「アンカリング」で最高な状態を作り出せる

このアンカリングを活用することで、いつでも意図的に自分が望む精神状態を再現できるようになります。世界のトップアスリートたちが行なっている「ルーティン」も、このアンカリングの一種と言われています。

例えばメジャーリーグのイチロー選手の、打つ直前にバットを前に突き出すポーズ。サッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手の、フリーキックを蹴る直前の仁王立ちの構え。フィギュアスケートの羽生結弦選手の、演技の前の十字を切るような仕草。これらも全てアンカリングの一種です。最高のパフォーマンスができるように、一定の決まった動作を自分自身に課すことで、自らを条件づけしているのです。

ビジネスの世界でも、ここぞという場面はありますよね。大事な商談や、大勢の人の前でのプレゼンテーションや、あるいは絶対に気の抜けない資料作成など。そのようなときに自分にとって望ましい精神状態を引き出せるように、あらかじめアンカリングを作っておくのはいかがでしょうか。

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上手にセルフコントロールをして最高のパフォーマンスを引き出す、この「アンカリング」という方法。皆さんもぜひ試してみてください。

(参考)
NLP学び方ガイド|アンカリング
cotree|自分が切り替わる「スイッチ」をつくる??条件づけとアンカリング
ITmedia エンタープライズ|たった3秒で“最高の自分”に――イチローもやっている「アンカリング」テクニックhttp://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1204/11/news048.html
VisionaryMind|アンカリングとは-NLPで最も使える効果的なツール
NLP-JAPAN ラーニング・センター|NLP用語集:アンカリング(アンカー)
Asagei plus|羽生結弦、五郎丸、イチロー、内村航平…ルーティンワークはアスリートの命