複雑なフレームワークを使いこなせなかった人へ。シンプルな「5W1H思考」が仕事にかなり使える!

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「仕事のやり方・進め方を考えて」
「この課題の解決策を考えて」
「何かアイデアを考えて」

……そんな指示を受けたものの、何からどう考えればいいのか全然わからない。

思考の助けになるはずのフレームワークも、種類が多すぎてよくわからないし、使いこなせる自信もない——そんなとき、強い味方になってくれるのがご存じ「5W1H」です。

「5W1Hなんて小学生でも知ってる」……とあなどるなかれ。「5W1H」の考え方を上手に使えば、物事を論理的に、かつ広く・深く考えられるようになり、ビジネスの諸課題に立ち向かえるようになります。

5W1Hは「万能の思考ツール」

突然ですが、東洋を代表する6人の思想家=「東洋の六賢人」は、聖徳太子・菅原道真・荘子・朱子・竜樹・迦毘羅(かびら)であると言われています(参考「中野区|哲学堂建造物6棟」)。

ではビジネスシーンにおいて、私たちに知恵を授けてくれる「六賢人」とは誰でしょうか? ビジネスコンサルタントの渡邉光太郎氏は、著書『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』のなかで、それはWhy・What・Who・When・Where・Howの “6人” であると述べています。

渡邉氏は、この「5W1H」の枠組みを使って物事を考える「5W1H思考」こそ、ビジネスにおける諸課題の解決に役立つ「万能の思考ツール」であると解説しています。

(5W1H思考は)物事を広く見渡し、本質にせまり、新たな視点や考え方のヒントを与えてくれる万能の思考ツールです。課題提起、問題発見・問題解決、創造的なアイデア発想、説得力ある戦略ロジックの組み立てやコミュニケーションなど、さまざまなビジネスシーンで活用でき、仕事のパフォーマンスを飛躍的に高めてくれます。

(引用元:渡邉光太郎(2017年), 『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』, すばる舎. ※カッコ内は筆者が補った)

同書に基づくと、「5W1H思考」がもつ具体的なメリットとしては、以下4つが挙げられます。

  • 問題を分解できる
  • 要素をヌケモレなく挙げられる
  • 視点を変えてアイデアを発想できる
  • 誰でも知っていて、使いこなしやすい

5W1H思考02

次項からは、これらのメリットに詳しく触れながら、「5W1H思考」をビジネスで活かす方法をご紹介します。

5W1H思考で「ヌケ・モレのない書類をつくる」

まず取り上げるのは、書類などにおいて記載事項のヌケ・モレを防ぐ、いわば「チェックリスト」としての活用法です。

たとえば、セミナーの実施要項なのに「開催日時(When)」の記載がヌケていた。「講演テーマ(What)」の記載がモレていた……。こういったヌケ・モレのリスクは、「5W1H」の枠に従って構成を考え、要素を挙げていくようにすれば防ぐことができるのです。必要に応じて「How much(どのくらい)」を加え「5W2H」で考えるのもいいとのこと。

ビジネス書作家で知的生産術に詳しい永田豊志氏も、「5W2H」は状況や事実をもれなく伝えるのに役立つとしています(著書『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』の抜粋記事より)。

たとえば、

  • 事業や催しなどの「企画書」「実施要項」
  • 商品をPRする「プレゼン資料」
  • 社内で使う「会議資料」
  • データの分析結果を伝える「レポート」

など、あらゆる資料をつくるうえで、この「5W1H思考」は大活躍するはず。

渡邉氏の著書では、以下のような「5W1H(または5W2H)」の表を組み、要素を不備なく洗い出す方法が推奨されています。

5W1H思考

(画像は渡邉光太郎著『シンプルに結果を出す人の5W1H思考』を参考にして、筆者が例をより具体化し図表化したもの)

書類のなかに必要な情報を盛り込み忘れ、上司からモレを指摘されることがよくある……という人は、ぜひ「5W1H / 5W2H」をチェックリストとして活用しましょう。

5W1Hで「課題解決」――What→Where→Why→How

仕事において直面するさまざまな課題も「5W1H」や「5W2H」の活用によって解決できます。

前出の永田氏は、問題の解決策を考えるには「対象物を要素に分解する」アプローチが有効であるとしています。たとえば、「売上が落ちた」という課題を解決したいとき、「顧客単価」「来店者数」「リピート率」など細かな指標に分解して考えれば、解決策が見えやすくなる……という具合です。

永田氏によると5W2Hは、問題の全体像を整理し解決へと導くうえで「一番ベーシックで、効率のいい」フレームワークなのだとか。

ここでは、渡邉氏が提唱する、さらに効率よく・筋よく問題解決を行なうための「3W1H」をご紹介しましょう。下図のように【What→Where→Why】の順でロジカルに課題を分析し、解決策(How)を導いていくというものです。

