デキる人が「100案」出す理由。つまらない案すら出せない人に、最高のアイデアは出せない

橋口幸生さん「デキる人が100案出す理由」01

なんらかのアイデアを出すとき、みなさんはどんなことを意識しているでしょうか。コピーライターとして常にアイデアを出すことを求められる橋口幸生(はしぐち・ゆきお)さんは、100案出すことを第一にすすめます。その意図はどんなところにあるのでしょう。広告業界において数々の受賞歴を誇る、気鋭のコピーライターが教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

たくさんのアイデアが生む想定外の広がり

アイデアを出すというとき、私から何よりおすすめしたいのは、たとえ自分でつまらないと思っているものを含んでいたとしても、100案出すことです。「100案」とはものの例えであって、重要なのはとにかくたくさんのアイデアを出すこと。

その理由はとてもシンプル。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」からです。才能があろうがなかろうが、どんな人であっても100案も出せば、そのなかには必ずいいものが1つや2つはあるものです。個人的には、量のない質なんてものはありえないと思っています。

それに、多くのアイデアを出すことは、思ってもいなかったようなメリットももたらしてくれます。私が若手だった時代を振り返ってみると、自分のアイデアをリーダーのクリエイティブ・ディレクターに見てもらうと、自分ではいいものだとまったく思わなかったものが、「これはけっこういいね!」と評価されることがありました。

個人の視点には限りがあります。多くのアイデアを出して多くの人の視点で見てもらうことで、意外なアイデアが想定外の広がりを見せることもあるのです。

この姿勢は、特に若い人にとって重要なものです。なかには「つまらない案を出すなんて恥ずかしい……」と考える人もいるかもしれません。しかし、この考えは大きな間違いです。

みなさんが上司の立場にあると仮定してみてください。たった1案や2案を出して「これが最高なんです!」なんて言ってくる部下より、クオリティーはさておき100案出してくれる部下のほうが、上司としてははるかに助かります。

なぜなら、それらのアイデアが議論のたたき台になったり、それらのアイデアをきっかけにチームのメンバーの発想が広がったりすることもありえるからです。1案や2案では、こういうことが起きる可能性はほとんどゼロと言っていいでしょう。

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アイデア出しは、ありとあらゆる仕事に重要

アイデア出しと言うと、私のようなコピーライターやデザイナーのような職種の人間に限ったものだと思う人もいるかもしれません。でも、「100案出す」という姿勢は、クリエイティブ職ではない、一般的なビジネスパーソンにとっても大きな力になります

私は、あらゆる仕事にアイデアが関わっていると考えています。たとえば、外食産業の会社に勤めている人が、系列のファミレスで提供する新メニューを考えるなんてことはアイデア出しそのものですよね。

またアイデア出しとは無縁だと思われそうな、決まったマニュアルのある仕事であっても、たくさんのアイデアを出すことがメリットを生んでくれます。そのメリットとは、仕事が楽しくなるということ。どんな仕事であれ、その仕事に慣れてくると楽しさや充実度は確実に下がります。決まったマニュアルのある仕事ならなおさらでしょう。

ホテルの清掃員の仕事を想像してみてください。それこそ決まったマニュアルのある仕事です。でも、そのなかでもアイデアを活かせる場面もあるでしょう。マニュアルをうのみにするのではなく、「こうしたほうが効率的に清掃できるのではないか?」「お客さまに一筆メモを残しておけば喜んでいただけるのではないか?」などと考え、実現の可能性が高そうなことは上層部に提案する。こういったことで、仕事にやりがいや楽しみを感じられるようになるのではないでしょうか。しかも、その結果として仕事の効率や質が上がるというメリットまで生じる可能性もあります。

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「100案出す」姿勢がプライベートも充実させる

あるいは、仕事から離れてプライベートにおいても、100案とは言わなくてもたくさんのアイデアを出す、選択肢を出すことはプラスに働くでしょう。そのメリットは、仕事の場合と同様にプライベートの充実度が上がるということにあります。

「この週末は何をしようか」と考えている人がいるとします。その人が、「よし映画を観よう」という1案の思いつきで行動を決めてしまうケースと、「映画もいいかもしれないけど、久しぶりにパートナーと外食するのもいいな」「そういえば最近ちょっと運動不足だから、ジムに行くのもいいかもしれない」と多くの選択肢を考えたうえでどれかを選ぶケースを比べてみてください。

多くの選択肢を比較検討して、「今週末にはこれをしたい!」と選択するわけですから、その週末に実感する充実度は後者のほうが確実に上がるはずです。

クオリティーは問わず、たくさんのアイデアを出すことを意識するだけで仕事もプライベートも楽しく充実させることができるのですから、こんなにお得なことはありません。

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【橋口幸生さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「100案出せる人」がしていて「3、4案で頭が固まってしまう人」がしていない4つのこと
受賞歴多数の一流アイデアパーソンが「ごちゃごちゃなメモ」にこだわる納得の理由

【プロフィール】
橋口幸生(はしぐち・ゆきお)
株式会社電通CXクリエーティブ・センター コピーライター/クリエイティブ・ディレクター。TCC会員。ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、ACC賞など受賞多数。近年の代表作は「ガーナチョコレート」「スカパー!堺議員シリーズ」「出前館」「鬼平犯科帳25周年記念ポスター」など。著書に『言葉ダイエット』(宣伝会議)、『100万回シェアされるコピー』(誠文堂新光社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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