新型コロナウイルスの流行をきっかけに、仕事が在宅ワークになり、自由に使える時間が増えた方は多いでしょう。「時間に余裕ができたのだから、何か勉強を始められるはず」そう思った人もいるはずです。
けれど、実際のあなたはどうですか? まだ何も行動を起こせていない……という状況になってはいないでしょうか。
「時間はあるのにできない」のは、あなたが勉強においていくつかの間違いをしているせいかもしれません。そこで、時間を有意義に使えるよう、いますぐ改善すべき4つのNGポイントをお伝えします。
1. 勉強を「完璧に」やろうとする
「時間があるのに勉強ができない」人のなかには、「やろうやろうと思いながら、何かと理由をつけて先延ばしにしている」あるいは「ちょっとやってみたけれど習慣にならない」という人がいるのではないでしょうか。
ビジネスコミュニケーションコーチの岩田ヘレン氏は、そのような状況に陥ってしまう原因として「完璧主義」を挙げています。
何もやっていないのに完璧主義とは、どういうことでしょうか。岩田氏いわく、完璧主義の人は「どうせやるならちゃんとしなきゃ」と思い、最初の目標設定を高くしすぎてしまうとのこと。さらに「きっちり計画を立てて、しっかり時間をとって始めなければ」と考えて、いまはまだ準備が整っていないからとつい先延ばしにしがちになるのです。そして、1回でも予定通りにできないと、「ちゃんとできないならもういい」と放棄してしまうのだとか。
岩田氏は、完璧主義にとらわれて物事を始められない人に、ふたつのアドバイスをしています。
ひとつめは、「小さく始める」ことです。たとえば、参考書を最初から暗記しようとするのではなくまずはパラパラと見てみるだけ、問題を1ページ丸ごとやるのではなくまずは1問だけ、というようなこと。ちゃんとやることよりも、ちゃんとでなくてよいのでとにかく始めるほうが大事なのです。
ふたつめは、「時間を決めて取り組む」こと。参考書◯ページ分というように内容で区切るのではなく、15分や30分など時間で区切ると、「今日は決めた時間しっかりやれたぞ」と納得しやすくなりますよ。
時間はあるのに、完璧主義なせいで勉強に取り組めないという人は、このふたつを意識してみてください。
2. 勉強を「大きくて曖昧」なものとしてとらえる
習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、物事を先延ばしにしてしまうのは、やるべきタスクが複雑で曖昧だから。
「ちゃんとやらなければ」の「ちゃんと」って、いったいどれくらいなのでしょうか? あなたはその「ちゃんと」を、もしかすると必要以上に膨大で大変なものだと思い込んでいるかもしれません。このようにタスクを大きく曖昧なものとしてとらえると、「面倒くさい」「失敗が怖い」など行動にブレーキをかける感情が生まれてしまうと古川氏は言います。
では、曖昧なタスクにはどう手をつければいいのでしょうか。古川氏がすすめるのが、「チャンクダウン」、つまりタスクを細分化することです。
たとえば、ある資格に挑戦するとしましょう。最終的な目標は試験に合格して資格を取得すること。でも、その目標を立てるだけでは、何をどうやって勉強すべきか漠然としているうえ、すぐに合格できるわけでもありません。そのため、資格の勉強というのが「大きくて曖昧」なものとなってしまいます。
そこで、これを「小さくて明白」なタスクにチャンクダウンしてみるのです。参考書はこれを買う。〇月開催のセミナーを受ける。〇月までにここまで参考書を進める。このように細分化していくと、いまやるべきことが具体的に見えてきますね。
ひとつひとつの小さなタスクが「できそう」と思えれば、大きくて曖昧に思えた資格の勉強にも現実味が出てきます。チャンクダウンをする前は、ゴールまでの道順がわからず進めなかっただけ。道順が明確にわかったら、あとはそのとおりに進めばいいのです。
3.「朝」を無駄にしている
これまでの項では、「時間はあるのに勉強できない」状況を生んでしまう “心のブレーキ” を取り払う話をしました。続いては、実際の行動を変えていきましょう。
大手企業勤務のかたわら勉強を続け、税理士、中小企業診断士、気象予報士などの資格を取得した経営コンサルタントの山本憲明氏は、時間を無駄にしがちな人は「朝時間」を有効に使えていないと指摘します。
在宅ワークになって通勤時間が減ったことにより、朝に時間の余裕ができると、テレビやスマートフォンを見たり、ダラダラとくつろいだりしがちではないでしょうか。そんな過ごし方はもったいない、と山本氏。なぜなら、朝が最も勉強に適したゴールデンタイムだからです。
『神・時間術』など多くの著書がある精神科医の樺沢紫苑氏は、脳のパフォーマンスは目覚めてから2~3時間が最も高いと言います。朝の脳は整頓されたデスクのような、まっさらな状態。夜寝ているあいだに脳の情報が整理され、疲労も回復されています。この状態の脳を、ダラダラとテレビやスマートフォンを見ることに使ってしまうのは、あまりにももったいないのです。
朝は眠くて勉強どころではないという人も、「朝起きたらすぐに始める」ことを心がけてみましょう。実際山本氏は、朝起きて歯磨きや洗顔を終わらせると、眠くてもすぐに始めていたそう。たとえ眠くても、いったん取りかかれば集中力が出てきて眠気が飛ぶと言います。
時間はあるのに……と思っているあなたが一番無駄にしている時間は、朝かもしれません。朝に勉強をすれば、無意識に無駄にしていた時間が、有意義な時間に生まれ変わりますよ。
4. 部屋が「ダラけ部屋」になっている
では最後に、あなたの部屋が、時間があっても行動を起こせなくなる環境になっていないかチェックします。整理収納術研究家のすはらひろこ氏は、ダラけ癖をつくってしまう部屋にはいくつかの特徴があると指摘します。ここではそのうち3つを、改善方法とあわせて紹介しましょう。
同じスペースでいろんなことをしている
たとえば、寝るとき以外もベッドでくつろぐ、食事・仕事・娯楽を同じ場所で行なうなどしていると、生活にメリハリが生まれずダラけやすくなるそう。部屋の各所に使用目的を振り分け、くつろぐ場所と勉強する場所を切り分けましょう。
ベッドからテレビが見える
ベッドからテレビが見えるようになっている環境は、朝をダラダラ過ごす原因になってしまいます。テレビをベッドの死角に置くなど、朝目覚めたらすぐに立ち上がらなければいけない環境をつくりましょう。
とにかく散らかっている
部屋が散らかっていると時間の使い方がルーズになるとすはら氏は言います。部屋を散らかさないコツは、床に物を置かないこと、テーブルに不必要な物を放置しないこと、衣類の放置を避けることだそう。なんでも置きっぱなしにしがちな人は、注意したほうがよさそうです。
もし自分の部屋がダラけ部屋だと気づいたら、いますぐメリハリのつく部屋に改善しましょう。行動を起こしやすい環境になれば、「時間はあるけど勉強したくない」なんていう気持ちからは脱却できるはずです。
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時間があるのに勉強を始められない原因は見つかったでしょうか。せっかくの貴重な時間ですから、この記事を参考にぜひスタートを切ってください。
(参考)
日経xwoman|あなたの成長を邪魔してる?「完璧主義」を脱出しよう
STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』
Precious.jp|「時間を無駄にしがちな人」がやっているNG習慣7選
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【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。