将来のことは特に考えず、時が過ぎゆくままに毎日を生きているだけ――そんな人はいませんか?
特に20代や30代であれば、まだ人生の折り返し地点を迎えていない場合がほとんど。ただなんとなく現在を過ごすよりも、将来を見据えていまのうちから能動的に動いていったほうが、後悔のない充実した人生をおくれるはずです。今回は、識者の意見を参考にしながら、「30代までにやっておくべきこと」を6つまとめてみました。
【1】10年後になりたい姿を明確にする
動画学習サービス「グロービス学び放題」のBtoC事業責任者を務める下道陽平氏は、「自分が将来なりたい姿を明確にしておくといまが充実する」と述べています。
理想や目標が何もないと、どうしても “やらされ感” が強くなり、ただ漫然と働くことになってしまいがち。しかし、なりたい姿を思い描けていると、目の前の仕事をこなす意義をそこに見いだすことができます。「将来のこの目標に向かって、自分はいまこれをやっているんだ」という意識がモチベーションを高め、より優れた成果をもたらしてくれるのです。
たとえばみなさんは、10年後にどんな自分になっていたいでしょうか。それを考えておくだけでも、いまの仕事に取り組む姿勢はだいぶ変わってくるはず。「社内で◯◯のポジションに就いていたい」「現場の最前線でバリバリ活躍していたい」など、将来の自分像をぜひ思い描いてみてください。
【2】できることの幅を広げる
将来もっとキャリアアップしたいのならば、分野を絞りすぎず、さまざまなことに果敢に挑戦してみるべきです。
「グロービス学び放題」事業リーダーの鳥潟幸志氏は、「若いうちはいろいろな領域に首を突っ込んでみて、自分の可能性を探していくべき」と伝えています。その理由は、自身の市場価値アップにつながるから。10人に1人しかできないスキルを1つもっているだけでは「10人に1人」の人材のままですが、それが2つ3つと増えるにつれて、「100人に1人」「1,000人に1人」と希少性が高まっていきますよね。
普段の仕事で「これは苦手だからちょっと……」と逃げ、自らの可能性にふたをしていませんか。思いきって取り組んでみれば、それは経験として着実に蓄積され、将来に役立ってくるはず。あるいは、働きながら英語を勉強するなど能動的に分野を開拓するのも手でしょう。将来のための “種” を、ぜひいまのうちにまいておきましょう。
【3】教養を身につける
「仕事に役立つから」と資格勉強に励んでいる人も多いことでしょう。もちろんそれも重要ですが、同時に取り組んでほしいのが「教養」を身につけるための勉強です。
人材育成コンサルタントの能町光香によれば、一流リーダーは教養を高める時間をとても大切にしているのだそう。なぜならば、「教養こそ人間力を高めるために最も必要なもの」だと知っているから。
仕事に関する知識を誰よりも有している――仕事人としてはたしかに優秀かもしれません。しかし、仕事力以外の観点からも相手を評価しようとするのが人間というもの。仕事のことしか知らない人と、広い教養をもっていて会話の端々に知性が表れている人とでは、おそらく後者のほうが人間的な魅力を感じるはずです。
とはいえ、「教養を身につけなければ」と硬くなる必要はないでしょう。歴史、文学、自然科学――「これだったら興味をもてそうだな」というジャンルを見つけ、楽しみながら学びを深めていってください。
【4】趣味を開拓する
「休日も仕事をしてしまう」という人はいませんか。あるいは、「休日にやることがなくてダラダラ過ごしてしまう」という人はいないでしょうか。そんな方は、ぜひ趣味をつくってみてください。
『最強の働き方』著者で投資家のムーギー・キム氏は、「仕事がデキる一流の人は週末の過ごし方がうまい」と述べています。仕事にストレスはつきもの。そのストレスを上手に発散できなければ心身の健康は崩れ、長く安定的に成果を残し続けることはできないでしょう。オフ時間を大切にできるかどうかで、肝心の平日のパフォーマンスも変わってきます。
活動的な趣味、物静かな趣味、どちらでもかまわないでしょう。「これをすれば気分がスッキリする」「これをすればストレス解消になる」という趣味を見つけ、オンとオフのメリハリをつけるように意識してみてください。
【5】運動習慣をつくる
厚生労働省が平成30年に実施した「国民健康・栄養調査」によれば、運動習慣(※1回 30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している)がある人の割合は、男女ともに20代が最も低かったとのこと。具体的には、20代男性の82.4%、20代女性の92.2%が運動習慣をもっていなかったそうです。30代に関しても20代とほぼ変わらぬ数字でした。
バリバリ仕事に取り組む年齢なので、運動する時間をなかなか確保できないのは仕方ないことかもしれません。しかし、大阪がん循環器病予防センターが伝えるところによれば、運動には生活習慣病予防などの医学的効果や体力向上効果はもちろん、友人を増やしたりストレスを発散したりといった社会的・心理効果が期待できるとのこと。今後長く働いていくうえでも、運動習慣は大切だと言えるでしょう。
気軽にできるウォーキングやジョギングをはじめ、自転車やヨガなども立派な運動と言えるでしょう。ぜひ積極的に体を動かすようにしてください。
【6】親孝行する
最後に、少し趣向を変えて「親孝行」を提案しましょう。
NHKのテレビ番組『チコちゃんに叱られる!』において、「親と一緒に過ごせる残り時間」が取り上げられたことがあります。なんと、親と離れて暮らしている人の場合は、1年にわずか「1日」しか一緒に過ごせないそうです。この数字は、お盆や正月など「年に6日間」会うと設定し、実際に顔を合わせるのは「1日4時間」と想定して導き出されました。帰省の期間や頻度が少ない場合は、さらに減るでしょう。
仕事仕事で毎日を生きていると、つい親という存在を忘れてしまいます。しかし、「孝行したいときに親はなし」ということわざもあるように、自分が年老いてからでは間に合わない場合も。ぜひ若いうちから親孝行も大切にしましょう。
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以上をまとめると、こうなります。
キャリアや人生を後悔しないためにも、ご紹介した6つのことをぜひ心がけてみてください。
(参考)
STUDY HACKER|「10年後になりたい姿」が明確だと強い。今、人生を振り返ってみるべきワケ
STUDY HACKER|「時間がない」は錯覚に過ぎなかった。1日 ″たった10分″ の勉強も、積み上がればすごいことになる。
ダイヤモンド・オンライン|なぜ一流のリーダーは「教養」を重要視するのか
東洋経済オンライン|休日にバレる「仕事も人生も二流の人」の末路
厚生労働省|平成30年国民健康・栄養調査結果の概要(PDF)
大阪がん循環器病予防センター|気になる病気・健康のこと 身体活動
税理士法人 金森事務所|「あなたは自分の親や子どもと、あとどれくらい一緒に過ごせると思いますか?」
【ライタープロフィール】
西ひとみ
大学では教員養成課程に在籍。大学院では英語教育を専門に学んだ。小学校教員免許、中学・高校教員免許(英語)を取得済。高校教師、小中学生向け塾講師としての指導経験がある。よりよいコミュニケーション法や最新脳科学への関心が高く、日々情報収集に努めている。