デジタルデトックスを実践してみた。自粛期間こそスマホ断ちするべきワケ

デジタルデトックスをやってみた01

「仕事・勉強に集中できない」
「不安やイライラが続いている」
「気がつくと頻繁にスマートフォンを触っている」

このような悩みを抱えていませんか? 新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増え、心身ともに疲れている人が多いことでしょう。その原因のひとつに、スマートフォンで、SNSやゲーム、動画サイトなどを見る時間がいつもよりも増えていることが考えられます。

会社や学校であれば、周りの目があったり、そもそも忙しかったりと、それほどスマートフォンが気にならなかった人も多いはず。しかし、家で過ごす時間が増えたことで、無意識のうちに長時間SNSに没頭していたり、仕事や勉強をしているときにスマートフォンが気になって、マルチタスク状態が続いていたりしませんか?

スマートフォンへの依存が、心身の健康状態や、仕事・勉強への集中力を低下させている可能性があります。心当たりのある人は、スマートフォンやSNSから距離を置く「デジタルデトックス」を検討してみたほうが良いかもしれません。

スマートフォンに夢中になることの代償は?

日常生活の中で、常にスマートフォンを手元に置いて、メッセージアプリの通知を気にしたり、SNSや動画視聴に長い時間を費やしたりしていませんか? スマートフォンに夢中になりすぎると、健康や勉強・仕事の成果などに悪影響を及ぼしてしまいます。

SNSが人々の健康にどのような影響を与えるかを研究している、ノッティンガム・トレント大学の心理学教授 マーク・グリフィス氏によると、ソーシャルメディアの利用が、一部の人たちに、不安うつ症状孤独感依存症などを含むメンタルヘルスへの悪影響を与えることがわかったそう。

SNSは、多くの場合スマートフォンで使用されており、スマートフォンの性質上いつでも持ち歩けて身近に置いておけることから、頻繁にチェックする習慣がついてしまうことが原因になっているようです。

依存心が強くなってしまう理由として、グリフィス氏は、FOMO(Fear Of Missing Out=仲間外れや、楽しいことを逃す恐怖)と呼ばれる心理状態が深く関係していると述べています。

たしかに「みんなが何をしているか気になる」「常に最新の情報を把握しておかなければならない」という気持ちになっている人は、多いのではないでしょうか。社会生活を送るのに、ある程度必要なものではありますが、自分の本当にやるべきことや、健康に悪影響を及ぼすほど夢中になるのは要注意ですね。

デジタルデトックスをやってみた02

メンタルが落ち込むと、スマートフォンの使用が増える

以前よりも、LINEなどのチャットアプリや、TwitterなどのSNS利用が増えたという人は、メンタルの状態が悪化している可能性があります。うつ傾向のある人は、ひとつのことに集中しづらくなり、仕事や勉強から、チャットアプリ、SNSと、次々とやることを切り替える行動が見られるそう。

ミズーリ工科大学などの研究チームが、インターネットの使い方と、うつ傾向の関係性を調査したところ、うつ傾向が強い人たちほど、マルチタスクが多かったそう。たとえば、スマホゲームをしている間にSNSが気になったり、チャットアプリが気になったりして、複数のアプリを同時に使う頻度の多い人は、メンタルの状態が悪いということになります。

マルチタスクは、ひとつの作業に集中することを阻害してしまうので、仕事や勉強の生産性を上げたい人にとっては致命的なこと。もしも、最近ネットやSNSを使う頻度が増えたり、次々とタスクを切り替えてしまったりしている自覚があるのであれば、気持ちが落ち込んでいる可能性があります。

スマートフォンの使用が増えることでメンタルは落ち込み、メンタルが落ち込むことで集中力が減り、インターネットやSNSを次から次へと消費するようになる……。まさに負のループと言えるでしょう。

その対策として、デジタルデトックスを行ない、ひとつのことに長く集中することで、ストレスを軽減させていきましょう。

デジタルデトックスをやってみた03

デジタルデトックスとは

デジタルデトックスは、SNSやスマートフォン、パソコンなどのデジタル機器の使用を自発的に控えていくことを指します。それによって、日常で心身にたまったストレスや、疲労を取り去ることが目的です。

期間ややり方について、決まったルールはなく、人それぞれ自分に合った方法で実践します。たとえば、「旅行中の数日間はスマートフォンやパソコンにはいっさい触れない」というように休日を使って実践する人もいますし、「パソコンは仕事に必要なので通常通り使い、スマートフォンは1週間、電源を入れない」など、自分に合った方法で利用を控える人もいるでしょう。

