勉強しようと机の前に座ったまではよかったものの、集中力が持続しない……。いつの間にかスマートフォンに手が伸び、動画サイトを観ていた……。このような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
集中して勉強できる人、集中力が全然続かない人。その差はどこから生まれるのでしょう。調べてみると、集中力が続かない人には、4つの “残念な特徴” があることがわかりました。
【集中して勉強できない人の特徴1】睡眠が足りていない
医学博士の白川修一郎氏によると、日中ハッキリとした意識を保つために、95%以上の人は7~9時間の睡眠時間が必要なのだそう。つまり、集中力を持続できない人は、必要な睡眠時間を確保できていない可能性があります。
白川氏によれば、8時間の睡眠が必要な人が6時間しか眠れていない場合、アルコール摂取による弱度酩酊と同じくらい脳の機能が低下するとのこと。睡眠不足のまま勉強するのは、飲酒で酔っぱらった状態で勉強するのと同じなのです。これでは集中できるはずがありませんよね。日ごろからよく眠る習慣をつけておきましょう。
ただし、どうしてもまとまった睡眠時間がとれない場合や、集中したいのに眠気に襲われる場合は、15分程度の仮眠をとれば脳機能の回復が期待できるとのこと。夜の睡眠はもちろん、日中の昼寝も有効活用できるといいですね。
【集中して勉強できない人の特徴2】目標設定が下手
同じ英語学習でも、「英語がある程度できたほうがビジネスに有利らしいから」という人と、「1年後にTOEICスコア730点を突破して、国際部門に配属されたい」という人とでは、どちらが勉強の成果が出るか、多くの人は想像できるでしょう。
目標を明確にすることの大切さは、脳科学でも証明されています。脳科学者の澤口俊之氏によれば、目標を明確にすると、脳内でドーパミンという物質が分泌されるのだそう。ドーパミンには、集中力のほか、意欲や思考力の向上も期待できます。集中力が持続しない人は、そもそもなぜ勉強する必要があるのか、自分に問いかけてみるとよいでしょう。
ただし、1年や2年といったスパンが長い目標だけではモチベーションが落ちると、澤口氏は警告します。そこで、1日・1週間・1か月といった短いスパンでの目標も立てましょう。加えて、目標をひとつの数値や程度に限定しない「レンジ法」を用いるのもおすすめです。
たとえば資格取得のために勉強する場合、「1日1時間勉強する」と「1日6ページテキストを読む」という2つの目標を用意します。そして、どちらか達成できれば目標クリアとするのです。達成しやすいハードルを設けることで、モチベーションや集中力が維持できますよ。
目標値の上下に幅を持たせると、その下限にはたやすく到達でき、さらに頑張ろうという意欲も湧きます。結果、最初の設定よりももっと高い到達点に達することができるのです。
(引用元:THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法)
【集中して勉強できない人の特徴3】部屋に誘惑するものが多い
先述のドーパミンは快楽物質ともいわれ、じつは誘惑によっても分泌されます。肝心なのは、何がきっかけで分泌されたかということ。勉強を頑張った達成感によって分泌されたのならば集中力はますます高まるでしょうが、誘惑に負けて分泌されたのならば、そのままずるずると流される可能性があります。
インテリアコーディネーターの元岡恵子氏によると、集中して勉強できない人の部屋には誘惑するものが多いのだそう。ドーパミンで負の連鎖を起こさないためにも、勉強机に座ったときの視界や手の届く範囲に、マンガ本やゲームなど誘惑するものを置かないようにしましょう。
また、行動科学コンサルタントの冨山真由氏は、パソコンやスマートフォンからの誘惑にも注意すべきといいます。ブックマークやショートカットで、SNSやお気に入りサイトへすぐアクセスできるようにしている人は、削除するか、デスクトップにアイコンを表示させないといった工夫がおすすめです。
スマートフォンや必要のない資料は、カバンや引き出しにしまいましょう。パソコンのデスクトップも不要なフォルダを整理してスッキリさせておくこと。
(引用元:furi-kake|今すぐ集中できる10のコツ)
【集中して勉強できない人の特徴4】じっとしている時間が多すぎる
デスクワーク中のほか、ソファ等でごろごろする時間など、あなたは1日に何時間、座った状態や寝転がった状態で過ごしているでしょうか。じつは、集中力が持続しない人は、じっとした状態で過ごす時間が多すぎるのかも……?
医学博士の吉田たかよし氏によると、脳は、座ったり寝転がったりしたときには休む、立っているときには活動する、というようにできているのだそう。横になれば自然と眠くなるのも、このメカニズムが効いているからです。
しかし、しっかり頭を働かせたい勉強中に、脳が「休む」という判断をしてしまっては困りますよね。個人差があるので、何時間以上じっとしていると危険という明確な基準はありませんが、集中力を高めたいと思ったら、ぜひこまめに立ち上がる習慣を作りましょう。
吉田氏によると、立ち上がることで、脳のメインスイッチである脳幹網様体が興奮し、脳全体の活動が活発になるのだそう。時々は立ってテキストを読んだり、単語を暗記する際は机の周りを歩いたりすると、脳の活性化スイッチが入り、集中力が高まりますよ。
***
ご紹介した、4つの残念な特徴に思い当たる点がある人は、ぜひ対処法を実践してみましょう!
(参考)
StudyHacker|勉強に集中する方法まとめ。音楽・場所・食べ物を利用しよう
テアニン情報センター|睡眠と注意・集中力
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
V-net クロス|「勉強に集中できる部屋」に大変身!
furi-kake|今すぐ集中できる10のコツ
吉田たかよし (2019),『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』, 青春文庫.
【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。