「時間がない」は錯覚に過ぎなかった。1日 “たった10分” の勉強も、積み上がればすごいことになる。

ビジネスパーソンが大学や専門学校に通い直したり、通信教育やオンライン講座を受けたり、書籍を使って独学をしたり——「学び直し」という言葉が最近のトレンドになってきています。

では、実際に学び直しをできている人はどれくらいいるのでしょう。「人生100年時代、今のままだと将来が危ぶまれる……」「来たるべきときのために、新しい知識やスキルを身につけておきたい……」とは思っているものの、「忙しくて時間がない」「やる気が続かない」なんて理由から、日々の学びがおろそかになってはいませんか?

今回は、グロービスのEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める鳥潟幸志(とりがた・こうじ)さんに、「社会人が学び続けるコツ」について聞いてみました。

※前回の記事:「黒字でも倒産」を経験しかけた元経営者が『学び直し』を激しくすすめる理由。

「勉強する時間がない」は錯覚に過ぎなかった

編集部・S
勉強に関する悩みで最もよく耳にするのが「時間がない」ということだと思います。忙しい社会人が学ぶ時間を作るコツはあるのでしょうか?
鳥潟さん
ちょっと考えていただきたいのは、「学ぶ時間がない」のははたして本当なのかということ。「学んでいない時間」は何をしているのかを可視化してみると、使える時間が意外と多いことに気づきます
編集部・S
「学んでいない時間」の可視化、ですか?
鳥潟さん
仕事をしている時間、眠っている時間、ご飯を食べている時間。そういった類いの時間は、たしかに学びには充てられないでしょう。では逆に、それ以外の “自由な時間” はどうでしょうか。絶対にやらなければいけないことをやっているときもあれば、正直やらなくてもいいことをやってしまっているときもあると思います。それらをすべて可視化して、自分の時間と一度向き合ってみるべきです。

鳥潟さん
私自身も、大学院に通っていたころに、まさに学ぶ時間を生み出したいと思っていました。そこでまずは、朝5時に起きて7時までの2時間を確保することを決めました。また、通勤時間が往復で2時間。さらに、仕事を終えて帰宅し、子どもたちの世話をして寝かしつけてからの、21時から24時までの3時間。こうやって可視化してみたら、合計7時間も “学べる時間” があることに気づいたんです

編集部・S
たしかに、勉強に使える時間は意外と多いですね。
鳥潟さん
もちろん全部を勉強に充てたわけではありませんが……これらの時間をどう有効活用すべきかを真剣に考え、週次単位で計画に落とし込みました。朝はMBAの勉強をしよう、通勤中は英語リスニングに取り組もう、夜は趣味に使ったり本を読んだりしよう、といった具合に。すると「時間がない」は単なる言い訳に過ぎなかったんだなと気づきましたよ。
編集部・S
(「時間がない」は言い訳——刺さる言葉です)
鳥潟さん
ちなみに、平日に1日10分学習することを1年間続けると、なんと40時間も積み重なります。40時間って、ひとつの科目をかなり深掘りできるくらいの時間なんです。これが1日30分だったら120時間ですよね。1日たった数十分程度でも、継続すれば馬鹿にできないぐらいの時間が積み上がっていきますよ。

社会人は「学び方」も学ぶべきだ

編集部・S
時間が確保できれば、とりあえず学びのスタートは切れそうです。では、学び続けるコツはありますか?
鳥潟さん
ひとつ挙げるとすれば、学びをアウトプットして効果実感を得ているかどうか、でしょうか。よく「インプットばかりではなくアウトプットもしよう」といった話は耳にしますよね。100を学び取ってから100を出そうとする人と、1を学んで1を出し、また1を学んで1を出し……と繰り返していく人。どちらが最終的な成果を出せるかと言えば、圧倒的に後者なんです
編集部・S
わかる気がします。完璧に学ぶことを優先していては際限がありませんし、だいいち続かなさそうです。
鳥潟さん
本の1章だけを読んで、そこで得た学びを明日さっそく実践してみよう、ちょっとまとめて誰かに伝えてみよう。そんなふうにスモールステップでアウトプットし続けたほうが、自分自身の行動も変わっていきますし、周囲からの反応も得られますよね。それがモチベーションにも貢献していくんです。
編集部・S
「何を学ぶか」というよりは「どう学んでいくか」というお話ですね
鳥潟さん
私が事業リーダーを務める『グロービス学び放題』にも、「Learn How to Learn」というコンテンツがあります。

編集部・S
学び方を学ぶ——。
鳥潟さん
どうすれば効果的に学んでいけるかという、社会人のための「学び方」そのものを体系化したコンテンツって、意外と世の中に無いものなんです。インプットしたらアウトプットしよう、その経験を振り返ろう、そういう「学び方」を知ることも大切なのではないでしょうか

「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」どちらを目指すべきか

編集部・S
話が変わりますが、広範な知識や経験を持つ「ジェネラリスト」になるべきか、それとも専門性を極めて「スペシャリスト」になるべきかといった議論が、よくなされていますよね。
鳥潟さん
多くの人が悩んでいることだと思います。
編集部・S
これからの時代を見据えると、私たちはどちらになるための学び方をしていくべきなのでしょうか?
鳥潟さん
キャリアや志向によって分かれると思いますが……私のおすすめは、特に20代など若い人であれば、まずはいろいろな領域にチャレンジしてみることですね。仕事という意味では限られたことしかできないかもしれませんが、「学び」という意味では、いろいろな領域に首を突っ込んでみて、自分の可能性を探していくべきです。そこでピンと来るものがあったら深めていけばいいし、これからの仕事をそちらに寄せていくなんてこともできます。
編集部・S
学びをきっかけにキャリアを模索し、広げていくのですね。
鳥潟さん
1つのことしかできない人と、2つ3つ掛け算でできる人を比べると、当然後者のほうが希少性は高いですよね。営業職でありながら英語ができてファイナンスにも詳しい、など。自分の軸となっているキャリアに、もう1つや2つ専門性を加えていくことで希少性が高まり、ひいては市場価値も高まっていきます。特に若いうちは、いろいろな可能性を模索していくのがいいですね。

鳥潟さん
一方で30代や40代になってくると、ある分野で実績を積まれてきた方が多い。自分のキャリアを棚卸してみると、客観的に見て自分の相対的な強みは何なのか、土台となっているスキルは何なのか、といったことが見えてきます。そこに何を重ねていくのかを冷静に考えてみると、自分はプロフェッショナル寄りなのか、それともジェネラリスト寄りなのか、その方向性が見えてくるのではないでしょうか。

【『グロービス学び放題』を詳しく知りたい方はこちら】
https://hodai.globis.co.jp/

【鳥潟幸志さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「黒字でも倒産」を経験しかけた元経営者が『学び直し』を激しくすすめる理由。

【プロフィール】
鳥潟幸志(とりがた・こうじ)
埼玉大学教育学部卒業
グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了
学位:MBA
サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタル・PR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。 現在は、社内のEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める。グロービス経営大学院や企業研修において思考系、ベンチャー系等のプログラムの講師や、大手企業での新規事業立案を目的にしたコンサルティングセッションを講師としてファシリテーションを行う。

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