99の「ボツ」を出してみてわかった3つのこと。“ダメな案” を恐れる必要は全然なかった

100案中99個の「ボツ」から学べる3個のこと01

「新規企画のためにいいアイデアを出したいけれど、思い浮かぶのは微妙なものだらけ……」
「こんなダメなアイデアばかりでは、取引先の課題を解決できない……」

このように、ボツしか出てこない状況にうんざりしていませんか?

あなたには、発想力がないわけではありません。きっと、アイデアの扱い方を間違えているだけ。いいアイデアを思いつきたいなら、とりあえず100案出してみること。そのうち1個しか使える案がなくても、99のボツを出すこと自体に価値があるのです。これはいったい、どういうことでしょう。

凡人は「1案だけ」出そうとする

あなたはアイデアを考えるときに、たった1案ですばらしいものを生み出そうとしていないでしょうか? じつは、1案だけで完璧なアイデアを目指すのは、間違った方法です。

というのも、いいアイデアは、いきなり生まれるようなものではないから。株式会社電通のクリエイティブディレクター・コピーライターで、『100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる』著者の橋口幸生氏は、「百発百中でいいアイデアを出せる人なんていない」と指摘します。

また、「おもしろい」アイデアを活かしたプロモーション事業などを展開する面白法人カヤック代表取締役CEO・柳澤大輔氏も、次のように述べています。

アイデアを出せないという悩みを持つ人の共通点は、「すごいアイデア」を出そうとしてしまうことです。
でも「すごいアイデア」を出している人は、その何倍も「すごくないアイデア」を出しています。
だから、まずは「すごくないアイデア」をたくさん出すところから始めるべきなのです。

(引用元:柳澤大輔 (2009), 『アイデアは考えるな。』, 日経BP.)

平凡なアイデア、これはちょっと……というようなアイデアも含めて、「すごくないアイデア」をたくさん出す。これが、1案を悩み続ける凡人とは異なる、プロの発想のセオリーなのです。

100案中99個の「ボツ」から学べる3個のこと02

 

発想のプロが「100案」出す理由

前出の橋口氏によると、いいアイデアを出せる人は「100案」考えているそうです。理由は、100案も出せば、いいアイデアのひとつやふたつは確実に入っているから。

実際に電通では、新人コピーライターは「100案は考えるように」と指導されているとのこと。ヒット作を多数手がけるような “スター級” の人でさえも、アイデアの量をとにかく重視しているのだそう。大量の案を書き込んだ辞書ほどの厚さのメモを持って、会議に参加する人もいる――そう橋口氏は言います。

また、100案出すことには別の意味もあります。クリエイティブディレクターで、PR事業などを手がける株式会社GO代表の三浦崇宏氏いわく、コピーライターが100案出すのは「間違いが間違いであることを確認するため」。99案の「間違い」があれば、その99案よりもいい1案が「正解」だと保証される、ということです。

もし最初から1案しか出していないなら、比較対象がないため、その案がいいのか悪いのかはっきりとわかりません。しかし100案出して、そのなかにいいアイデアが1案あったら、ほかの99案はよくないアイデア=「間違い」のアイデアだとわかります。99案のボツも、いい1案を保証する立派な役割を果たしているのです。

100案も出すには時間がかかりますし、きっと苦労するでしょう。しかし、だからこそ才能もセンスも必要なく、誰にでもできると橋口氏は言います。「ボツしか生まれない……」と嘆いている人こそ、時間がかかってもボツばかりでもいいから、100案出してみるべきなのですね。

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実際に100案出してみた

今回、普段から小説を書いている筆者が、新人賞へ応募する小説のテーマを決めるために100案考えてみました。その様子が、次のとおり。

100案中99個の「ボツ」から学べる3個のこと04

日頃当たり前のように小説を書いているとはいっても、一気に100個は思いつきません。そこで、数日かけて少しずつ考え、リスト化するようにしました。

100案考えてみたら「ボツをたくさん出してもいい」と気づけた!

実際に100案出してみて、筆者が感じた効果は大きく3つ。

1. アイデアどうしを組み合わせれば、奥行きのあるアイデアを生み出せる

これまでは、そのとき興味が向いたひとつのテーマしか考えていなかった筆者。一面的なアイデアだけで突っ走り、すぐに筆が止まってしまうこともありました。

しかし今回、1本の小説のために、何日かかけて100個もテーマを考えるという新鮮な取り組みをした結果、考え出したアイデアの幅の広さに驚きました。日によって気になることや視点が変わるため、そのぶんいろいろな案を導けたのだと思います。

そして、「最初のほうに出した案」+「最後のほうに思いついた案」というようにまったく違う案を組み合わせる機会が生まれ、多面的で奥行きのあるアイデアを生み出すことができました。

橋口氏も、アイデアが多数あれば、「これはよくないけど、あれと組み合わせればいいんじゃない?」と考えられると述べています。まさにそれを実感できたのです。

2. 「正解」と「間違い」を見比べられる

また、100案も出すと、「これはボツだな」「これならいけそうだ」という差が明確に見えるようになりました。

ひとつの案しか考えていなかったこれまでのやり方では、実際に小説を書き始めてみないことには、その案をうまく活かせるかどうかわかりませんでした。しかし、いくつも案を出してみると、案どうしを比較してよりいい案を選べたので、安心して書き始めることができたのです。

「間違いが間違いであることを確認できる」、という三浦氏の指摘通りでした。

3. ボツ案も、今後のためにストックしておける

さらに、今回実践したように紙にアイデアを書き出しておけば、いったんボツにした99案も、あとで見返して活用できると感じました。いまはボツでも、1で述べたように、これからほかのアイデアと組み合わせれば、何かしらかたちになる可能性があるからです。

3つの確かな効果を感じた今回。今後も、小説のテーマを決める際は1案だけで突っ走るのではなく、たくさん案を出そうと思えるようになりました。

***
あなたがいつもたった1案で正解を出そうとしているなら、試しに100案出してみることをおすすめします。時間はかかりますが、必ずそのなかからすばらしいアイデアが生まれるはずです。

(参考)
ウェブ電通報|才能、道具、センス不要!コピーライターの発想法「100案思考」
柳澤大輔 (2009), 『アイデアは考えるな。』, 日経BP.
STUDY HACKER|デキる人が「100案」出す理由。つまらない案すら出せない人に、最高のアイデアは出せない
東洋経済オンライン|デキる人が「まず100案出す」を習慣化する理由 根性論では決してない、圧倒的な真実

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

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