社員のコミュ力が上がる「成功するコミュニケーション研修」実施のポイント。○○もやっぱり大事!

話し方の研修をしているビジネスパーソンたち

企業の研修担当者のみなさんは、スキルアップやビジネスマナーなどさまざまなテーマで研修を実施し、社員を育成していますよね。コミュニケーション研修に力を入れている担当者も多いと思いますが、研修で扱うべき重要なポイントを把握できている方は少ないかもしれません。

じつはコミュニケーション研修は、スキルにアプローチするのか、マインドにアプローチするかで、内容に大きな違いがあります。このことを知っていないと、せっかくの研修の効果が出にくい可能性も。

本記事では、コミュニケーション研修を導入する際に押さえておきたい大切なポイントについて、解説します。

 

【この記事はこんな方におすすめ】

  • コミュニケーション研修の効果を感じられていない担当者
  • テクニック中心のコミュニケーション研修を実施している担当者
  • 今後、コミュニケーションについての研修を取り入れたいと考えている担当者

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

(参考)

千葉佳織(2024),『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』, プレジデント社.
中日新聞Web|大谷翔平「あこがれるのは、やめましょう」決勝戦の声出し【侍ジャパンWBC決勝】
小林音子(2024),『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』, SBクリエイティブ.
鈴木祐(2024),『最強のコミュ力のつくりかた』, 扶桑社.

「スキル」と「マインド」にアプローチ

コミュニケーション研修で扱われることが多いのは、以下のスキルとマインドです。

  • スキル:話す内容や構成、発声や動作
  • マインド:心のもち方や考え方。たとえば、傾聴・共感の姿勢をとることなど

企業がコミュニケーション研修を導入する際は、社員にどのような能力を身につけさせたいかによって、このふたつのどちらに比重を置くかを決めましょう。そのうえで、どの研修業者のどのプログラムを選定するかを考えます。

自社の社員に特に必要な要素を、コミュニケーション研修の導入前に明確にすることが大切です。

コミュニケーションの「スキル」はふたつに分解できる

スピーチトレーナーの千葉佳織氏によると、コミュニケーションスキルは、言葉、および、音声・動作の2軸に分解できるそうです。

  • 言葉:言語化、構成、ストーリー、ファクト、レトリック
  • 音声・動作:発声、沈黙、身体表現

千葉氏によると、この2軸にアプローチして理解・実践していくことが、本当の意味でコミュニケーションスキルの向上につながるそう。(参考:千葉佳織(2024),『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』, プレジデント社.よりまとめた)

それでは、この2軸のなかで具体的に何に気をつける必要があるのでしょうか。

研修を聞く従業員

言葉:コアメッセージを考える

言葉の軸では、誰に何を伝えたいかを明確にしたあと、それをコアメッセージに落とし込むことが重要だと、千葉氏は言います。コアメッセージとは、「つまりあなたは何が言いたいの?」を研ぎ澄ませていくことです。

同著のなかでは、2023年のWBCで、アメリカとの決勝戦前に大谷翔平選手がチームメイトに言った言葉が紹介されています。

僕から1個だけ。あこがれるのは、やめましょう。

(引用元:中日新聞Web|大谷翔平「あこがれるのは、やめましょう」決勝戦の声出し【侍ジャパンWBC決勝】

WBC決勝戦で戦う相手は、メジャーリーグで活躍している人たち。日本チームの選手にとっては尊敬の対象ですが、試合ではそういった相手に打ち勝たないといけません。その意図が「あこがれるのはやめましょう」というコアメッセージに集約されていす。

コミュニケーションをとるときは、簡潔で印象に残るメッセージを活用するのが効果的です。

会話をする人たち

音声・動作:自分の思う3倍やっていい

また千葉氏によると、音声・動作の軸では、「自分の認識」と「他者からの印象」のあいだのギャップに注意するといいそうです。

たとえば、ジェスチャーをもっと取り入れたほうがいいというアドバイスを聞き、その通りにやってみても、録画してみると自分が思っていたより小さなジェスチャーになっているというようなことはよくあるのだとか。

「自分の認識」と「他者からの印象」のギャップを埋めるためには、自分で思っているよりも3倍ほどオーバーに表現してみるといいと、千葉氏は言います。録画や録音を普段から上手に取り入れていくのもいいでしょう。

コミュニケーションにおける「マインド」で大切なこと

コミュニケーションにおいて、スキルと並んで大切なのがマインドです。ついテクニカルな部分に注目してしまいがちですが、心のもち方もスムーズなコミュニケーションには欠かせません。

