みなさんの会社では、社員の英語力を把握しているでしょうか。社内で実施したTOEICのスコアは把握しているが、英会話がどれくらいできるかの定量的なデータまでは把握していない――そんな企業は少なくないかもしれません。
一般的にTOEICといえば「TOEIC Listening & Reading Test」を指し、英語を「聞く・読む」スキルが測れます。もちろん、英語を聞いたり読んだりするのも重要なスキルですが、「話す」スキルも測れたらいいなと思いませんか?
本日の記事では、英語を「聞く・話す」スキルを約20分という短い時間で測定できるVersant(ヴァーサント)という試験について解説します。
社員の英語スキルを把握するために、近年さまざまな企業で導入が進んでいるVersantの実施を検討してみてはいかがでしょうか。
【この記事はこんな方におすすめ】
- 英語研修を導入していて、従業員の英会話スキルを測りたい担当者の方
- 海外事業の担当社員を選抜するにあたり、従業員のスピーキングスキルを手軽に測定したい方
- ご自身の「聞く・話す」スキルを測りたい方
- TOEICにプラスして英語力を測る手段をお探しの方
- これから英語研修を導入する方
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
Pearson|Versant by Pearson
Versant
日経ビジネススクール|なぜ、TOEICだけでなくVERSANTも受験するのか?
Versantとは?
Versantは、イギリスのピアソン社が開発しているテストです。スピーキング・リスニングの2技能を測定するテストと、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能を測定するテストが提供されています。オンラインでどこからでも受験することができ、試験終了後5分程度でAIが正確な採点を行なってくれます。
Versant Speaking & Listening Test
Versantと呼ばれるテストでは、Speaking & Listening Testを指すのが一般的で、Versantのなかで最も受験者数が多いものです。
テストは、PartAからPartFまであり、
- A:質問
- B:復唱
- C:会話に関する質問
- D:文章に関する質問
- E:ストーリーテリング
- F:自由回答
の全40問。ネイティブによる自然なスピードで流れる質問を聞き、口頭で回答する形式です。時間は約20分間で、パソコンやスマートフォンから手軽に受験できます。
スコアは、言語能力を評価するためのヨーロッパの共通基準であるCEFR(セファール:Common European Framework of Reference for Languages)に完全準拠したGSE(Global Scale of English)という英語力の指標に基づき、10ポイントから90ポイントの1ポイント刻みで評価されます。
ちなみに、日本人の平均スコアは40ポイント、CEFRで言うとA2レベルです。
評価は、大きく以下の3つのサブスコアに分かれており、それぞれの項目でもスコアが出るようになっています。
- スピーキング(流暢さ、発音、話の分かりやすさ)
- リスニング(正確性)
- 話法能力(話し方)
受験料は1回6,600円(税込)ですが、2024年9月末までは特別価格の5,500円(税込)で提供されていますよ。
Versant Writing Test
Versant Writing Testは、パソコンの画面に表示される指示に従って英文をタイプして回答する、約35分間のテストです。「書く」スキルを測定します。
テストは、PartAからPartEまであり、
- A:タイピング
- B:空欄補助
- C:ディクテーション
- D:文章再構成
- E:Eメール記述
の全42問で構成されます。
スコアは10〜90点で採点され、サブスコアとして
- 文法
- 語彙
- 構成
- 文体とトーン
- 読解
も10〜90点で評価されます。価格は、1回4,400円(税込)です。
Versant Placement Test
Versant Placement Testは、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4技能の総合的な英語力を測定するテストです。
PartAからPartIまで全80問あり、試験時間は約50分間です。スコアは、10〜90点のレンジで採点され、サブスコアとして
- スピーキング
- リスニング
- ライティング
- リーディング
も10〜90点で採点されます。
Versant Placement Testは、Versant Speaking & Listening Test と Versant Writing Testが合わさったテストと理解するとわかりやすいでしょう。価格は、1回7,700円(税込)です。