たとえば「スポーツジムの会員数が伸びない」という課題を解決したい場合、まずは「具体的に何人・何%目標に足りないのか」など明確に問題を設定(What)。そのうえで「入会者が少ない地域」「入会者が少ない年齢層」など問題箇所を分析(Where)し、「問題が起こっている原因」(Why)を特定。その結果をふまえて解決策(How)を考える——という流れになります。

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(同上)

上記の手順を踏めば、手当たり次第に情報を集め、総花的に対策を打ってしまう……といった無駄を防げるそうです。

このWhat→Where→Why→Howの4項目のそれぞれをさらに突っ込んで分析する際に活躍するのも、やはり「5W1H」です。

たとえば「What」で問題の設定をしたい場合、そもそも達成したい目標がどんなものであり、それに比べて現状はどうなのか、「5W1H」に沿って書き出してみます。仮に目標が

「業界トップになるために(Why)、20~50代男女を(Who)自社のジムに(What)2023年度末までに(When)関東圏で(Where)+5万人(How much)入会させたい(How)」

だとすれば、その目標に対する現状のギャップが「課題」ということになります。残りのWhere・Why・Howについても要領は同じです(下図参照)。

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(同上)

仕事でトラブルに直面しても、どんな切り口で考えれば解決できるのか見当がつかない……そんなことがよくあるのなら、「5W1H」に従って問題を切り分け、ロジカルに思考を進める癖をつけましょう。

5W1H思考で「アイデアを発想する」――WhyとWhere

最後に紹介するのは、アイデア発想法としての「5W1H思考」の使い方。

クリエイティブディレクター・三浦崇宏氏は、革新的なアイデアをつくり出すには、以下の「Why」「Where」の視点が大切であるとの見解を述べています。

  • Why:なんのためにこの商品はあるのか?
  • Where:どこでその商品を売るのか?

(「東洋経済オンライン|たった2割の「できる人」だけが知る発想のコツ」より)

ひとことで言えば、「Why」によって商品の本質的価値・ニーズを見抜いたうえで「Where」を問い、商品を売る市場を開拓する——というのが、三浦氏流のアイデア発想法です。

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(画像は筆者が作成した)

ガムの開発・販売の例で考えてみます(上図)。

まずは「Why」。たとえばガムが購入される理由のひとつが「眠気を覚ますため」であるとわかったなら、新商品として「ミントをたっぷり含んだ眠気覚まし用ガム」をつくればヒットするのではないか、という仮説が成り立ちますよね。「Why」を掘り下げることで、商品の思わぬ可能性に気づける場合があるのです。

そして「Where」。ガムを売る場所と言えば通常は「お菓子市場」ですが、 “眠気覚まし用” のガムならば「ビジネスグッズ市場」「勉強グッズ市場」「ドライビンググッズ市場」など、眠気を抑えたい消費者がいるであろうほかの市場にも展開できるかもしれません。

このような流れで思考することにより、既存の商品の刷新・展開や、新商品のアイデアの発想につながるのです。

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このWhy→Whereの発想法で生まれたヒット商品の事例として、三浦氏はカラーコンタクトレンズ「JINS 1DAY COLOR」を紹介しています。

従来、カラーコンタクトレンズといえば10~20代の女性が使う “コスプレグッズ” のような位置づけで、瞳の色を派手に変えるタイプのものが主流だったそう。

しかし消費者のニーズを調査した結果、意外にも大人の女性が「オシャレとして使ってみたいが、派手すぎる」と考えていることが判明。つまり、カラコンの本質(Why)を掘り下げてみると、コスプレグッズとしてだけでなく、美容グッズとしての潜在的ニーズもあることがわかったのです。

「JINS 1DAY COLOR」の開発事例

  • Why:なぜカラーコンタクトレンズが求められているのか?
    「変身をしたいから」「オシャレをしたいから」
  • Where:どこで売るか?
    「10~20代女性のコスプレ市場」→「大人の女性の美容市場」へ

新しい商品・サービスなどのアイデアに行き詰まったときは、このWhy→Whereの思考法を使って思考の深化・転換を図りましょう。

***
「5W1H思考」は、ご紹介した「書類作成」「課題解決」「アイデア出し」をはじめ、仕事のあらゆる場面に活用できる優れもの。思考や発想で困難を抱えたときは、とりあえずこの「5W1H」の枠組みに当てはめてみてはいかがでしょうか。

(参考)
中野区|哲学堂建造物6棟
渡邉光太郎(2017年), 『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』, すばる舎.
ITmediaエンタープライズ|5W2Hで“バラバラ事件”――「割り算のプロセス」
東洋経済オンライン|たった2割の「できる人」だけが知る発想のコツ
JINS|JINS 1DAY COLOR

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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