コミュニケーションコーチの小林音子氏は、コミュニケーションを改善するには、まず自己中心のマインドから相手中心のマインドへ変えることが重要だと述べます。(以下本項内、小林音子(2024),『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』, SBクリエイティブ. よりまとめた)

そこでポイントとなるのが承認欲求のコントロールです。

承認欲求とは、他人から認められたい、評価されたいという心理的な欲求のことで、誰しももっているもの。意識していないとつい自分の承認欲求を満たす話し方をしてしまいますが、人と話すときは自分ではなく相手の承認欲求にフォーカスするのが大切なのだそう。

小林氏によれば、承認欲求をコントロールできない “自己中心のマインドの人” がやりがちなことは、以下のとおり。

  • 自分の話ばかりをする
  • 相手を都合よく動かそうとする
  • よかれと思ってアドバイスをする
  • 話題を横取りする

みなさんのまわりにも、上記に当てはまる人がいるかもしれませんね。たとえば、よかれと思ってアドバイスをしているけれど、いつの間にか自分が優位に立つためのアドバイスをしてしまっている――というような人です。

会話をする男性

反対に、“相手中心のマインドの人” には以下のような特徴があるそうです。

  • 相手の話を聞こうとする
  • 相手のことを考えて行動する
  • むやみにアドバイスしない
  • 相手の話題を受け入れて話を促す

このように相手を優先したコミュニケーションをとれば、「私はあなたの話を聞いています」という気持ちを伝えることができます。こんな人が相手だと、話していて気持ちがいいと感じますよね。

スムーズなコミュニケーションを実現するには、自己中心のマインドから相手中心のマインドへ変えることが大切――このことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

コミュニケーションでは「人としての魅力」も大事

最後にお伝えしたいのが、研修を実施しさえすれば社員のコミュニケーション力が上がる、とは言いきれないということ。

そもそもコミュニケーションを効果的に行なうには “人としての魅力” が大切であると、近年の研究で明らかになってきているのです。

多くの論文を読みそれを読者にわかりやすく提示しているサイエンスジャーナリストの鈴木祐氏は、コミュニケーションにおいてテクニックよりも大切なのは、人としての魅力であると指摘しています。たしかに、嫌な印象の人と気持ちいいコミュニケーションをとることはできませんよね。

では、どのような人が魅力のない人だと思われるのでしょうか? 魅力の査定ポイントをさまざまな研究から総合すると、ほぼすべての人が下記の3つを評価軸としてもっているそうです。

  • 嘘が多い:コミュニケーションに一貫性がない。周囲から「嘘が多い」とみなされている
  • 感情が幼い:感情のコントロールに難があり、心の余裕、精神の安定、メンタルの強靭さなどが足りない
  • 性格が悪い:優しさ、親切さ、共感力が少ない

「こんなの当然じゃないか」と拍子抜けした方もいるかもしれませんね。しかし、マサチューセッツ大学の調査によると60%の人が10分間で2〜3個の嘘をつくそう。人にはこういった性質があるからこそ、コミュニケーションを通して他人の信頼度や好感度を査定する能力を進化させてきたと、鈴木氏は言います。そして人は、上記の査定ポイントをもとに、ほんの数秒で人の魅力を本能的に判断するのだとか。

(参考:鈴木祐(2024),『最強のコミュ力のつくりかた』, 扶桑社.よりまとめた)

「嘘が多い」「感情が幼い」「性格が悪い」人は、ほんの数秒で相手のアラートを鳴らしてしまうので、付け焼き刃でコミュニケーションのテクニックを磨いても、よいコミュニケーションができるようになるとは限りません。

逆に、コミュニケーション能力を向上させやすいのは、上記の要素を反転させた人――つまり、「正直」「感情が成熟している」「性格がよい」人だと言えます。

コミュニケーション研修を受講する社員には、「テクニックさえ学べばいいというわけではない。人間としての魅力を磨くことも大切だ」ということを丁寧に伝え、理解してもらいましょう。

「今後重要な役職に就くことが見込まれるので、社員を導くコミュニケーションができるようになってほしい」と感じる社員にコミュニケーション研修を受けさせる場合はなおさら、このことが大事になってくるはずです。

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この記事では、コミュニケーション研修を成功させるための重要ポイントについて解説しました。「コミュニケーション研修を行なっても、社員のコミュニケーション力の向上を感じられない……」とお悩みの方は、ぜひ一度研修の内容を見直してみてください。

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