Versant Speaking & Listening Testがおすすめ
人事担当者や研修担当者が社員の英語力を正確に測りたいときに最も手軽でおすすめなのは、Versant Speaking & Listening Testです。おすすめの理由は3つあります。
おすすめの理由1. ビジネスで必要とされるスピーキングスキルを測ることができる
Versant Speaking & Listening Test では、ビジネスシーンで必要な英語のスピーキングスキルがどれぐらいあるか、高密度に測定できます。
たとえば、復唱のパートでは、流れてくる短文を瞬時に復唱します。ここで測られているのは、英語で即時的な応答をする力や、聞き取った英語を短期的に記憶する力。どちらも、ビジネスシーンで英語を話すうえで欠かせない力ですよね。
ほかにも、ビジネスで求められる英語のスピーキングスキルを細かく測定することが可能です。
おすすめの理由2. 「話す」だけではなく「聞く」スキルも正確に測定することができる
英語といえば「話す」能力が注目されがち。ですが、ビジネス英語もコミュニケーション。相手が話している内容を正確に「聞く」能力も大切ですよね。
Versant Speaking & Listening Testなら、自然なスピードで話されるネイティブの英語を聞き取る力も測れます。Versantの問題には、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語が混ざっているので、ビジネスの現場で話される多様な英語を聞く力を、正確に把握するのにも役立ちます。
おすすめの理由3. どこからでも、短時間で受験することができる
Versant Speaking & Listening Testでは、20分間という短い時間で英語力を測ることができます。
20分であれば業務中でも確保しやすいはず。静かな環境を用意するだけでいいので、企業で取り入れるハードルも低いのではないでしょうか。
英語研修の効果測定にもおすすめ
読者のみなさんの会社では、英語研修の定量的な効果測定をどのように行なっていますか? TOEICや、研修会社による独自の試験などを利用している企業も多いかもしれませんね。
英語研修は、社員の英語力を伸ばすために行なうもの。英語研修を実施するだけでなく、研修の成果が出ているかどうかも注視しなければなりません。
英会話メインの研修をしているなら、なおさら効果測定は定期的に行なったほうがいいでしょう。なぜなら、英会話学習に取り組んでも、英語力が伸びるとは限らないためです。
3か月に1回程度、Versant Speaking & Listening Testで成果を定点観測し、英語研修の効果を見極めていきましょう。
研修に参加している社員の大半に英語力の伸びが見られないようであれば、その研修は費用対効果が低いかもしれません。
社員の英語力測定はTOEICとVersantの併用を
Versantは手軽に英語のスピーキング、リスニングの力を測ることができますが、弱点がないわけではありません。それは、リーディングの力を測れないこと。
そこでおすすめなのが、TOEICとVersantの併用です。TOEIC Listening & Reading Testでリスニング・リーディングの能力を測り、Versant Speaking & Listening Testでスピーキング・リスニング能力を測るといいでしょう。
ちなみに、TOEICのスコアが高い人が、Versantのスコアも高いとは限りません。これは、スピーキングが十分にできない人が一定数いるためです。
ピアソン社が調査したところ、TOEICとVersantのスコアには相関関係がなかったそう。また、日本経済新聞社の調査によると、TOEICで900点以上をとる人のなかにも、Versantのスコアは40点程度の人もいれば80点近い人もいるなど、「40点近い開き」があるそうです。(カギカッコ内引用元:日経ビジネススクール|なぜ、TOEICだけでなくVERSANTも受験するのか?)
もちろんTOEICスコアが高い人は、基礎的な英語力が身についている可能性は高いもの。ですが、必ずしもそうとは言いきれないということがわかりますね。両方とも良質なテストですので、うまく組み合わせて使っていくのがいいでしょう。
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この記事では、社員の英語力を測るためのテスト・Versantについて解説しました。
英語研修を実施しても、成果が測れなかったりそもそも成果が出ているのかわからなかったりしてお困りの方。社員の英語力を、TOEICだけではなくほかの方法でも測りたいという企業の関係者の方。ぜひVersantの導入を検討してみてくださいね。