このように、一時的に利用を止めることで癒しを求めてもいいですし、ライフスタイルとして定着させていくこともひとつの案です。「無意識のうちに、自分がどれほどデジタルに費やしていたか」に気づくことができるのがメリットでしょう。気づきを得ることで、自分に合ったデジタルとの付き合い方を模索し、心身のストレスをためない工夫ができるのではないでしょうか。

デジタルデトックスをやってみた04

デジタルデトックスを実践してみた

筆者も実際にデジタルデトックスを実践してみました。

作ったルールは以下の4つ。上述の通り、決まったルールはないため、自分の生活に合ったものを考えました。

1. 全ての通知を消す

まず始めに、スマートフォンとパソコンの通知をすべて消しました。メッセージアプリ、メール、ニュースフィード、SNSなど、自分の意思とは関係のないところで通知が鳴るものは、すべてオフです。音が鳴ったり画面に通知が出てきたりすると気になってしまいますし、時には内容を確認したついでにSNSを開いてしまうこともあったので、今やっているタスクに集中できなくなる原因になっていたと思います。

2. シングルタスクの徹底

マルチタスクの危険は上記で説明しましたが、無意識にやっていることは多々ありました。たとえば、テレビを見ているときに気になることがあったらスマートフォンで調べますよね。それだけならばよいのですが、ついでにほかの事柄も調べ出して、つい同時にテレビを見ることになってしまっていました。テレビを見ているときはそれだけに集中し、気になったことは紙にメモをするようにしました。

3. 目的があるとき以外スマートフォンを触らない

目的もなく、暇つぶしのためにスマートフォンを開くことをやめました。なんとなく手持ち無沙汰なとき、ついスマートフォンを触ってしまいますが……実際にそれをやったところで、重要な情報を得たり、リラックス効果を得たりすることはほとんどありません。無意識にブラウジングして、気がつくと時間が過ぎている……という時間の無駄遣いと言っても過言ではない行動ですね。

4. パソコンは、調べ物をしているとき以外wifiを切る

スマートフォンだけでなく、パソコンも強敵です。筆者は仕事でパソコンを使うので、仕事中に頻繁にメールをチェックしてしまう癖がありました。そのたびに意識が途切れて、もともとやっていたタスクに戻るのに時間がかかってしまっていたので、思い切って調べ物をしたりインターネットが必要な作業をやっているとき以外は、wifi接続を切ってしまうことにしました。

デジタルデトックスを試してみた07

デジタルデトックスを実践した感想

上記を1週間実践してみたところ、生活にいい変化が生まれました。

まず、仕事の生産性が上がりました。無意識にスマートフォンを触ることがなくなったため、集中力が高くなり、仕事スピードが上がったのに加え、頭の中がクリアになり、考えがまとまりやすくなった気がします。

加えて、読書量と運動量が増えました。スマートフォンに時間を費やさないと決めたところ、空いている時間の多さに気がつけたためです。仕事のあとにランニングをしたり、寝る前に読書をしたりという新しい習慣が生まれました。

また、シングルタスクを意識することで、ひとつひとつの行動を丁寧にできるようになり、リラックス効果を感じました。これまでは、スマートフォンを肌身離さず持っていたので、たとえば、お茶をいれているときでさえも同時にスマートフォンをチェックしていたのですが、お茶をいれることだけに集中すると、マインドフルネス効果が得られる感覚があります。今という時間に集中することの重要さに気がつきました。

デジタルデトックスをすることで、スマートフォンの依存性の高さに気づきました。無意識のうちに熱中し、時間を費やしているにもかかわらず、自分のメンタルや、仕事の生産性、人としての成長には貢献していないことにも気づいたので、今後も使用を控えていきたいと思います。

***
スマホ中毒の厄介なところは、自覚しづらいところ。たしかに、楽しいですし便利ですが、同時に、マルチタスクによる疲労や時間の浪費というデメリットもあるのです。体の不調や、集中力の低下や、イライラが続いている人は、ぜひ自分なりのルールを決めて、一定期間デジタルデトックスを試してみてください。

(参考)
Psychology Today|Addicted to Social Media?
Mentalist DaiGo Official Blog|自粛を利用して【ブレない集中力】をつくるには
Wikipedia|デジタル・デトックス
Psychology Today|5 Ways to Do a Digital Detox
Medium|How I Stopped Checking My Phone So Much
Missouri S&T|Internet usage patterns may signify depression

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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